〝手書き〟年賀状にしたためた王さんの心遣いと思いやり
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提供:産経新聞社

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年が明ける。自宅の郵便箱に入った年賀状に1枚1枚目を通す。正月、楽しみのひとつである。普段から付き合いのある人でもケジメとしての挨拶に、もらった方も気が引き締まる。
そうかと思えば、年に1度だけ賀状だけの付き合いになってしまった人もいるが、「ああ、元気でやっているんだ」と消息を知り安堵する。たったそれだけでも、どこか〝繋がり〟を感じてホッとした気分になる。
最近は電子メールやSNSの飛躍的な普及で日本的な年賀状は年々減る傾向にある。日本郵政が今年元旦に配達した年賀状は前年比6%減の16億4000万枚。8年連続して前年を下回ったという。
ピーク時の1993年から4割も減ったというが、やはり〝アナログ〟賀状にはどこか暖かい温もりを感じるものである。
そんな中、毎年戴く賀状で、とりわけ頭が下がる思いがする1枚がある。〝世界の本塁打王〟、王貞治さん(現ソフトバンク・ホークス球団会長)である。必ず〝自筆〟の添え書きがある。
今年は『大谷超えを狙います』とあった。昨季、日本ハムの優勝を奪われたことへの雪辱…。短くも、いかにも野球を愛する王さんらしい言葉であった。
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国民栄誉賞に輝いた超スーパースターである。賀状書き(印刷も含め)に秘書や周辺の人々が代行したって、何の問題もない立場にあるが、そうはしないのが王さん流である。
以前、聞いた話。毎年1000枚以上出しているというが、すべて宛名に応じて〝添え書き〟を書き分けていると言っていた。
年に1度のことだからね。そんなに時間がかかるわけじゃあない。ま、その人の名前を見れば、何かしら言葉が浮かぶでしょ。ソレをちょっと書いているだけだよ。
恐れ入ります。王さんの人としての気遣い、心遣いのすごさを知った。仮に1枚に30秒かけたとして1時間で120枚…。1000枚と仮定したら8時間以上もかかる!?
そういえば、いまでこそパソコンなどの宛名書システムを使って利便性を駆使しているが、かつては全て手書きだった。こんなエピソードもある。
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プロ野球には『名球会』という親睦団体がある。投手で200勝以上、野手で2000本安打を達成した選手が入会できる。毎年12月には会員全員でハワイに出向き、王さんも長嶋茂雄さん、金田正一さんらとゴルフなどをして楽しんだ。
そんな行楽地で、ホテルの自室に戻ると年賀状をせっせと書いていたという。〝世界〟の頂点に立ち、スーパースターという存在にいながら、決して驕ることなく、いつまでも人との絆を大切にする。王さんの人間性の素晴らしさがにじみ出る。
余談だが…。かつてワールドベースボールクラシック(WBC)で、王監督の下で戦ったイチロー(現フロリダ・マーリンズ)がこんなエピソードを披露してくれている。
僕の電話、非通知でかかるようになっているんですけど、(王さんに)非通知で電話をしたんですよ。そしたら〝ハイ、王です〟って出ましたからね。ありえないでしょう、この人、すごいなぁって思って。ビックリして、僕、度肝を抜かれたんです。
だから、ホームランの数だけじゃあない、記録だけで〝世界の王〟って言われているんじゃあない。人柄、器の大きさ、懐の深さというか、そういうところが〝世界の王〟といわせているんじゃあないかって。
王さんは真っ白な人。僕なんかとてもかなわない、ありえない人なんです。
王さんの誠実性…。素晴らしきかなである。
[文/産経新聞特別記者・清水満]