刀を持たない現代の侍 和の音で今の日本を表現する『竜馬四重奏』が凄い By - grape編集部 公開:2016-08-03 更新:2018-05-30 バイオリン三味線楽器 Share Post LINE はてな 「日本の伝統文化と魂を、世界に」を合言葉に、4人の『侍』が立ち上がった。彼らの名前は竜馬四重奏。 彼らの持つ武器は刀ではない。日本で何百年も受け継がれている伝統楽器と、西洋の伝統楽器である、一挺のヴァイオリンだ。彼らの使命は、音で人々の魂を揺さぶることだ。 鼓の一打で、大和魂が共鳴する 竜馬四重奏が演奏する伝統楽器は、津軽三味線と、篠笛、鼓、そして洋楽器のヴァイオリン…。これらの楽器に詳しくなかった筆者は、楽器の説明もかねて、竜馬四重奏のメンバーに技を披露してもらった。 温厚な4人だが、楽器を構えると表情が一変。日本特有の熱い鼓動が鳴り響くと、たったの一音でスタジオの空気が変わり、放たれた気迫に引き込まれた。その圧巻のパフォーマンスはこちら。 古典楽器で奏でる『RYDEEN』 生々しい和楽器の音を、現代の音楽に落とし込むとどうなるのか…。7月にリリースされたアルバム『NEO ZIPANG』に収録されている『RYDEEN』のカバーをお聞きいただきたい。馴染みのあるこの曲にも「日本らしさ」を宿すことができるのだ。筆者は、仁(鼓担当)の掛け声を聴くたびに鳥肌が立つ。 結成の決意を語る 4人はそれぞれの楽器を使って第一線で活躍していた、実力派アーティスト。そんな4人がなぜバンドを結成したのか、彼らの想いに迫った。 ――結成の経緯について教えてください。 竜馬(ヴァイオリン):僕は日本人として、日本人らしいパフォーマンスをしたいと考えました。しかし、ヴァイオリンという洋楽器を演奏しているので「和楽器の人たちと一緒にバンドを組みたい」と思い、一人ずつメンバーを見つけ出し、打診しました。 ――オファーを受けた時の心境は? 翠(篠笛):和楽器を演奏している私たちは、敷居が高いと思われがちな演奏を、もっと聞きやすくしたいという想いがありました。竜馬のような強いフロントとともに、新しい音楽を作れば、若い人や海外の人、日本のことを全然知らない人でも、すんなり入ってくることができる音楽ができるかなと思ったのです。 ――新しいことをやることに、抵抗はありませんでしたか? 翠:伝統芸能の世界では、新しいことをやることを良く思わない方もいるかもしれない。ただそれだと、新しい世界を見られないと思っていました。結成当初は「ダメならダメでもやってみよう」と思って挑戦しました。8年間続けてきてよかったですし、ありがたい縁だったと思いますね。 仁(鼓):僕なんかは、はじめ音楽を聞かせていただいた時点で「これは面白い」ってワクワクが止まらなくて…。実際始めてみると、音を作る作業が楽しくて楽しくて仕方なかったですね。 雅勝(津軽三味線):日本の伝統音楽には特有のリズムや間があります。それを洋楽に合わせていくとき「日本らしさが失われたりするのでは」というのは最初あったのですが、徐々にやっていくうちに、お互いの呼吸やリズムが分かってきて、それが8年で熟成され、いい関係になったかなと思います。 ――竜馬四重奏がやる「和と洋のコラボ」の特徴や魅力とは? 竜馬:ジャンルを特に指定せず、メンバーそれぞれが自由に作っているところが特徴です。竜馬四重奏サウンドとは、4人またはそれを含めたアレンジャーさん作曲家さんと作り上げていくものです。この4人が鳴らしている、この4人がいるからいまこの曲がある、というサウンドを作っていきたいと思っています。 翠:和楽器と洋楽器がコラボすることは特段めずらしいことではありませんが、EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)やロックテイスト、ラテンテイストなど…さらにはYMOの『RYDEEN』など、有名な曲のカバーまでしています。4人でやるジャンルの広さ…なんでもできる、という可能性の広さというのは、僕たちならではだと思います。 雅勝:あと、例えば仁さんは古典特有のフレーズ『手を使っています。ただやみくもに洋楽に合わせていくわけではないんですね。古典的な『手』を入れたりして、日本の楽器の特徴を出す。その面白さも聴いていただけたらなと思います。 仁:現代のメロディにも、400年以上前から変わらない古典の手法を、形を変えずに心を込めてやっています。鼓という伝統楽器を引き継いでいるという意思を崩さない「これが本物だ!」というところを意識しています。 ――『日本らしさ』の定義が多様化している現代ですが、竜馬四重奏が語る日本とは、何だと思いますか? 竜馬:それはずばり『魂』だと思います。海外の文化を取り入れていく懐の広さは、日本の良さでもあります。しかし、魂の部分は、隆々と流れているはずです。そしてその魂を刺激するようなものは、和楽器だと思うんです。その音を聞いただけで血が騒いだりする…僕らが今を生きて、このサウンドを作っていること自体が一つの「日本らしさ」なのだと信じてやっています。 ――メジャーデビューして初のアルバム「NEO ZIPANG」について教えてください。 竜馬:アルバムの名前は、雅勝がつけたんです。 雅勝:僕たちは、古いものを扱っているけれども、それを使って新しいジャパンを打ち出したいと思いました。NEOとは「新しい」という意味もありますけど、「復活」という意味も込められているので、この言葉を選びました。 竜馬:アルバムでは、メンバーそれぞれが感じる日本のカッコよさを、あらゆるジャンルに乗せてやってみたら…と、ある意味実験的な試みをしました。何度聞いても楽しめるようなアルバムになっていると思うので、一回とは言わず何回も聞いて、「ここがカッコいい」と思える曲の部分とかも見つけてもらえたらいいなと思います。 ――世界はいま日本に向いています。今後の目標は? 竜馬:日本の文化は、世界中で再認識されていると思います。昔の良さと今の良さをブレンドして、それを新しいエンターテイメントとして世界に発信していく。「世界の竜馬四重奏」になることを掲げています。そして、2020年には東京で、日本を代表して演奏したい。それは世界が認めてくれれば、できると思っています。 ――4人が奏でる音には、日本の風土との強い繋がりを感じさせる。竜馬四重奏が表現する「日本の魂」とは…。彼らの曲を、日本について改めて考えるきっかけにしてみてはいかがだろうか。 iTunes Store : 竜馬四重奏 『NEO ZIPANG』 取材協力 株式会社ポニーキャニオン Share Post LINE はてな
「日本の伝統文化と魂を、世界に」を合言葉に、4人の『侍』が立ち上がった。彼らの名前は竜馬四重奏。
彼らの持つ武器は刀ではない。日本で何百年も受け継がれている伝統楽器と、西洋の伝統楽器である、一挺のヴァイオリンだ。彼らの使命は、音で人々の魂を揺さぶることだ。
鼓の一打で、大和魂が共鳴する
竜馬四重奏が演奏する伝統楽器は、津軽三味線と、篠笛、鼓、そして洋楽器のヴァイオリン…。これらの楽器に詳しくなかった筆者は、楽器の説明もかねて、竜馬四重奏のメンバーに技を披露してもらった。
温厚な4人だが、楽器を構えると表情が一変。日本特有の熱い鼓動が鳴り響くと、たったの一音でスタジオの空気が変わり、放たれた気迫に引き込まれた。その圧巻のパフォーマンスはこちら。
古典楽器で奏でる『RYDEEN』
生々しい和楽器の音を、現代の音楽に落とし込むとどうなるのか…。7月にリリースされたアルバム『NEO ZIPANG』に収録されている『RYDEEN』のカバーをお聞きいただきたい。馴染みのあるこの曲にも「日本らしさ」を宿すことができるのだ。筆者は、仁(鼓担当)の掛け声を聴くたびに鳥肌が立つ。
結成の決意を語る
4人はそれぞれの楽器を使って第一線で活躍していた、実力派アーティスト。そんな4人がなぜバンドを結成したのか、彼らの想いに迫った。
――結成の経緯について教えてください。
竜馬(ヴァイオリン):僕は日本人として、日本人らしいパフォーマンスをしたいと考えました。しかし、ヴァイオリンという洋楽器を演奏しているので「和楽器の人たちと一緒にバンドを組みたい」と思い、一人ずつメンバーを見つけ出し、打診しました。
――オファーを受けた時の心境は?
翠(篠笛):和楽器を演奏している私たちは、敷居が高いと思われがちな演奏を、もっと聞きやすくしたいという想いがありました。竜馬のような強いフロントとともに、新しい音楽を作れば、若い人や海外の人、日本のことを全然知らない人でも、すんなり入ってくることができる音楽ができるかなと思ったのです。
――新しいことをやることに、抵抗はありませんでしたか?
翠:伝統芸能の世界では、新しいことをやることを良く思わない方もいるかもしれない。ただそれだと、新しい世界を見られないと思っていました。結成当初は「ダメならダメでもやってみよう」と思って挑戦しました。8年間続けてきてよかったですし、ありがたい縁だったと思いますね。
仁(鼓):僕なんかは、はじめ音楽を聞かせていただいた時点で「これは面白い」ってワクワクが止まらなくて…。実際始めてみると、音を作る作業が楽しくて楽しくて仕方なかったですね。
雅勝(津軽三味線):日本の伝統音楽には特有のリズムや間があります。それを洋楽に合わせていくとき「日本らしさが失われたりするのでは」というのは最初あったのですが、徐々にやっていくうちに、お互いの呼吸やリズムが分かってきて、それが8年で熟成され、いい関係になったかなと思います。
――竜馬四重奏がやる「和と洋のコラボ」の特徴や魅力とは?
竜馬:ジャンルを特に指定せず、メンバーそれぞれが自由に作っているところが特徴です。竜馬四重奏サウンドとは、4人またはそれを含めたアレンジャーさん作曲家さんと作り上げていくものです。この4人が鳴らしている、この4人がいるからいまこの曲がある、というサウンドを作っていきたいと思っています。
翠:和楽器と洋楽器がコラボすることは特段めずらしいことではありませんが、EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)やロックテイスト、ラテンテイストなど…さらにはYMOの『RYDEEN』など、有名な曲のカバーまでしています。4人でやるジャンルの広さ…なんでもできる、という可能性の広さというのは、僕たちならではだと思います。
雅勝:あと、例えば仁さんは古典特有のフレーズ『手を使っています。ただやみくもに洋楽に合わせていくわけではないんですね。古典的な『手』を入れたりして、日本の楽器の特徴を出す。その面白さも聴いていただけたらなと思います。
仁:現代のメロディにも、400年以上前から変わらない古典の手法を、形を変えずに心を込めてやっています。鼓という伝統楽器を引き継いでいるという意思を崩さない「これが本物だ!」というところを意識しています。
――『日本らしさ』の定義が多様化している現代ですが、竜馬四重奏が語る日本とは、何だと思いますか?
竜馬:それはずばり『魂』だと思います。海外の文化を取り入れていく懐の広さは、日本の良さでもあります。しかし、魂の部分は、隆々と流れているはずです。そしてその魂を刺激するようなものは、和楽器だと思うんです。その音を聞いただけで血が騒いだりする…僕らが今を生きて、このサウンドを作っていること自体が一つの「日本らしさ」なのだと信じてやっています。
――メジャーデビューして初のアルバム「NEO ZIPANG」について教えてください。
竜馬:アルバムの名前は、雅勝がつけたんです。
雅勝:僕たちは、古いものを扱っているけれども、それを使って新しいジャパンを打ち出したいと思いました。NEOとは「新しい」という意味もありますけど、「復活」という意味も込められているので、この言葉を選びました。
竜馬:アルバムでは、メンバーそれぞれが感じる日本のカッコよさを、あらゆるジャンルに乗せてやってみたら…と、ある意味実験的な試みをしました。何度聞いても楽しめるようなアルバムになっていると思うので、一回とは言わず何回も聞いて、「ここがカッコいい」と思える曲の部分とかも見つけてもらえたらいいなと思います。
――世界はいま日本に向いています。今後の目標は?
竜馬:日本の文化は、世界中で再認識されていると思います。昔の良さと今の良さをブレンドして、それを新しいエンターテイメントとして世界に発信していく。「世界の竜馬四重奏」になることを掲げています。そして、2020年には東京で、日本を代表して演奏したい。それは世界が認めてくれれば、できると思っています。
――4人が奏でる音には、日本の風土との強い繋がりを感じさせる。竜馬四重奏が表現する「日本の魂」とは…。彼らの曲を、日本について改めて考えるきっかけにしてみてはいかがだろうか。
iTunes Store : 竜馬四重奏 『NEO ZIPANG』