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アフリカでの支援活動 『Mother to Mother SHIONOGI Project』は次のステージへ

By - grape編集部  作成:  更新:

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妊産婦の死亡率が非常に高く、子どもを健康に産み、育てることが難しい環境にあるアフリカ。

その中で比較的発展していると思われているケニアでも、妊産婦死亡率は10万人あたり362人、また5歳未満で命を落とす子どもの数は千人あたり52人にものぼるそうです。

こうした深刻な保健問題に対応するため、日本の製薬会社『シオノギ』(塩野義製薬株式会社)がCSR活動の一環として、『Mother to Mother SHIONOGI Project』(以下、М2М)を立ち上げました。

М2Мとは?

日本の母からアフリカの母へ。塩野義製薬株式会社は総合ビタミン剤『ポポンS』シリーズで日本のお母さんの健康を応援。その売り上げの一部で、ケニアの母子の健康を支援するプロジェクトを行っています。

国際NGO『ワールド・ビジョン』協力のもと、ケニア共和国ナロク県イララマタク地域(マサイ族が住む地域)において下記支援を実施。期間は2015年10月~2020年9月となっています。

・病院の建設
・巡回診療による基本医療の提供
・現地保健省との連携
・医療従事者への教育
・住民への啓発活動による地域の保健システム強化

もともとМ2Мは、同社女性社員のボランティア経験をきっかけに始まりました。プロジェクトの概要と背景についてはこちらの動画をご覧ください。

М2Мの活動報告

2018年3月6日、東京都内で『ケニア母子支援活動の進捗についての報告』が行われました。

始めに塩野義製薬株式会社執行役員・海外事業本部長の竹安正顕さんが登壇し、活動目標について話しました。

「当初3年で予定されていたМ2Мは2年延長しました。公的な活動にするためには科学的な実証が必要。説得力のあるエビデンスを作ることで、このプロジェクトを自立的かつ継続的に行えるようにしたいと思っています」

続いてワールド・ビジョン・ケニアの保健・栄養分野アソシエイト・ディレクター、ミリアム・ムべンベ・ムニアフさんは、活動成果を報告しました。

「М2М開始1年目で外来棟が、2年目には産科棟、雨水貯水タンクが建設されました。医療サービスも拡大し、巡回診療や啓発などコミュニティでの活動も活発になっています」

М2М開始前の旧診療所では年間2505人(2015年)だった来院数は、2017年には6359人と2年間で2.5倍に増加。

診療所での出産件数も旧診療所の3.8倍になったそうです。

写真提供:国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン

写真提供:国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン

「また、2年の活動を通して大きな気付きがありました。それは、男性に決定権がある地域において、男性の理解促進は不可欠ということです」

イララマタクでは家庭で出産することが一般的。病院へ行くには男性の許可が必要でした。

2年目は成果があった一方、こういった課題も残っているようです。

最後にワールド・ビジョン・ジャパンの事務局長、木内真理子さんがМ2Мの今後の展開について話しました。

「自立的かつ継続的なプロジェクトにするには、産学官民が連携し、科学的根拠に基づいたデータを提案することが必要です」

重ねて、竹安さんはこう訴えました。

「現地にはまだまだ多くの社会課題があります。携帯電話や遠隔診療など、日本の企業が持つ技術はそれに対しても有効なのではないでしょうか。持続可能な社会に向けて、ジャパン技術のマッチング機会が必要です」

長年積み重ねた慣習やインフラを外部が介入して変えていくことは容易なことではありません。

今回の活動報告を聞いて、М2Мのプロジェクトが持続可能なものになるためには、コミュニティ自らが地域を変える力を持つこと、そして政府へしっかり提言し続けていくことが必要なのだと感じました。

日本の技術も必要に応じて導入されていくのかもしれません。

М2Мの取り組みがどのように発展していくのか、今後も見守っていきたいですね。


[文・構成/grape編集部]

取材協力
塩野義製薬株式会社

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