『赤字覚悟』と書かれたPOP 青果店の取り組みに「これは行くしかない」
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- 出典
- @IdSakuya
grape [グレイプ] trend
物価上昇が相次ぐ現代の日本において、日々実感するのが、スーパーマーケット(以下、スーパー)や青果店などで目にする野菜の価格の高さ。
野菜をたくさん買うつもりで店に向かっても「高くて買い物カゴに入れるのを我慢してしまった」なんて日もあるのではないでしょうか。
野菜の価格が軒並み高止まりしている現状を救う…かもしれないのが、『激安』を売りにしたスーパーや青果店の存在です。
愛知県にある青果店で「これだけ買って830円」
愛知県豊田市在住の@IdSakuyaさんが、同県の小牧市にある青果店に足を運んだ時のこと。
目当ての品を購入し終えた後にレシートを見ると、あまりの金額の安さに驚いたといいます。
投稿者さんが「これだけ買って830円」とつづりXに公開した、購入品がこちらです。
持ち帰り用の段ボールには、トマトやパプリカ、ジャガイモなど、多くの野菜がどっさり!
レシートに注目すると、『ダイコン税込み50円』『パプリカ税込み60円』など、価格の安さが一目りょう然ですね。
投稿者さんが野菜を購入したのは、青果店『ベジブル小牧店』。
『ベジブル』は、同市に拠点を置く株式会社ベジブルによる青果店で、2025年1月現在は愛知県内に計3店舗を構えています。
同社は『「もったいない」を、「ありがとう」へ。』という理念のもと、SDGsのゴールの1つであるフードロス削減に力を入れており、『訳あり』の青果や食料品などの買い取りをしているとか。
『ベジブル小牧店』で売られている訳ありの長ネギ
grapeは、同社で専務取締役を務める川村さんに、安さの理由やフードロス削減への想いなどをうかがいました。
野菜を低価格で提供できる仕組みとは?
――野菜を激安価格で販売できている理由を教えてください。
全量引き受けをしているからです。
例えば取引先の企業様から「ダイコンが100本あるんだけど場所を取るし、かといって捨てるのはもったいないし、引き取ってくれないか」といわれた時に、うちが「10本だけお願いします」といっても、お相手はすっきりしないんですよね。
この場合、取引先の企業様にとっては、100本引き取ってもらうのが一番すっきりすると思っていて。フードロス削減の観点でいえば、100本のうち10本のダイコンを救うだけでは不完全なので、たとえキャパオーバーでも100本すべて引き取るようにしています。
――『税込み300円でフルーツ詰め放題』など、遊び心のある売り方が目に留まります。『ベジブル』では、そのほかどんな工夫をされていますか。
1袋税込み300円のフルーツ詰め放題
『ベジブル』の詰め放題はSNSなどでもよく話題に上げてもらえるのですが、私としては正直飽きてしまっている節があるんです。
「お客様はもっと刺激を求めているのではないか、飽きてしまうのではないか」と思い、詰め放題のほかにも『人間UFOキャッチャー』といって、お客様が両手をアームの代わりにして、定額で好きなだけ野菜を取ることができるような取り組みもしています。
ほかには、『ベジブル』のスタッフが何もいわずに、唐突にじゃんけんをし始めることもあります。いきなり「最初はグー」というと、お客様が不思議と手を上げるんですよ。それでじゃんけんで勝った人には、野菜をいくつか無料でプレゼントしています。
――『ベジブル』には、どのようなお客様が多くいらっしゃいますか。
人間、いいことをすると気分がいいじゃないですか。フードロス削減につながるという意味で、「いいことをしたい」という考えのもと来店する人もいますし、「とにかく野菜を安く買えるから」といった理由で来る人もたくさんいます。
『ベジブル』の商品を購入していただけるだけでフードロス削減につながるので、いろいろな消費者様に訪れてほしいですね。
――今後『ベジブル』を続けることで、世の中においてどのような役割を担っていきたいですか。
企業様と消費者様にとって、欠かすことができないインフラになればいいなと思っています。
『ベジブル』には、昨今の物価高や家庭のさまざまなご事情で、経済的にはあまり豊かとはいえない人たちも安さを求めて多くいらっしゃいます。
ありとあらゆる野菜が安く買えるようになれば、家計を圧迫する食費が抑えられ、収入を上げずとも生活を少し変えられると思うんです。
「あの店に行けばいつも野菜を安く買えるんだよね」といった声が広がれば、『ベジブル』が人々の生活の中に入り込めると信じています。
『ベジブル小牧店』の外観
フードロス問題は、「私とは無関係」と思ってしまうほど、大きな社会課題に感じるかもしれません。
しかし、『ベジブル』で野菜を購入することがフードロス削減につながるように、日常的におこなっているささいな行動が、案外社会問題の解決に結び付くこともあるのです。
まずは普段の買い物から、フードロス削減について考えてみませんか。
[文・構成/grape編集部]