餅がのどに詰まるのは嫌! 細かく切るほか、できる工夫は?【管理栄養士監修】
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- 出典
- こども家庭庁






お雑煮や焼き餅など、年末年始に食べたくなるお餅。
調理方法や味つけによってさまざまなおいしさを味わえるため、この時期を楽しみにしている人も多いでしょう。
一方で、高齢者や子供がお餅をノドに詰まらせる事故が毎年発生しています。
お餅料理を存分に楽しむためにも、家族全員が安全に食べられる対策を知っておきたいですよね。
どうすれば安全に食べられるか、お餅料理でできる工夫を見ていきましょう!
お餅を食べやすくする方法
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お餅を食べやすくするには、一口で無理なく食べられる、小さめのサイズに切ることがおすすめです。
高齢者や子供が食べる場合の目安は1〜1.5cm程度ですが、噛む力や飲み込む力には個人差があるため、様子を見ながら調整しましょう。
お餅が切りにくい場合は、購入したお餅を600Wの電子レンジで10〜15秒ほど温めれば包丁が通りやすくなり、その後の調理がラクになります。
小さめにカットしたうえで、1つずつ食べることでノドに詰まりにくくなるので、ぜひ実践してみてくださいね。
管理栄養士の広田千尋さんによると、子供がお餅を食べられるかどうかは、次の判断ポイントがあるそうです。
子供に切りお餅を与える場合の目安は『3歳以上』とされているものもありますが、根拠ははっきりとしていません。
こども家庭庁のウェブサイトを見ると、「餅は5歳までは避けるように」と記載されています。また、子供の食品による窒息死事故の8割が4歳以下で起こっているというデータもあります。
そのため『4〜5歳』が1つの目安になりますが、年齢だけで判断するのは避け、噛む力がしっかりとついて、落ち着いて食べられるかどうかを必ず確認しましょう。
お餅がノドに詰まりにくくする方法
お餅はノドに貼りつきやすい性質があるため、しっかり噛んで唾液とお餅を混ぜ合わせてから飲み込むことが大切です。また、お餅を食べる前には、水分をとってノドをうるおしておきましょう。
特に、高齢者は噛む力と飲み込む力が弱く、唾液の分泌量が少ないため注意してください。
ただし、よく噛まないうちにお茶などでお餅を流し込んではいけません。しっかりとよく噛んで、飲み込んでから次の一口を食べましょう。
また、一度に口に入れる量が多くなりすぎないようにすることも気を付けてくださいね。
お餅の食べ方のほかにも「1人は避け、家族の見守りのもとで一緒に食べる」「落ち着いた環境で食べる」なども、注意するようにしましょう。
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お餅の代替品を用意する
「食べ方を工夫しても、お餅がノドに詰まりそうで不安」
そういう人は、代替品を用意しましょう。
白玉粉に絹ごし豆腐を混ぜ合わせて作る『豆腐白玉団子』は、やわらかく仕上がるので食べやすく、お餅に似た食感も楽しめます。
食べる力がついている子供や、お餅を食べるのが不安な高齢者によいでしょう。
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そのほかにも、もっちりとした食感の生麩、見た目も食感もお餅のような『豆腐餅』なども代替品にぴったりです!
『豆腐餅』とは、片栗粉に豆腐を混ぜ、電子レンジやフライパンなどで加熱したら完成する、お手軽な一品。
調理の際、甘い味付けが好みなら砂糖、辛めな味付けがよければ塩を入れるなど、調節ができます。
また、広田さんはほかの代替品を2点教えてくれました。
お雑煮に入れるなら、小麦粉で作る『すいとん』もおすすめです。小麦粉、塩、ぬるま湯などで生地を作り、具材と一緒に煮込むとでき上がります。
また、栄養価の高いおからで作る『おから餅』も、きなこやあずきとよく合っておいしく食べられますよ。おから、片栗粉、水などの材料で、電子レンジで簡単に作れます。
ただし、どのような食べ物にも窒息のリスクがあるため、代替品だからといって「絶対に安全」というわけではありません。高齢者や子供が食べる場合は、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の力に配慮し、無理なく食べられるかどうかを確認しましょう。
介護食のお餅
代替品でも不安がある場合や、よりお餅の風味を楽しみたい場合は、介護食のお餅を使ってみましょう。
撮影:grapeフード編集部
介護食用のお餅は、飲み込む力や噛む力に配慮し、粘り気やべたつきを抑えて作られています。
商品によっては、歯茎で潰せるほどの柔らかさになっているため、安全にお餅を食べたい場合に適していますよ。
お雑煮やお汁粉の具としても使えるため、好みの味つけで調理してみてくださいね。
ただし、飲み込む力が弱くなっているなど、状態によっては介護食のお餅でも避けたほうがよい場合があります。
利用する前に、一度かかりつけ医などに相談するようにしましょう。
一手間加えて安全にお餅を楽しもう
正月の定番ともいえるお餅を安全に楽しむ方法は、ご紹介したようにさまざま。
お餅に一手間加えるほか、お餅に似た食感の代替品や、介護食用のお餅を用意する方法もあるので、いずれかの方法を試してみてくださいね。
お餅による事故のリスクを抑え、安全に新年をお祝いしましょう。
監修・取材協力 広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務した管理栄養士。
生活習慣病の人や、高齢者への栄養サポート、赤ちゃんや子供向けの食事相談など、幅広い年代のサポートに携わる。
現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。身近な材料で簡単に作れるレシピ作成などを得意としている。
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[文・構成・取材/grape編集部]