「何段あるの…?」 久遠寺の『キツい石段』に挑戦してみたら? 提供:日蓮宗宗務院 By - grape編集部 公開:2023-02-09 更新:2023-02-15 国内旅行寺旅行 Share Post LINE はてな 春の旅行シーズンを間近に控えた2023年2月現在。「どこに行こうか」と悩んでいる人もいるでしょう。 みなさんは近年話題となっている『宿坊』という言葉をご存じですか。 『宿坊』とは、お寺や神社にある宿泊施設のことであり、もともとは僧侶や、参拝者のためのものでしたが、現在では一般の観光客の宿泊も受け入れている施設が増えています。 宿坊に泊まると「日常ではなかなかできない、寺社ならではの体験が味わえる」と、じわじわ人気が高まっているのです。 具体的にはどのようなことができるのか…実際に体験してみました。 こんな過ごし方ができる!お寺に泊まってみると…? 訪れたのは、山梨県南巨摩郡身延町にある『武井坊』。 日蓮宗の開祖である日蓮聖人により開かれた『身延山(みのぶさん)』にある宿坊です。 身延山は、日本仏教三大霊山の1つであり、日蓮宗の総本山(祖山)、『久遠寺(くおんじ)』があることで有名。 2023年は、日蓮聖人が身延山に入山して、ちょうど750年の節目の年ということもあり、特に多くの参拝客が日々訪れています。 武井坊に訪れると、まず驚かされたのは、明るくてきれいなエントランス! 歴史ある施設のため、建物も古いイメージを持っていましたが、武井坊では、お寺の歴史はそのままに、宿泊設備は新しく整備されているのです。 身延山の神聖な空気を感じながら、快適に過ごすことができるでしょう。 客室は15畳~17.5畳ほどの和室でした。 8人ほどで泊まったとしても、余裕のある広さです。 部屋にはテレビがなく、とても静か。部屋から見える中庭も美しく、日常を忘れてリラックスできる空間でした。 武井坊は、現在の山梨県、長野県を拠点に強大な力を持っていた戦国武将、武田信玄が天下泰平の宿願のために祈願所として建立したとされています。 かつて、身延山を支配下に収めようとした信玄が軍を差し向けたところ、川が氾濫して武田軍の進行を妨げたり、身延山の山頂にある『奥之院』から突如軍勢が現れたり、山全体が軍神と化したのだとか。 驚いた武田軍は攻撃を断念し退却。信玄は身延山の神力の強さに感銘し、身延山と和睦しました。 そして、山内に武田の『武』の字を入れた武井坊を建立し、武田家の祈願所としたそうです。 ここからは、宿坊ならではの魅力をご紹介。 希望者は、本堂で行われる夕方のお勤めに参加できるほか、『瞑想』や『写経』などの修行体験をすることができます。 筆者はいずれも初めての経験となりましたが、武井坊の住職である、小松上人が丁寧に指導してくれました。 最近は手で文字を書く機会が少ないためでしょうか…特に『写経』はとても難しく感じます。 それでも、一文字ずつ時間をかけて文字を書いていると、徐々に集中力が研ぎ澄まされていくような感覚がありました。 また、武井坊では身延山、七面山を走るトレイルランレース『身延山 七面山 修行走』を始め、ヨガ体験、味噌づくり体験など、地域の人との交流イベントを定期的に行っています。 普通のホテルや旅館では、なかなかできない経験を味わえることは、宿坊の醍醐味といえるでしょう。 そして、宿に泊まったなら食事も楽しみの1つです。 武井坊の夕食は、湯葉や地元の野菜を中心としたヘルシーな和食。すべてが手作りでボリュームも満点でした。 さらに、事前に希望があれば、僧侶が食べる精進料理に変更することもできるなど、ここでもお寺ならではの体験が可能です。 そのほかロビーや浴場など、施設内の写真はこちらからご覧ください! この記事の画像(全13枚) いざ久遠寺へ!道中の石段が… 武井坊から久遠寺までは、徒歩5分ほどの距離。 道沿いに坂を下っていけば、すぐに立派な三門が見えてくることでしょう。 三門から境内までの間には『菩提梯(ぼだいてい)』とよばれる287段の石段があります。 一段が高く、傾斜も急なので、上りきるにはかなりの体力が必要。 周囲には『男坂』『女坂』と呼ばれる、比較的ゆるやかな迂回ルートもあります。 さらに駐車場から斜行エレベーターで境内に行くことも可能ですので、無理に『菩提梯』を上る必要はありませんよ。 少しずつ休みながら石段を上っていくと、徐々に立派な五重塔が見えてきます。上りきれば、本堂がある久遠寺の境内に到着です! ヘトヘトになってしまいましたが、ここまで来られた達成感があります…これもまた宿坊体験の醍醐味なのかもしれません。 武井坊の宿泊者は、毎朝、久遠寺で行われている朝のお勤めに、住職の解説付きで参加することもできます。 10月から3月までの冬季は5時30分からの開始と、少々早起きが必要ですが、せっかく宿坊に泊まったなら、体験しなければもったいないですね。 また、本堂よりさらに上、身延山の山頂には日蓮聖人が両親を想って建立した『奥之院 思親閣』があります。 境内からロープウェイで行くことが可能ですよ。 このように、身延山の武井坊で過ごした1日は、初めての経験ばかりで、すべてが新鮮に感じられました。 新しい経験をしながら、大自然に囲まれた宿坊で過ごせば、身も心もリフレッシュできること間違いなしです! 身延山には武井坊のほかにも、数多くの宿坊があります。 興味のある人は、宿坊を訪れて、非日常体験をしてみてはいかがでしょうか。 身延山の宿坊についてはこちら 武井坊についてはこちら [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな
春の旅行シーズンを間近に控えた2023年2月現在。「どこに行こうか」と悩んでいる人もいるでしょう。
みなさんは近年話題となっている『宿坊』という言葉をご存じですか。
『宿坊』とは、お寺や神社にある宿泊施設のことであり、もともとは僧侶や、参拝者のためのものでしたが、現在では一般の観光客の宿泊も受け入れている施設が増えています。
宿坊に泊まると「日常ではなかなかできない、寺社ならではの体験が味わえる」と、じわじわ人気が高まっているのです。
具体的にはどのようなことができるのか…実際に体験してみました。
こんな過ごし方ができる!お寺に泊まってみると…?
訪れたのは、山梨県南巨摩郡身延町にある『武井坊』。
日蓮宗の開祖である日蓮聖人により開かれた『身延山(みのぶさん)』にある宿坊です。
身延山は、日本仏教三大霊山の1つであり、日蓮宗の総本山(祖山)、『久遠寺(くおんじ)』があることで有名。
2023年は、日蓮聖人が身延山に入山して、ちょうど750年の節目の年ということもあり、特に多くの参拝客が日々訪れています。
武井坊に訪れると、まず驚かされたのは、明るくてきれいなエントランス!
歴史ある施設のため、建物も古いイメージを持っていましたが、武井坊では、お寺の歴史はそのままに、宿泊設備は新しく整備されているのです。
身延山の神聖な空気を感じながら、快適に過ごすことができるでしょう。
客室は15畳~17.5畳ほどの和室でした。
8人ほどで泊まったとしても、余裕のある広さです。
部屋にはテレビがなく、とても静か。部屋から見える中庭も美しく、日常を忘れてリラックスできる空間でした。
武井坊は、現在の山梨県、長野県を拠点に強大な力を持っていた戦国武将、武田信玄が天下泰平の宿願のために祈願所として建立したとされています。
かつて、身延山を支配下に収めようとした信玄が軍を差し向けたところ、川が氾濫して武田軍の進行を妨げたり、身延山の山頂にある『奥之院』から突如軍勢が現れたり、山全体が軍神と化したのだとか。
驚いた武田軍は攻撃を断念し退却。信玄は身延山の神力の強さに感銘し、身延山と和睦しました。
そして、山内に武田の『武』の字を入れた武井坊を建立し、武田家の祈願所としたそうです。
ここからは、宿坊ならではの魅力をご紹介。
希望者は、本堂で行われる夕方のお勤めに参加できるほか、『瞑想』や『写経』などの修行体験をすることができます。
筆者はいずれも初めての経験となりましたが、武井坊の住職である、小松上人が丁寧に指導してくれました。
最近は手で文字を書く機会が少ないためでしょうか…特に『写経』はとても難しく感じます。
それでも、一文字ずつ時間をかけて文字を書いていると、徐々に集中力が研ぎ澄まされていくような感覚がありました。
また、武井坊では身延山、七面山を走るトレイルランレース『身延山 七面山 修行走』を始め、ヨガ体験、味噌づくり体験など、地域の人との交流イベントを定期的に行っています。
普通のホテルや旅館では、なかなかできない経験を味わえることは、宿坊の醍醐味といえるでしょう。
そして、宿に泊まったなら食事も楽しみの1つです。
武井坊の夕食は、湯葉や地元の野菜を中心としたヘルシーな和食。すべてが手作りでボリュームも満点でした。
さらに、事前に希望があれば、僧侶が食べる精進料理に変更することもできるなど、ここでもお寺ならではの体験が可能です。
そのほかロビーや浴場など、施設内の写真はこちらからご覧ください!
この記事の画像(全13枚)
いざ久遠寺へ!道中の石段が…
武井坊から久遠寺までは、徒歩5分ほどの距離。
道沿いに坂を下っていけば、すぐに立派な三門が見えてくることでしょう。
三門から境内までの間には『菩提梯(ぼだいてい)』とよばれる287段の石段があります。
一段が高く、傾斜も急なので、上りきるにはかなりの体力が必要。
周囲には『男坂』『女坂』と呼ばれる、比較的ゆるやかな迂回ルートもあります。
さらに駐車場から斜行エレベーターで境内に行くことも可能ですので、無理に『菩提梯』を上る必要はありませんよ。
少しずつ休みながら石段を上っていくと、徐々に立派な五重塔が見えてきます。上りきれば、本堂がある久遠寺の境内に到着です!
ヘトヘトになってしまいましたが、ここまで来られた達成感があります…これもまた宿坊体験の醍醐味なのかもしれません。
武井坊の宿泊者は、毎朝、久遠寺で行われている朝のお勤めに、住職の解説付きで参加することもできます。
10月から3月までの冬季は5時30分からの開始と、少々早起きが必要ですが、せっかく宿坊に泊まったなら、体験しなければもったいないですね。
また、本堂よりさらに上、身延山の山頂には日蓮聖人が両親を想って建立した『奥之院 思親閣』があります。
境内からロープウェイで行くことが可能ですよ。
このように、身延山の武井坊で過ごした1日は、初めての経験ばかりで、すべてが新鮮に感じられました。
新しい経験をしながら、大自然に囲まれた宿坊で過ごせば、身も心もリフレッシュできること間違いなしです!
身延山には武井坊のほかにも、数多くの宿坊があります。
興味のある人は、宿坊を訪れて、非日常体験をしてみてはいかがでしょうか。
身延山の宿坊についてはこちら
武井坊についてはこちら
[文・構成/grape編集部]