ひん死の状態で保護された一匹の犬…怯える犬に、獣医がとった行動とは
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2016年1月29日、アメリカのジョージア州にある動物病院に『野良犬を保護した』という連絡がありました。
連絡を受けた獣医のアンディ・マティスさんは、その日ひどく傷ついた一匹の犬と出会ったのです。
ひん死状態の一匹の犬と、優しき獣医
アンディさんが目にしたのは、衰弱しきっている一匹のピッドブル。極度の栄養失調に陥っているその犬は、骨盤臓器脱や貧血などの症状もみられました。
「こんな状態で、まだ生きていられるだなんて…。このままでは、いつか安楽死させられてしまうのではないだろうか…」
あまりのひどい状態に、アンディさんはショックを受けました。この病院にある設備では治療が困難なほど、犬の体はボロボロになっていたのです。
『安楽死させる』『可能性は低くても、治療を施す』…選択肢は二つ
犬の命を助けるには、大きい病院で高度な手術を受ける必要があると判断されました。しかし、そのためには高額の治療費が必要なのです。
悩んだアンディさんは、Facebookにこう投稿しました。
どうか僕にアドバイスをください。
現実的に考えると、この犬を安楽死させなければいけません。しかし、獣医である僕はこの犬に生きる可能性を与えたいと思ってしまうのです。
すると、この投稿を見た人たちから多くのメッセージが返ってきたのです。
この犬がまだ生きる意志を持っているのなら、希望を捨てないでください。
メッセージを読み決意を固めたアンディさんは、インターネット上で募金を呼びかけることにしました。すると、多くの人たちから治療のための募金が集まったのです!
治療を受け、徐々に回復を見せる犬。しかし…
犬は『グレイシー・クレア』と名付けられ、ジョージア大学病院で治療を受けることになりました。事情を知った大学病院は、手術費を少し軽くしてくれたのだそうです。
水を与えることで脱水症状を治療し、膿の溜まっていた子宮を切除した結果、グレイシーは少しずつ生きる力を取り戻していきました。
その後、無事退院したグレイシーを、アンディさんは動物病院に連れて帰ることにしました。しかし彼女には、もうひとつ大きな問題があったのです。
周囲のすべてに対し怯えきっている彼女は、なかなかエサを食べようとしないのです。
保護された時から、子犬のように体重が軽かったグレイシー。しっかりと食事をとり、体重を増やさなければなりません。
そこでアンディさんは、このような行動に出ることにしました。
「僕が隣で見守ってあげるから、安心して食べなさい」
なんと、自らもゲージの中に入りグレイシーの隣で食事を始めたのです。エサが安全だと分かってもらうために、自分の食事も同じ銀皿に入れています。
するとグレイシーは、アンディさんの手から少しずつエサを食べるようになり、次第に自ら銀皿で食べるように!その後、グレイシーはエサを見事完食することができたのです。
2人の姿は、多くの人の心を震わせた
アンディさんとグレイシーの姿は、またたく間に拡散されました。多くの人が、2人の愛に心うたれたのです。
アンディさんは、この件についてこうコメントしています。
多くの方から『グレイシーの里親になりたい』という連絡が届いていますが、まずは彼女の体と心のケアを優先したいと思っています。
そして、里親を探しているのはこの子だけではありません。グレイシーをきっかけに、多くの人が犬たちの里親になってくれることを願います。
心優しい獣医さんと、多くの人の善意で一命をとりとめたグレイシー。いつか新しい家族と出会い、幸せな人生を歩んでいけるよう願うばかりです。