ウィーンの街で『アイスコーヒー』を頼むと…? 文化の違いに「知らなかった」 提供:オーストリア政府観光局 By - grape編集部 公開:2023-06-20 更新:2023-06-26 カフェコーヒースイーツヨーロッパ旅行海外旅行 Share Post LINE はてな 世界各地で飲まれているコーヒーは、私たちにとっても身近な存在です。 コーヒーを飲む人は、朝、目覚めの1杯や、仕事中の気分転換など、さまざまなタイミングで口にしますよね。 コーヒーには『エスプレッソ』『カプチーノ』『アメリカン』など、数多くの種類や味わい方がありますが、『ウィンナーコーヒー』という飲み方をご存じでしょうか。 『ウィンナーコーヒー』ってなに? ウィンナーコーヒーとは、食材の『ウィンナーソーセージ』が入ったコーヒー…ではなく、一般的には深煎りのコーヒーにたっぷりのホイップクリームをのせた飲み方のこと。 コーヒーの苦みと、まろやかなクリームが絶妙にマッチして、マイルドで飲みやすいことが特徴です。 日本の『ウィンナーコーヒー』 名前は、オーストリアの首都『ウィーン』が由来で、『ウィーン風のコーヒー』という意味。 実は、ウィーンでは、カフェが人々の生活に根付いており、『ウィーンのカフェ文化』はユネスコ無形文化遺産に登録されているほどです。 なぜウィーンは『カフェの街』に? 諸説ありますが、ウィーンのカフェ文化は、17世紀の終わり頃、ウィーンの包囲攻撃に失敗したオスマン帝国軍が、コーヒー豆の入った袋を大量に残して撤退し、それを市民たちが戦利品として手に入れたことが始まりといわれています。 以降、現地の人にとってのカフェは生活の一部。『音楽の都』や『芸術の都』として有名なウィーンですが、街の至るところにカフェが立ち並ぶ『カフェの街』でもあるのです。 現地の人々は、コーヒーを楽しむだけではなく、交流の場として使ったり、1人になりたい時に使ったり、それぞれの目的で、日々カフェに通っています。 カフェ ムゼウム そんなウィーンが由来の『ウィンナーコーヒー』ですが、なんとウィーンには存在しません。 現地では、近しいものとして『アインシュペナー』というコーヒーが親しまれています。 『一頭引きの馬車』という意味で、かつて御者がコーヒーを冷めにくくするため、クリームでフタをしたことが始まり。 こぼれづらく、手綱を握りながら片手でも飲みやすいように、底が深い取っ手付きのグラスを使用していたことから、カップではなくグラスに注がれるのが一般的です。 アインシュペナー また、オーストリアでは『冷たいコーヒーを飲む』という風習がないため、日本ではなじみ深い、いわゆる『アイスコーヒー』も存在しません。 外資系のチェーン店を除き、現地のカフェで『アイスコーヒー(ドイツ語で『アイスカフェー』)』と頼むと、コーヒーにアイスクリームとホイップクリームが乗った『コーヒーフロート』のような飲み物が出てくるのだとか。 現地の人たちは主にエスプレッソや、カプチーノに似た『メランジェ』というコーヒーを好んで飲んでいるそうです。 メランジェ そのほかにも、ウィーンの伝統カフェには、独特の文化が多数あります。 日本のカフェとの違いを楽しむのも、面白そうですね! 【ウィーン伝統カフェの特徴の例】 ・コーヒーの種類が20~30種類もある。 ・コーヒーを頼むと、アルプスから引かれたおいしい『水道水』が一緒に出てくる。 ・ティースプーンを水の上に伏せて置く。 ・木製の新聞挟みで綴じられた新聞各紙が読める。 ・スタッフがタキシードなどでビシッときめている。 カフェ ムゼウム 中には100年以上の歴史を持ち、音楽家のモーツァルトやベートーヴェン、画家のクリムトなど、教科書に出てくるような偉人たちが通っていたというカフェも多く現存しています。 また、『ハプスブルク家』の皇族たちも、お忍びでカフェに通うことがあったようですよ。 カフェ フラウエンフーバー:現存するウィーン最古のカフェ。モーツァルトやベートーヴェンが演奏会を開催した。 実は、観光地としても有名な『ウィーン美術史博物館』や『シェーンブルン宮殿』の中にも存在するカフェ。 特に『ウィーン美術史博物館』内にあるカフェは、「世界でもっとも美しいカフェ」といわれています。 ウィーン美術史博物館内のカフェ コーヒーはスイーツも一緒に! カフェでコーヒーを飲むなら、一緒にスイーツなども楽しみたいもの。 『チョコレートケーキの王様』とも称されるザッハートルテは、ウィーンの『ホテル・ザッハー』で生まれました。 ザッハートルテは、多くのカフェで提供されていますが、元祖であるホテル・ザッハーだけが『オリジナル・ザッハートルテ』を名乗ることを許されています。 オリジナル・ザッハートルテ また、ウィーンのカフェでは、軽食だけではなくしっかりとした料理も出すところが多く、食事を目的に立ち寄ることもできます。 レストランよりも気楽な雰囲気で、一人でも入りやすいカフェは、地元の人だけでなく、観光客にとってもありがたい存在です。 カフェ ラントマン ウィーンほどではありませんが、そのほかの都市でもカフェやスイーツの文化は根付いています。 例えば、モーツァルト生誕の地として知られる都市、ザルツブルク。 ザルツブルクの街並み アルプス山脈を望むザルツブルクでは、『ザルツブルガーノッケルン』が楽しめます。 雄大な山々がイメージされたスフレで、淡雪のように溶けていく軽い口当たりが特徴です。 ザルツブルガーノッケルン 歴史的な街並みが残る都市、リンツには、たっぷりのアーモンドパウダー、シナモン、クローブなどをいれた生地に、レッドカラントのジャムをたっぷり乗せ、格子模様を付けて焼いた菓子『リンツァートルテ』があります。 リンツァートルテは、レシピが現存している世界最古のケーキであり、4~500年も前から存在しているのだとか。 リンツの街並みとリンツァートルテ ほかにも、春はベリー、秋はクリなど、季節を感じるスイーツも豊富なオーストリア。 歴史的な施設や美しい観光地を回りながら、現地の日常にも溶け込み、先人たちの知恵が詰まった食文化に触れてみると、また違った魅力が見えてくるかもしれません。 ヨーロッパ旅行を考えている人は、オーストリアのカフェでひと息つきながら、コーヒーとともに街の歴史や伝統も味わってみてはいかがでしょうか。 オーストリアについて詳しく知りたい! [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな
世界各地で飲まれているコーヒーは、私たちにとっても身近な存在です。
コーヒーを飲む人は、朝、目覚めの1杯や、仕事中の気分転換など、さまざまなタイミングで口にしますよね。
コーヒーには『エスプレッソ』『カプチーノ』『アメリカン』など、数多くの種類や味わい方がありますが、『ウィンナーコーヒー』という飲み方をご存じでしょうか。
『ウィンナーコーヒー』ってなに?
ウィンナーコーヒーとは、食材の『ウィンナーソーセージ』が入ったコーヒー…ではなく、一般的には深煎りのコーヒーにたっぷりのホイップクリームをのせた飲み方のこと。
コーヒーの苦みと、まろやかなクリームが絶妙にマッチして、マイルドで飲みやすいことが特徴です。
日本の『ウィンナーコーヒー』
名前は、オーストリアの首都『ウィーン』が由来で、『ウィーン風のコーヒー』という意味。
実は、ウィーンでは、カフェが人々の生活に根付いており、『ウィーンのカフェ文化』はユネスコ無形文化遺産に登録されているほどです。
なぜウィーンは『カフェの街』に?
諸説ありますが、ウィーンのカフェ文化は、17世紀の終わり頃、ウィーンの包囲攻撃に失敗したオスマン帝国軍が、コーヒー豆の入った袋を大量に残して撤退し、それを市民たちが戦利品として手に入れたことが始まりといわれています。
以降、現地の人にとってのカフェは生活の一部。『音楽の都』や『芸術の都』として有名なウィーンですが、街の至るところにカフェが立ち並ぶ『カフェの街』でもあるのです。
現地の人々は、コーヒーを楽しむだけではなく、交流の場として使ったり、1人になりたい時に使ったり、それぞれの目的で、日々カフェに通っています。
カフェ ムゼウム
そんなウィーンが由来の『ウィンナーコーヒー』ですが、なんとウィーンには存在しません。
現地では、近しいものとして『アインシュペナー』というコーヒーが親しまれています。
『一頭引きの馬車』という意味で、かつて御者がコーヒーを冷めにくくするため、クリームでフタをしたことが始まり。
こぼれづらく、手綱を握りながら片手でも飲みやすいように、底が深い取っ手付きのグラスを使用していたことから、カップではなくグラスに注がれるのが一般的です。
アインシュペナー
また、オーストリアでは『冷たいコーヒーを飲む』という風習がないため、日本ではなじみ深い、いわゆる『アイスコーヒー』も存在しません。
外資系のチェーン店を除き、現地のカフェで『アイスコーヒー(ドイツ語で『アイスカフェー』)』と頼むと、コーヒーにアイスクリームとホイップクリームが乗った『コーヒーフロート』のような飲み物が出てくるのだとか。
現地の人たちは主にエスプレッソや、カプチーノに似た『メランジェ』というコーヒーを好んで飲んでいるそうです。
メランジェ
そのほかにも、ウィーンの伝統カフェには、独特の文化が多数あります。
日本のカフェとの違いを楽しむのも、面白そうですね!
【ウィーン伝統カフェの特徴の例】
・コーヒーの種類が20~30種類もある。
・コーヒーを頼むと、アルプスから引かれたおいしい『水道水』が一緒に出てくる。
・ティースプーンを水の上に伏せて置く。
・木製の新聞挟みで綴じられた新聞各紙が読める。
・スタッフがタキシードなどでビシッときめている。
カフェ ムゼウム
中には100年以上の歴史を持ち、音楽家のモーツァルトやベートーヴェン、画家のクリムトなど、教科書に出てくるような偉人たちが通っていたというカフェも多く現存しています。
また、『ハプスブルク家』の皇族たちも、お忍びでカフェに通うことがあったようですよ。
カフェ フラウエンフーバー:現存するウィーン最古のカフェ。モーツァルトやベートーヴェンが演奏会を開催した。
実は、観光地としても有名な『ウィーン美術史博物館』や『シェーンブルン宮殿』の中にも存在するカフェ。
特に『ウィーン美術史博物館』内にあるカフェは、「世界でもっとも美しいカフェ」といわれています。
ウィーン美術史博物館内のカフェ
コーヒーはスイーツも一緒に!
カフェでコーヒーを飲むなら、一緒にスイーツなども楽しみたいもの。
『チョコレートケーキの王様』とも称されるザッハートルテは、ウィーンの『ホテル・ザッハー』で生まれました。
ザッハートルテは、多くのカフェで提供されていますが、元祖であるホテル・ザッハーだけが『オリジナル・ザッハートルテ』を名乗ることを許されています。
オリジナル・ザッハートルテ
また、ウィーンのカフェでは、軽食だけではなくしっかりとした料理も出すところが多く、食事を目的に立ち寄ることもできます。
レストランよりも気楽な雰囲気で、一人でも入りやすいカフェは、地元の人だけでなく、観光客にとってもありがたい存在です。
カフェ ラントマン
ウィーンほどではありませんが、そのほかの都市でもカフェやスイーツの文化は根付いています。
例えば、モーツァルト生誕の地として知られる都市、ザルツブルク。
ザルツブルクの街並み
アルプス山脈を望むザルツブルクでは、『ザルツブルガーノッケルン』が楽しめます。
雄大な山々がイメージされたスフレで、淡雪のように溶けていく軽い口当たりが特徴です。
ザルツブルガーノッケルン
歴史的な街並みが残る都市、リンツには、たっぷりのアーモンドパウダー、シナモン、クローブなどをいれた生地に、レッドカラントのジャムをたっぷり乗せ、格子模様を付けて焼いた菓子『リンツァートルテ』があります。
リンツァートルテは、レシピが現存している世界最古のケーキであり、4~500年も前から存在しているのだとか。
リンツの街並みとリンツァートルテ
ほかにも、春はベリー、秋はクリなど、季節を感じるスイーツも豊富なオーストリア。
歴史的な施設や美しい観光地を回りながら、現地の日常にも溶け込み、先人たちの知恵が詰まった食文化に触れてみると、また違った魅力が見えてくるかもしれません。
ヨーロッパ旅行を考えている人は、オーストリアのカフェでひと息つきながら、コーヒーとともに街の歴史や伝統も味わってみてはいかがでしょうか。
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[文・構成/grape編集部]