子どもの頃は水嫌い 片腕スイマー・山田拓朗の才能を開花させたきっかけとは?
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2004年にアテネで行われたパラリンピックに日本人史上最年少の13歳で出場し、話題を集めた競泳の山田拓朗選手(25)。以来、世界の障がい者水泳の世界で、常にトップを走り続けています。
生まれつき左ひじから先がないという重い障がいを抱えている山田選手。障がいに負けない強い心身はどのようにして育まれたのでしょうか。
山田選手が水泳を始めたのは、3歳のとき。実は当時の山田選手は水が大嫌いで、シャワーの水を頭にかけただけで大泣きするほどだったそう。手を焼いた母の房枝さんは「とにかく水に慣れさせよう」と、近くのスイミングスクールへ山田選手を通わせることに。
房枝さんには内心、「万が一水に落ちても、自分の命を自分で守れるくらいの泳力がつけばいいな」との想いもあったそうです。とはいえ、障がいのある3歳の子どもをプールに入れるのには、母親としてかなり勇気のいる決断だったのではないでしょうか。
もちろん最初のうちは、山田選手は大泣き。プールに入ることを怖がっていたそうです。しかし水に慣れてプールの中で歩けるようになると、メキメキと頭角を現し、小学校に上がるころには4泳法(クロール、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎ)をマスターするまでに成長しました。
※イメージ画像です
もともと房枝さんの子育て方針は「左腕がなくても、できないことはない」というもの。
山田選手自身も好奇心旺盛な性格で、いろいろなことにチャレンジ。小学校に上がるとマジックテープではなく、あえて紐で結ぶタイプの靴を愛用。右手だけで器用に紐を結べるようになったそうです。
また、学校の掃除の時間には、雑巾を蛇口にひっかけて右手だけで絞るワザを考案し、周囲を驚かせたこともあったのだとか。
このように「どこをどう工夫すれば健常者と同じことができるか」を考えて行動する習慣は、水泳のトレーニングにも活かされたといいます。
「そもそも左腕があるという感覚を味わったことがないので、左腕がなくて不便なのかどうかもわからない。腕が1本しかない分、キック力を鍛えればいいと思った」という超ポジティブな発想でトレーニングに励んでいったのです。
筑波大学卒業後、民間企業で働きながら毎日2時間のトレーニングメニューをこなし、国内外の大会に積極的に出場している山田選手。
2015年の日本身体障がい者水泳選手権大会では50m自由形 と100m自由形で優勝を果たすなど、名実ともに日本を代表するスイマーとして活躍しています。
最近は上半身を鍛えて体幹を安定させるトレーニングを取り入れたことで、泳力がますますアップしているとのこと。
持ち前の前向きさと人並み外れた努力で常に自分の可能性を開拓し続ける山田選手、さらなる飛躍を応援したいですね!