「日本はアートに対する感度が低い」 最前線のアーティストが語る日本の現在
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ソニッカート前に行われる『決起集会』の存在
ここで、沼野さんから、出演アーティストの人選に携わっている水野さんに対して「ほかのアーティストに、アドバイスなどは行っているのか?」という質問が。
水野さん:
そういう話は、全然していない。
ソニッカートの参加メンバーが集まって、決起集会っていうのを毎年やってるんですけど、その時には「今年は何を描くの?」という話はしてます。
しかし、過去にほかのアーティストにソニッカートで描く作品に関するアドバイスをしたことがあったという水野さん。
当時を振り返り「余計なことをいってしまった」と後悔の言葉を口にしていました。
一方、沼野さんは「観客への分かりやすさを求める思い」と「アーティストに自由に描いてほしい思い」の間で葛藤するといいます。
沼野さん:
作品の面白さを分かってくれる人が、音楽を聴きに来ているサマーソニックの観客の中に、どれくらいいるのかなと思うところがあり、アーティストさんに「違う絵も描いてほしいな〜」って。
描きたいものを描く人もいれば、お客さんと話したがる人もいます。ほかにも「サマーソニックだから、こういう絵を描くんだ」っていう人もいるんです。
だから、基本的には自由でいいんですけど、主催している側としては『下心』もあるので、「楽しい感じにしてくれないかな〜」と、思ってしまう時もあります。
アーティストがスポットライトを浴びる場所
また、取材中「アートに関して、日本はアジアの中でも遅れている」と語っていた沼野さん。
仮に、日本でもトップクラスに有名なアーティストがソニッカートに出演したとしても、それほど盛り上がらないだろうといいます。
そもそも、サマーソニックはアートイベントではなく、音楽イベント。観客の関心が音楽に向いていて当然ではあるものの、ソニッカートを開催するもう1つの狙いを沼野さんはこう明かします。
沼野さん:
関心が音楽でもアート作品が何万人の目にとまる場所は貴重。クリエーターさんがスポットライトを浴びられる、そんな場所のひとつになれればと思います。
――日本のアートに対する感度を高めるために必要なことは。
水野さん:
説明したり、見る場所が必要かもしれません。どういうギャラリーに行けば、どんな作品が見られるとか…『見て楽しむ』ことに対するハードルは、もっと低くしてもいいかもしれませんよね。
あとは、メディアがアーティストの紹介に積極的になっていってほしいですね。
まだテレビの影響力は強くて、変わったことをやっている人たちだけでなく、もっと普通に、いま活躍している人とかを紹介できるTV番組とかがあったらいいですね。
観客とアーティストの交流の場
その点、普段あまりアートの世界に触れる機会が少ない人にとって、アーティストと観客が直接交流できる場所であるソニッカートは絶好のタイミングといえます。
――そもそもアーティストに話しかけてもいいのか。
水野さん:
いいですね。観客からアーティストに話しかけていいですし、そういう場所です。
国内外で活躍するプロのアーティストが出演するソニッカート。
水野さんも、ジャンルの垣根を越えて精力的なコラボレーションを行い、アートの分野に収まらない活躍を見せます。
水野さんをはじめ第一線で活躍するアーティストから直接話を聞ける機会はそうそうありません。
興味を引かれる作品に出会えたら、積極的にアーティストと交流を持つのも、ソニッカートの楽しみかたの1つといえます。
沼野さん:
出演されるアーティストはみなさんいい人たちなので、僕としては積極的に交流をもってほしいと思います。
話すチャンスがあれば、たとえば「使っている筆はどこのメーカーですか」とかでもいいですし。そういうことも、いってくれていいなと思います。
ソニッカートは、サマーソニックを『アート』という点から盛り上げるだけのプロジェクトではないのかもしれません。
普段、接する機会が少ないプロのアーティストとの交流や、『アート』が生まれる現場を体験できる貴重な場所であり、ソニッカートを通して新しい出会いが待っているように思えます。
SUMMER SONIC 2018
2018年8月18日(土)・19日(日)の2日間開催
サマーソニック東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
サマーソニック大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
[文・構成/grape編集部]