ゴミ箱に紙パックを捨てようとした女性 同僚に注意されると…? 提供:全国牛乳容器環境協議会 By - grape編集部 公開:2022-12-27 更新:2023-02-24 インタビューエコ工場環境問題紙パックリサイクル Share Post LINE はてな 日常生活を過ごしていると、必ずさまざまなゴミが発生します。 増え続けるゴミは、深刻な社会問題の1つであり、なるべくゴミを削減したり、もう一度資源として利用したりするために、一人ひとりの意識が大切です。 ある日のgrape。リサイクルが大好きな社員の加藤くんが、牛乳パックを可燃ゴミとして捨てようとしている同僚を発見しました。 加藤 ちょっとストップ!牛乳パックはリサイクルできるから捨てちゃダメ! 同僚 あ、ごめん全然気にしていなかったよ…。 加藤 牛乳パックはリサイクル素材としても非常に上質な資源なんだよ!リサイクルされた後は主にトイレットペーパーになるんだ! 同僚 これからは意識する!でも、牛乳パックとトイレットペーパーって全然違うね。どうやってトイレットペーパーになるの? 加藤 …それは…。 牛乳パックが『回収されるまで』の知識を、得意気に披露していた加藤くんでしたが、『回収された後』のことは分からず、固まってしまいます。 悔しくなった加藤くんは、「ちょっと待ってて!」といい残し、すぐに『とあるイベント』に向かったのでした。 集められた『紙パック』の行方は… 訪れたのは、地球環境問題やSDGsに関連した企業・団体が、取り組みや新技術などを展示するイベント『エコプロ2022』。 同イベントに出展している団体の1つ、『全国牛乳容器環境協議会』のブースで、専門家に話を聞いてみることにしたのです。 質問に答えてくれたのは、同団体のブースの責任者、小林さん。 ブースを案内してもらいながら、例の質問をぶつけてみました。 加藤 牛乳パックは、どういう流れでトイレットペーパーになるんですか? 小林さん まず、回収された牛乳パックは再生紙工場に運ばれて、細かく裁断されます。鋭利に『切る』というよりは、『ちぎる』イメージですね。 小林さん 次に、専用の『パルパー』に入れて… 加藤 『パルパー』? 小林さん イメージとしては大きな『洗濯機』や『ミキサー』のようなものです。その中に50~80℃くらいのお湯と、食品にも使われる薬剤を投入して、ドロドロに溶かすことで、紙パックの素材である『パルプ』と『ポリエチレン』を分離するんです。 加藤 なるほど、回収に出す時に『紙』マークと、『紙パック』マークを分別しなきゃいけないのは、このためですか? 小林さん その通りです!分離しないと、ポリエチレンが邪魔をして、再生した時にきれいな紙にならないからです。 リサイクルが可能な紙でも、お菓子やティッシュの空箱などには『紙』、牛乳パックには『紙パック』と、異なるマークが付いています。 『紙パック』はリサイクル時に、ポリエチレンを分離しなければならないため、その設備がある工場へ運ぶ必要があるのです。 紙製品をリサイクルに出す際には、気を付けたいポイントの1つですね! 小林さん その後は『サイクロン』や『スクリーン』と呼ばれる機械で、パルプを分離して、洗って、ゴミなどを取り除いていきます。 加藤 おぉーすごい!ちなみに分離されたポリエチレンはどうなるんですか? 小林さん ポリエチレンは、再生紙工場を稼働するためのエネルギーとして、工場内のボイラーの燃料に使われていることが多いようです。重油や石油にかわるエネルギー源として、有効に使われています。 加藤 ポリエチレンも無駄にはならないんですね! 小林さん その後はきれいになったパルプを、薄く均一に伸ばして乾燥していきますそれを巻き取ることによって、1本の重さが数トンにもなる、大きなロールができあがります。 加藤 一気に巨大なトイレットペーパーっぽくなりましたね! 小林さん ロールを『リワインダー』という機械にセットして、長い芯に巻き取っていきます。紙をふんわりとさせる『エンボス加工』やミシン目を入れる加工も、ここで行っています。ロール1つをセットすればシングルの、2つをセットすればダブルのトイレットペーパーができます。 小林さん 長いトイレットペーパーを10cmくらいの幅に切り分けたら、普段使っているトイレットペーパーの完成です! 加藤 あっという間に見慣れた形に…!ここまでどれくらいの時間がかかるんですか? 小林さん 工場にもよりますが、紙パックをパルパーに投入してから、トイレットペーパーができるまでで、大体1日から1日半くらいです! 小林さんに細かく教えてもらい、さらにリサイクルについての知識を深めた加藤くん。 牛乳パックからトイレットペーパーへ、リサイクルされていく過程が分かったことで、「資源を大切にしよう」という気持ちがより一層強くなったようです。 ちなみに、トイレットペーパーを1つ作るのに、1000㎖の紙パック6枚が必要。 そのほかにも、ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどに生まれ変わることもあるそうですよ。 加藤 とても勉強になりました。ありがとうございました! 加藤 …ということらしい!! 同僚 ……あ、ありがとう。(行動力すごいな…) 牛乳パックを始めとする『紙パック』はリサイクル資源として非常に優秀ですが、その回収率は低く、2021年度の使用済み紙パックの回収率は29.5%だといわれています。 今回、回収に出された紙パックの『その後』が分かったことで、リサイクルをより身近に感じてもらえたのではないでしょうか。 ゴミとして処理をした場合に比べて、CO2排出量の削減にもつながるなど、SDGsの取り組みとしても重要な紙パックのリサイクルは、地球環境のために私たちが個人でも行える活動の1つです。 日々の生活の中で、少しずつでも取り組んでみてはいかがでしょうか。 紙パックのリサイクルについて詳しくみる [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな
日常生活を過ごしていると、必ずさまざまなゴミが発生します。
増え続けるゴミは、深刻な社会問題の1つであり、なるべくゴミを削減したり、もう一度資源として利用したりするために、一人ひとりの意識が大切です。
ある日のgrape。リサイクルが大好きな社員の加藤くんが、牛乳パックを可燃ゴミとして捨てようとしている同僚を発見しました。
ちょっとストップ!牛乳パックはリサイクルできるから捨てちゃダメ!
あ、ごめん全然気にしていなかったよ…。
牛乳パックはリサイクル素材としても非常に上質な資源なんだよ!
リサイクルされた後は主にトイレットペーパーになるんだ!
これからは意識する!
でも、牛乳パックとトイレットペーパーって全然違うね。どうやってトイレットペーパーになるの?
…それは…。
牛乳パックが『回収されるまで』の知識を、得意気に披露していた加藤くんでしたが、『回収された後』のことは分からず、固まってしまいます。
悔しくなった加藤くんは、「ちょっと待ってて!」といい残し、すぐに『とあるイベント』に向かったのでした。
集められた『紙パック』の行方は…
訪れたのは、地球環境問題やSDGsに関連した企業・団体が、取り組みや新技術などを展示するイベント『エコプロ2022』。
同イベントに出展している団体の1つ、『全国牛乳容器環境協議会』のブースで、専門家に話を聞いてみることにしたのです。
質問に答えてくれたのは、同団体のブースの責任者、小林さん。
ブースを案内してもらいながら、例の質問をぶつけてみました。
牛乳パックは、どういう流れでトイレットペーパーになるんですか?
まず、回収された牛乳パックは再生紙工場に運ばれて、細かく裁断されます。鋭利に『切る』というよりは、『ちぎる』イメージですね。
次に、専用の『パルパー』に入れて…
『パルパー』?
イメージとしては大きな『洗濯機』や『ミキサー』のようなものです。その中に50~80℃くらいのお湯と、食品にも使われる薬剤を投入して、ドロドロに溶かすことで、紙パックの素材である『パルプ』と『ポリエチレン』を分離するんです。
なるほど、回収に出す時に『紙』マークと、『紙パック』マークを分別しなきゃいけないのは、このためですか?
その通りです!分離しないと、ポリエチレンが邪魔をして、再生した時にきれいな紙にならないからです。
リサイクルが可能な紙でも、お菓子やティッシュの空箱などには『紙』、牛乳パックには『紙パック』と、異なるマークが付いています。
『紙パック』はリサイクル時に、ポリエチレンを分離しなければならないため、その設備がある工場へ運ぶ必要があるのです。
紙製品をリサイクルに出す際には、気を付けたいポイントの1つですね!
その後は『サイクロン』や『スクリーン』と呼ばれる機械で、パルプを分離して、洗って、ゴミなどを取り除いていきます。
おぉーすごい!ちなみに分離されたポリエチレンはどうなるんですか?
ポリエチレンは、再生紙工場を稼働するためのエネルギーとして、工場内のボイラーの燃料に使われていることが多いようです。重油や石油にかわるエネルギー源として、有効に使われています。
ポリエチレンも無駄にはならないんですね!
その後はきれいになったパルプを、薄く均一に伸ばして乾燥していきますそれを巻き取ることによって、1本の重さが数トンにもなる、大きなロールができあがります。
一気に巨大なトイレットペーパーっぽくなりましたね!
ロールを『リワインダー』という機械にセットして、長い芯に巻き取っていきます。紙をふんわりとさせる『エンボス加工』やミシン目を入れる加工も、ここで行っています。
ロール1つをセットすればシングルの、2つをセットすればダブルのトイレットペーパーができます。
長いトイレットペーパーを10cmくらいの幅に切り分けたら、普段使っているトイレットペーパーの完成です!
あっという間に見慣れた形に…!ここまでどれくらいの時間がかかるんですか?
工場にもよりますが、紙パックをパルパーに投入してから、トイレットペーパーができるまでで、大体1日から1日半くらいです!
小林さんに細かく教えてもらい、さらにリサイクルについての知識を深めた加藤くん。
牛乳パックからトイレットペーパーへ、リサイクルされていく過程が分かったことで、「資源を大切にしよう」という気持ちがより一層強くなったようです。
ちなみに、トイレットペーパーを1つ作るのに、1000㎖の紙パック6枚が必要。
そのほかにも、ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどに生まれ変わることもあるそうですよ。
とても勉強になりました。ありがとうございました!
…ということらしい!!
……あ、ありがとう。(行動力すごいな…)
牛乳パックを始めとする『紙パック』はリサイクル資源として非常に優秀ですが、その回収率は低く、2021年度の使用済み紙パックの回収率は29.5%だといわれています。
今回、回収に出された紙パックの『その後』が分かったことで、リサイクルをより身近に感じてもらえたのではないでしょうか。
ゴミとして処理をした場合に比べて、CO2排出量の削減にもつながるなど、SDGsの取り組みとしても重要な紙パックのリサイクルは、地球環境のために私たちが個人でも行える活動の1つです。
日々の生活の中で、少しずつでも取り組んでみてはいかがでしょうか。
紙パックのリサイクルについて詳しくみる
[文・構成/grape編集部]