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『ハッピーセット転売』に「本当に胸が痛んだ」「悔しい」 弁護士の見解は?

By - grape編集部  公開:  更新:

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マクドナルドの看板

※写真はイメージ

近年、人気商品が発売されるたびに問題視される『転売ヤー』の存在。

欲しい人の手に商品が行き渡らず、フリーマーケットサイト(以下、フリマサイト)で法外な価格で取引される様子に、怒りや虚しさを覚えたことがある人もいるでしょう。

2025年5月16日、ファストフード店『マクドナルド』が、映画『マインクラフト ザ・ムービー』と漫画『ちいかわ』のオモチャが付く『ハッピーセット』を販売開始すると、まさにその典型例となりました。

人気の裏で、異常な買い占めと転売

発売初日から、各地の店舗には子供連れの親だけでなく、オモチャ目当ての大人たちが殺到。

SNS上では「同じ人が20個以上買っていた」「数店舗を回って買いまくっていた」といった目撃情報が多数投稿されました。

・店に、複数人で列に並び直して大量購入していた。買えない子供が泣いていて本当に胸が痛んだ。

・フリマサイトで、オモチャがすでに高額で出品されているのを見て、悔しいし、虚しい気持ち。

本来なら1セット数百円のはずが、フリマサイト上では1セット数千円で転売されている例も見られ、本来子供たちのための商品が、営利目的で大量購入されていることに疑問の声が相次いでいます。

転売行為の法的リスクとは?

ダンボール写真

※写真はイメージ

まず、『マクドナルド』は『ハッピーセット』の発売に際し、ウェブサイトで次のように呼びかけています。

おひとりでも多くのお子様にお届けするため、ハッピーセット®「マインクラフト ザ・ムービー」「ちいかわ」2種あわせて、おひとりさま4セットまでのご購入をお願いしております。

転売または再販売、その他営利を目的としたご購入はご遠慮ください。

マクドナルド公式 ーより引用

このような注意喚起があるにも関わらず、複数店舗を回って大量に入手する行為は、道義的には問題がありそうですが、こうした行為を直接禁止する法令はありません。

また、手に入れた品をフリマサイトで転売する行為も、違法ではないのです。

転売行為は、市場原理からすれば許容される行為。チケットの転売行為など、特に法令による制限がない限り、『違法の問題』が生じません。

東京都新宿区で、プラム法律事務所を運営している梅澤康二弁護士は、転売問題について、「本件のような転売の問題は、たびたびマスメディアで取り上げられますが…」と前置きした後、次のように見解を述べています。

梅澤康二弁護士

問題の本質は法令に反する・反しないという点にあるものではなく、欠品や価格高騰で一般消費者が手を出しにくくなることについての反感にあると思われます。
『人気の品を安く仕入れて高く得る』という行為は、資本主義の根幹をなす行為であって、それ自体を幅広く規制すべきではありませんが、この一般消費者の反感を放置することは、企業がネガティブに評価される『レピュテーションリスク』にもなり得るでしょう。企業側からすれば、対応に苦慮する問題であると思います。

食品廃棄の問題も深刻

今回さらに問題視されていたのが、「『ハッピーセット』からオモチャだけを抜き取り、ハンバーガーやポテトなどを捨てている人がいた」との目撃談。

事実であれば、昭和に社会問題となった『ビックリマンチョコのウエハース廃棄』を思い起こさせるような行動です。

ゴミ箱の写真

※写真はイメージ

当時は、天使や悪魔など、多様なキャラクターが描かれたシールが人気を集め、ウエハースチョコが同封された『ビックリマンチョコ』が飛ぶように売れました。

その裏で、不要なウエハースを食べずに、大量に捨てる人が現れたのです。

令和になった現在も、食べ物を粗末にすることに、怒りや失望の声が多く見られました。

購入後の商品の扱いを法的に縛れないため、似たケースが繰り返されている側面もありそうです。

大人ができる『正しい買い方』を考えたい

もちろん、すべての購入者が良識を捨てているわけではありません。

ただ、今一度「誰のための商品なのか?」を考え直すことが大切ではないでしょうか。

企業も対策を強化する一方で、私たち消費者の意識向上がなければ、根本的な解決には至らないかもしれません。

「子供が楽しみにしていたのに買えなかった」という悲劇が繰り返されないためにも、フリマサイトでの高額購入を控えたり、購入上限を守ったりするなど、小さな行動から変えていく必要があります。

子供たちの笑顔のために、大人が守るべきルール

本来、『ハッピーセット』は子供たちに『楽しい時間』を提供する商品です。

子供達の写真

※写真はイメージ

それが一部の心ない大人たちの行動によって、失望や怒りに変わってしまうのは、とても悲しいこと。

子供たちが、純粋に笑顔でオモチャを手に取れる日常を守るためにも、私たち一人ひとりができる範囲で考え、行動していきたいものですね。

梅澤康二弁護士

監修:梅澤康二

東京大学法学部卒業。アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、自らプラム法律事務所を設立・運営している。 2008年より弁護士として活躍し、一般民事・労働事件、交通事件・債権回収、相続問題、刑事事件など幅広く対応。


[文・構成/grape編集部]

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出典
マクドナルド公式

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