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チョコレートの原料カカオ 生産地を訪れた男性が感じたこととは

By - grape編集部  公開:  更新:

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森永製菓の写真

子供から大人まで、みんな大好きなチョコレート。特にバレンタインデーのある2月は、見かける機会が多くなりますよね。

私たちにとっては身近なお菓子である一方、原料のカカオは遥か遠くの国々で生産されており、その多くがアフリカをはじめとする開発途上国です。

現地では、十分な教育環境が整っておらず、生活のため子供たちが働かざるを得ないなど、深刻な児童労働問題も多く存在しています。

こうしたカカオ生産地の課題に対し、『DARS』や『小枝』、『カレ・ド・ショコラ』などのチョコレート菓子でも知られる食品メーカーの森永製菓株式会社(以下、森永製菓)が『ある取り組み』を行っていることをご存じでしょうか。

『1チョコ for 1スマイル』とは?

森永製菓が2008年から行っている『1チョコ for 1スマイル』は、同社のチョコレート商品の売上の⼀部を使い、ガーナなどカカオの国の未来を担う子供たちを支援する活動です。

国際NGOのプラン・インターナショナル、日本生まれのNGOであるACE(エース)を通じて、教育環境の改善や、児童労働問題の解決に向けた取り組みを行っています。

ガーナ視察写真

これまでに、小学校の建設や教室の修繕、学用品の支給といった就学支援、カカオ農家の技術向上・自立支援、支援地域の児童労働モニタリングシステムの構築など、さまざまな支援活動を行ってきました。

また、年間を通じた寄付活動に加えて、年に一度の特別期間中には『DARS』や『小枝』、『カレ・ド・ショコラ』など、対象商品が1個購入されるごとに、1円を寄付するキャンペーンも実施。

ガーナ視察写真

2023年3月までに3億円近くの寄付額※1が集まっており、約1万7千人の子供たちの支援につながっています。

「感謝の気持ちを直接伝えたい」

2024年で16年目を迎えた『1チョコ for 1スマイル』。

2023年には、森永製菓の社員で、研究員の小野隆さん、マーケターの植竹麻衣子さん、広報担当の渡辺啓太さんの3名が、『1チョコ for 1スマイル』を通じて支援してきたガーナをACEと一緒に訪問し、カカオ農家の現状や課題を体感しました。

ガーナ視察写真

同社が実施した渡航前のインタビューでは、視察に向けた意気込みや想いを、このように語っています。

小野さん
カカオ生産地の歴史や環境・システムはその土地で異なり、ガーナについても独特な要素があるはずです。現地で体験したことを多くの人に伝えて、児童労働の問題にさらにしっかりと向き合うことはもちろん、カカオ生産者との信頼関係の構築につながるような取り組みにも発展できるといいなと思っています

植竹さん
今回のガーナ訪問でカカオ生産国の今を体感することで、これから先『1チョコ for 1スマイル』を通して当社が、そして私が何を目指していくべきかを考え、みなさんに伝えるきっかけにしたいと思います。何よりも、ガーナの子供たちのスマイルに会えるのを楽しみにしています

渡辺さん
自分の五感をフルに活用しカカオ生産国の現状・課題を体感することが第一歩であると考えています。1分1秒を無駄にせず、現地の関係者のすべての方の一言一句に耳を傾け、帰国後は従業員に、そして、あらゆるステークホルダーのみなさんにお伝えし、一緒にガーナについて考えるきっかけを必ず持って帰ってまいります

現地では、主にカカオ生産地域の学校や農家を訪問し、子供たちや農家に対して感謝の気持ちを直接伝え、カカオ収穫の大変さを体感したという視察メンバーたち。

ガーナ視察写真

また、カカオ生産におけるサステナビリティ課題とその背景を知り、ボランティアグループや政府機関など、さまざまな関係者と対話を重ね、課題解決に向けた取り組みについて理解を深めたそうです。

ガーナ視察写真

grapeでは、視察メンバーの1人である渡辺さんにガーナ訪問の感想をうかがいました。

ガーナ視察写真
ライター

現地視察でもっとも印象的だった出来事はなんですか?

ガーナ視察写真
渡辺さん

学校に行けずに働いていた11歳のジャネットさん(仮名)にインタビューした時の回答がとても印象に残っています。
私の「1つだけ願いが叶うとしたら?」という質問に対して、ジャネットさんは「教育を受け続けたい」と答えてくれました。
『1チョコ for 1スマイル』の支援により、ジャネットさんが『教育の大切さや学ぶことの楽しさ』に気付くきっかけを提供できたことを、とても嬉しく思います。

ガーナ視察写真
渡辺さん

一方で『1チョコ for 1スマイル』の活動は、ジャネットさんのコミュニティにおいては一時的なものです。『1チョコ for 1スマイル』の活動がなくても、ジャネットさんだけでなくガーナの子供たちが教育を受け続け、笑顔でいられる社会を、彼ら彼女ら自身の手で作り上げられるように見守っていくことが大切だと実感しました。

ガーナ視察写真
ガーナ視察写真
ライター

視察前と後で、ギャップを感じたことはありましたか?

ガーナ視察写真
渡辺さん

視察前は『1チョコ for 1スマイル』は対象の支援地域のみをサポートしており、ガーナ全体の児童労働を考えると私たちの支援だけでは解決までの道のりは長いと感じていました。
しかし、視察を通じて『1チョコ for 1スマイル』の活動が、ガーナ政府が進める『児童労働フリーゾーン(Child Labour Free Zones)※2』というガーナの国全体の児童労働の予防と撤廃に向けた国の政策に影響を与えていたことを知り、感動を覚えました。

ガーナ視察写真
ガーナ視察写真
ライター

視察後、自身の考え方や行動はどのように変わりましたか?

ガーナ視察写真
渡辺さん

『1チョコ for 1スマイル』は、子供たちへの支援だけでなく、親や教師、地域の大人たちの児童労働に対する意識や行動を変えていることを強く実感しました。
10年以上の支援の結果、ACEとガーナ政府の連携につながり、ガーナ全体の児童労働撤廃に向けた取り組みへと広がっています。課題はまだ多く残っていますが、『1チョコ for 1スマイル』が『私たちの活動』から、ガーナ全体の『1チョコ for Allスマイル』へつながっているのだと気付くことができました。

ガーナ視察写真
渡辺さん

まずは、『1チョコ for 1スマイル』の活動をより多くのみなさまに知っていただく努力をします。カカオ生産国が抱える問題も理解していただくことで、カカオ産業の未来を一緒に考えるきっかけづくりを行いたいです。
そして『チョコレートを⾷べる⼈も、カカオの国で学ぶ⼦どもたちも、みんなの笑顔を未来につなぎたい。』という想いのもと、『1チョコ for 1スマイル』の支援が必要なくなる日を目指して、お客様と一緒に、取り組みを続けていきたいと思います。

『SDGs』という言葉が生まれる前から森永製菓が取り組んできた『1チョコ for 1スマイル』。

一部のコミュニティ支援から始まった活動は、現在ガーナという国全体の児童労働撤廃に向けた取り組みへと広がっていることが分かりました。

現地の空気を感じ、子供たちとのふれ合いや、関係者との対談を通して、歴代の担当者が紡いできた『1チョコ for 1スマイル』への想いが、より大きくなったことは間違いないでしょう。

ガーナ視察写真

『世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます』という企業パーパスを掲げている森永製菓。

チョコレートに関わるすべての人の幸せにつながる『1チョコ for 1スマイル』の取り組みは、まさにパーパスを体現した活動といえますね。

対象商品1つ購入につき、1円が寄付される特別期間は2024年1月4日(木)~2月14日(水)

商品の購入を通して、私たち消費者が参加できることも『1チョコ for 1スマイル』の特徴の1つです。

気になった人は、ウェブサイトから詳細を調べてみてはいかがでしょうか。


※1 プラン・インターナショナルとACEによる支援実績を合算した金額。

※2 『児童労働フリーゾーン(Child Labour Free Zones)』とは、児童労働を予防・是正する仕組みを整備した地域のことをさし、ある一定の要件を満たした地域(複数のコミュニティから成るゾーン)を認定する制度で、ガーナ政府が策定。制度の普及を日本政府がJICAを通じて支援している。


[文・構成/grape編集部]

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