弁護士「譲られても絶対ダメ」 横断歩道の『親切のワナ』に要注意 By - ことのは 公開:2025-09-12 更新:2025-09-12 交通ルール専門家監修弁護士車道路 Share Post LINE はてな コメント ※写真はイメージ 車を運転中、信号機のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者に気づいたら、一時停止をして道を譲るのが交通ルールです。 しかし、中には遠慮して「お先にどうぞ」と手で合図する歩行者もいます。そんな時、あなたならどうしますか。 「ありがとうございます」と軽く会釈して車を発進させたところ、思わぬ取り締まりにつながったというケースもあるようです。 法律上は、歩行者が絶対? SNSでは、「譲ってもらったのに、なぜ?」「理不尽だ!」といった、ドライバーの困惑の声がたびたび話題になります。 歩行者に譲られたにもかかわらず、車を発進させると法的に問題はあるのでしょうか。 大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。 ※写真はイメージ ――歩行者に「譲られた」場合でも、発進してはいけないのでしょうか? 道路交通法では、『横断しようとする歩行者がいる時は、車両は横断歩道の手前で一時停止し、かつ、その通行を妨げてはならない』と定められています。 これは絶対的なルールであり、歩行者が手で譲る合図をしたとしても、法律上の効力は一切ありません。警察官は、この法律に則って『歩行者妨害』として取り締まりを行っているのです。 歩行者からの「どうぞ」という合図は、あくまで個人的な『親切心』の現れであり、ドライバーが法律を守らなくてよくなる『許可』ではない、ということですね。 ――では、なぜ取り締まりが撤回されるケースがあるのですか? ごくまれに、ドライブレコーダーの映像などで『歩行者が明らかに横断する意思がなかったこと』が証明され、処分が撤回されるケースはあります。 ただし、これはあくまでも例外と考えたほうがいいでしょう。一度受けた取り締まりを覆すには、多大な時間と労力がかかるため、「譲ってくれたから大丈夫だろう」という安易な判断は危険です。 軽く会釈を返したり、手で「お渡りください」と合図を返したりして、歩行者が完全に横断し終わるまで、辛抱強く待ち続けるのが、最も安全で確実な対応です。 思いやりの連鎖が、事故を防ぐ ルールとはいえ、歩行者の『思いやり』が取り締まりにつながる点に、納得できない人も多いでしょう。 歩行者は「車を待たせるのは申し訳ない」と思い、ドライバーは「歩行者の親切に応えたい」と思う。その気持ちのすれ違いが、残念な結果を招いてしまっています。 ※写真はイメージ お互いの善意を空回りさせないためにも、横断歩道では、歩行者が渡り終えるまで、動かずに待つというルールを改めて徹底しましょう。 結果的に、誰もが安心して道を使える、安全で優しい交通社会につながっていくのではないでしょうか。 [文・取材/ことのは 構成/grape編集部] 監修・取材協力 北村真一 まこと法律事務所 代表弁護士。「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。⇒まこと法律事務所 水遊びで“水を飲んだだけ”でも危険!? プール・海・川、食中毒に似た症状を防ぐ5つの方法プール・海・川は、暑い時期に人気なレジャースポット。しかし、気を付けないと体調を崩してしまうかも? 「絶対にしないで!」 ついやってしまいがちなガソリンスタンドでのNG行為本記事ではガソリン給油時の注ぎ足し給油について、NGな理由を解説しています。 Share Post LINE はてな コメント
車を運転中、信号機のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者に気づいたら、一時停止をして道を譲るのが交通ルールです。
しかし、中には遠慮して「お先にどうぞ」と手で合図する歩行者もいます。そんな時、あなたならどうしますか。
「ありがとうございます」と軽く会釈して車を発進させたところ、思わぬ取り締まりにつながったというケースもあるようです。
法律上は、歩行者が絶対?
SNSでは、「譲ってもらったのに、なぜ?」「理不尽だ!」といった、ドライバーの困惑の声がたびたび話題になります。
歩行者に譲られたにもかかわらず、車を発進させると法的に問題はあるのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
※写真はイメージ
――歩行者に「譲られた」場合でも、発進してはいけないのでしょうか?
道路交通法では、『横断しようとする歩行者がいる時は、車両は横断歩道の手前で一時停止し、かつ、その通行を妨げてはならない』と定められています。
これは絶対的なルールであり、歩行者が手で譲る合図をしたとしても、法律上の効力は一切ありません。警察官は、この法律に則って『歩行者妨害』として取り締まりを行っているのです。
歩行者からの「どうぞ」という合図は、あくまで個人的な『親切心』の現れであり、ドライバーが法律を守らなくてよくなる『許可』ではない、ということですね。
――では、なぜ取り締まりが撤回されるケースがあるのですか?
ごくまれに、ドライブレコーダーの映像などで『歩行者が明らかに横断する意思がなかったこと』が証明され、処分が撤回されるケースはあります。
ただし、これはあくまでも例外と考えたほうがいいでしょう。一度受けた取り締まりを覆すには、多大な時間と労力がかかるため、「譲ってくれたから大丈夫だろう」という安易な判断は危険です。
軽く会釈を返したり、手で「お渡りください」と合図を返したりして、歩行者が完全に横断し終わるまで、辛抱強く待ち続けるのが、最も安全で確実な対応です。
思いやりの連鎖が、事故を防ぐ
ルールとはいえ、歩行者の『思いやり』が取り締まりにつながる点に、納得できない人も多いでしょう。
歩行者は「車を待たせるのは申し訳ない」と思い、ドライバーは「歩行者の親切に応えたい」と思う。その気持ちのすれ違いが、残念な結果を招いてしまっています。
※写真はイメージ
お互いの善意を空回りさせないためにも、横断歩道では、歩行者が渡り終えるまで、動かずに待つというルールを改めて徹底しましょう。
結果的に、誰もが安心して道を使える、安全で優しい交通社会につながっていくのではないでしょうか。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 北村真一
まこと法律事務所 代表弁護士。
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。
猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
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