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世界一おしゃれな男たち「サプール」の魅力は、装いの美しさだけじゃない!

By - grape編集部  公開:  更新:

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中部アフリカに位置する国、コンゴ。首都ブラザビルの郊外にある「バコンゴ地区」が、世界のファッションデザイナーから注目を集めていることをご存知でしょうか。

エレガントであることに全てを捧げる男たち

週末になると、バコンゴ地区のメインストリートではカラフルなハイブランドのスーツに身を包んだ紳士たちが、優雅に、時にはコミカルな動きを交えながら歩いていく…そんな姿を見ることが出来ます。

彼らは“SAPEURS(サプール)”と呼ばれる人たち。

SAPEとはフランス語のSociété des ambianceurs et des personnes élégantes(日本語訳は「おしゃれで優雅な紳士協会」や「エレガントで愉快な仲間たちの会」などいくつかの訳がある)の頭文字をとったもので、一年中気温30度を越す常夏の両コンゴにおいて1950年代から1960年代のパリ紳士の盛装に身を包み、街中を闊歩するスタイルのことである。
サップを楽しむ人々はサペー、またはサプール(Sapeur)と呼ばれる。

Wikipedia ーより引用

バコンゴ地区の人たちは、大半がサトウキビやパーム油、木材、家畜などの農畜産物を育てながら生活していて、月給は300ドル程度。彼らが身に付けているのはプラダケンゾーヨウジヤマモトなどハイブランドのものばかり。つまり彼らは、何ヶ月分もの給料を費やしてオシャレを楽しんでいるのです。

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ただ「おしゃれを楽しめばサプールになれる」のかというと、決してそうではありません。

彼は、サプールであるためには教養を身につけ、フランス語を流暢に話し、何よりも強い倫理観を持たなければならないと考えている。つまり、スマートで高級な衣服の内側には、真摯かつ高貴な人間性が備わっていなければならないのだ。

SAPEURS the Gentlemen of Bacongo(青幻舎) ーより引用

外見に気を配ること以上に、紳士であらねばならない…紳士としてのルールと教養を身につけ、精神的に豊かであることが何よりも大切なこと。決して裕福とは言えない生活を送り、パリやロンドンのように石畳の道を歩いていなくても、サプールたちはエレガントであることに誇りと情熱を持っているのですね。

目の覚めるような装いの数々

鮮やかで目の覚めるような色合いのスーツに身を包むサプールたちですが、一度に3色以上の色を使うことはしません。それは、色が多すぎると“エレガントではなくなる”から。

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彼らの独特な色使いや挑戦的な色の組み合わせを絶賛するのは、有名デザイナーのPaul Smith(ポール・スミス)さん。

私にとって、サプールたちの装いは驚くべきものだった。パリやロンドンといった世界の首都であっても、あのようにエレガントな格好をした男性たちは一際目を引くだろう。
(中略)彼らが衣服に傾ける情熱は、今日の世界においては特殊なものかもしれない。身につける衣服のいかなるディティールにも細心の注意を払うサプールのスタイルは、日々身につけるものすべてを注意深く吟味していた初期のダンディズムに通じるものだろう。
(中略)他者への紳士的な姿勢、そして社会における重要な立ち位置にこそ、サプールの唯一無二の精神性が表れているのだ。

SAPEURS the Gentlemen of Bacongo(青幻舎) ーより引用

「ポール・スミス」では、実際にサプールにインスピレーションを得たコレクションを発表しています。

世界的に有名なデザイナーも影響を受けるほど、サプールたちの着こなしは魅力的でエレガントなんですね。

「武器を捨て、エレガントな装いをしよう」

幾度となく内戦が起こるコンゴでは、そのたびにサップの文化は途切れそうになってきました。

1997年、とあるコンゴ人写真家が、人生の様々な局面における彼の姿を撮影していた。若干の皮肉も交えたそれらの写真は「Dreams of a Sapeur」のタイトルで写真集として出版される予定だった。しかし、戦争がすべてを一時停止に追い込んだ。

SAPEURS the Gentlemen of Bacongo(青幻舎) ーより引用

けれどもサップの文化は、ただ着飾るのではなく「紳士であること」を重んじて行動すること。武器を捨て、ファッションの靴音を響かせることで平和を願い、主張していくものです。

とりわけ長くサプールとして活動してきた、サプールたちの中でも一目置かれている“グランド・サプール”のうちの1人ゼブラン・ムイエンゴさんは、2014年12月にNHKで放送された「地球イチバン」の中で、ゆったりと話していました。

内戦の際に「3日くらいで戻れるだろう」と思い、庭に穴を掘って大切な洋服や靴などを埋めておきました。けれども、実際に戻れたのは1年以上経ってから

やっと帰れた時に、埋めたものを掘り出そうとしたところ…洋服も靴もベルトも…何もかも、ボロボロになっていました

平和でなければ、サップでいられない。サップのいない町では、環境が良くなることもない…そう感じました。

彼の語る言葉は、穏やかながらも苦境を乗り越えてきた確かな強さを感じるものです。

若いサプールたちにも、この言葉を伝えて、平和とサップの文化を守っていってもらいたい…それが、ゼブランさんの願い。

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バコンゴ地区にはゴミも多く、教育も行き届いているとは言い難い状態。その中には、今も乗り捨てられた戦車や戦乱の傷跡の残る建物もあるそうです。同じ過ちを繰り返さないためにも、90年以上続くサップの文化を守り続けていってもらいたいものですね。

コンゴのサプールは、三度の食事にありつけなくても幸せなのです。
なぜなら、しかるべき衣服を着ることは精神を養い、身体を幸福で満たしてくれるから。

SAPEURS the Gentlemen of Bacongo(青幻舎) ーより引用

2015年6月には、サプールのエレガンスを写真で楽しむことが出来るフォトブックが、ついに日本語化しました!サプールたちの生き生きとした表情や地元住民の尊敬の眼差し、バコンゴ地区の空気感を知ることが出来ます。

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ポール・スミスさんに「唯一無二」と言わしめた鮮やかなファッション文化の一端。それを垣間見たら、男性は自分自身でオシャレを、女性は男性に素敵なプレゼントをしたくなるはず!

出典
Wikipedia -サップ-@_RHESTNHK 地球イチバン【世界一服にお金をかける男たち  〜コンゴ共和国〜】

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