一般の人の家に泊まる話題の『民泊』 一体どんなもの?なんで注目されてるの? By - grape編集部 公開:2016-09-21 更新:2016-09-21 Airbnb民泊 Share Post LINE はてな コメント ※画像はイメージです 旅行者などが、一般の人の家や部屋を借りて宿泊する『民泊』。 ホテルなどに比べ料金が安いことや、外国からの旅行者にとってその国の文化に直接触れられるなどの理由から、世界中で人気を集めています。 そんな民泊が、最近急激に日本でも大きな注目を浴びるようになってきました。その理由や民泊とはどういったものかなどをご紹介します。 日本で注目を浴び始めた理由 民泊が日本で急激に注目され始めた背景には、外国人観光客の飛躍的な増加があります。 こちらは観光庁が公開している外国人旅行者数の推移を表したグラフ。 出典:観光庁 青いグラフに注目してみると、ずっと横ばいだった数が2013年ごろから急激に増えているのがわかります。 東京オリンピックが開催される2020年には、2500万人をゆうに超えるというのが政府の見解です。 宿泊のニーズが高まっている状況に反し、2016年8月現在、東京や大阪などの大都市では宿泊施設の80%以上が常に埋まっている状態で、予約がとりにくい状況が続いており、2020年には全国併せて1万室以上が足りない計算になるようです。 政府もこの問題を解決しようと法整備など動き出していますが、資金や土地の問題から簡単にホテルや宿泊施設などを建てるというわけにもいきません。 そこで白羽の矢が立ったのは、使われていない部屋などを貸し出す『民泊』だったのです。 どうやって利用するの? 民泊が広まった理由として、部屋を貸したい人と利用者をつなぐマッチングサービスの最大手『Airbnb(エアビーアンドビー)』の存在があります。 Airbnbのアプリをダウンロードして、スマホ一つで部屋が借りられる手軽さが人気の理由。貸主(ホスト)とのコミュニケーションの楽しさも、人気に拍車をかけているのだとか。 こちらがAirbnbアプリの操作画面。 Airbnbスクリーンショットより 一目でどんな部屋なのか、料金がいくらなのかがわかります。決済もスマホ一つでできるので、支払いの煩わしさもありません。 また、利用者からの評価とレビューが入力できるようになっており、他の人が使った感想なども確認できて安心して利用できるようになっています。 物件も世界で150万軒以上、日本でも1万3千軒以上が登録されており、世界的に人気といっても過言ではない状況。日本が抱える宿泊施設不足の問題解消に、期待が寄せられるのも納得です。 民泊の問題点 大きな期待が寄せられている民泊ですが、良いところばかりではありません。 日本では注目され始めたばかりということもあり、まだまだ多くの問題点を抱えているのが現状です。 大きな問題点は以下になります。 近隣住民への迷惑など、泊まる人のモラルの問題 懸念されるのが利用者のモラルの問題です。 不特定多数の人が利用するために、時に近隣住民のことを考えない迷惑行為の問題が報告されており、犯罪の温床になる可能性も指摘されています。 法律でいうとグレー 法に乗っ取って民泊を行っていないホストも多くいます。 名前が似ていることで比較される民泊と民宿の違いは、営利目的であるか否かが大きな分かれ道になります。 宿泊業を生業とし、宿泊施設やサービスを提供して相応の料金をもらうのが民宿。宿泊施設を運営するための法律『旅館業法』の規制を受け、利用者を守るための避難経路の準備などが必要になります。 対して、基本的に営利目的ではなく部屋を貸し出すのが民泊です。友人に部屋を貸し、ちょっとした謝礼をもらう、という感覚が近いでしょうか。常に宿泊者のために寝具を用意しておらず、お金を受け取ることが当たり前でない状態が民泊です。 よく問題として取り上げられるのが、この営業目的か否かの線引きをどこに置くかということです。 現在、民泊はビジネスとして成り立っていますが、本来営利目的として行う場合は『旅館業法』に乗っ取って運営されなければいけません。しかし実態は営利目的で行っているにも関わらず、旅館業法を無視して行われている例も多いようです。 そして違法な民泊を取り締まろうにもあまりに数が多く、検挙するための調査にかける人も時間も、お金もないというのが現状です。 また、宿泊施設不足解消に期待されていることも、積極的に取り締まりが行われない要因にもなっています。 他の宿泊施設との軋轢 民泊が広まって困るのは、旅館業法に乗っ取って運営している旅館などの宿泊施設。 それなりの規模の宿泊施設を用意するには莫大な資金がかかるのに対し、民泊は安価で行うことができます。そのため安く宿泊場所を提供でき、利用者から人気も出やすいため、競合として脅威です。 さらに、自分たちが守っている旅館業法を守っていない、いわゆる『モグリ』となれば反発が生まれるのは当然のことでしょう。 民泊を推奨するAirbnbの責任 違法な民泊のホストをアプリに掲載していることで、Airbnbにも責任があるのではとの声があります。 しかし、Airbnbは自ら宿泊する場所を提供しておらず、少なくとも旅館業法では違法行為を行っているとはいえない存在です。 また仮に宿泊施設で問題があったとしても、Airbnbは関与しません。この『何があってもあくまで自己責任』というスタイルが、倫理的に問題があるとして議題に上がることがあります。 法整備に向けた政府の動き 宿泊施設の不足問題と、違法民泊の問題を受けて、政府も法整備に動き出しています。 主なものとしては、民泊を推進するための法整備『民泊新法』と、合法的に民泊ができる『民泊特区』です。 民泊新法 2016年末までに制定を目指している民泊の新しい法律『民泊新法』。 民拍新法は、民泊をもっと簡単かつ有効的に活用するための新しい法律で、旅館営業やホテル営業に当たらない、民泊営業という新しい営業形態を作ることを目的としています。 民泊営業は、「既存の住宅を活用した宿泊の提供」と定義されており、一定の範囲内であれば有償かつ反復継続しても良いというもの。つまり営業として認められるということです。 ホテルや旅館で使われるものとは違い、民泊で利用される建物は「住宅」として扱われます。この利点としては、ホテルや旅館が営業できない住居専用地域でも営業が可能だということ。 このことだけ取れば民泊がホテルなどとくらべ有利に思えますが、そう簡単でもありません。前述した一定の範囲内でという記述があるからです。 まず、宿泊場所と貸し出せる、年間上限日数が設定されています。 その上限日数は180日、約半年。完全なビジネスとして行う場合、半年しか営業できないということは、かなり厳しい条件。ビジネスでマンションの一室を買い、それを貸し出すのは費用対効果が合わない可能性が高いです。 また、貸し出したいマンションの一室を持っていたとしても、マンションのルールであるマンション管理規約に「民泊をしてはいけない」という一文があればそれだけで民泊をすることはできなくなります。 民泊は本来、ビジネスとして行うものではありませんでした。ホテルや旅館との軋轢も考えると、この新法の民泊に対する条件は妥当と言えるのかもしれません。 特区民泊 一部の地域では、旅館業法の適用を除外して民泊を許可する『特区民泊』が行われています。 進んで特区民泊を手掛けているのは、東京都大田区と大阪府です。 旅館業法の適用は受けないものの、こちらもかなり厳しい条件のもとに行われています。 宿泊者の滞在期間は6泊7日以上 一居室の床面積が25平方メートル以上であること 民泊新法とは違い、ホテル・旅館が営業できる地域であること 上記はあくまで一部です。上記を満たすだけでかなり大変であることと、民泊をしたい方は大抵が1泊から数日間の滞在を希望します。ニーズと供給があっていないため、現実的ではないとの見方もされています。 問題点を多く挙げましたが、空き家を利用してちょっとした副業を行いたい方にはメリットがある民泊。 外国人旅行者は都心だけでなく地方にも足を伸ばす方がいるため、空き家を貸したいホストと、利用者双方のメリットがあるので推奨したいところです。 ニーズと問題点のはざまで大きく揺れ動く『民泊』。それだけ多くの方に期待されている裏返しとも言えます。今後の動きにも注目です。 ダルビッシュ有が日本に帰国 向かった先は…?2024年11月12日、メジャーリーグの『サンディエゴ・パドレス』に所属するダルビッシュ有選手が、自身のブログを更新。日本に一時帰国していたことを明かしました。 俳優・火野正平さんが逝去 腰痛の治療に励むも腰部骨折に火野正平さんが亡くなったことが分かりました。ご冥福をお祈りいたします。 出典 観光庁 Share Post LINE はてな コメント
旅行者などが、一般の人の家や部屋を借りて宿泊する『民泊』。
ホテルなどに比べ料金が安いことや、外国からの旅行者にとってその国の文化に直接触れられるなどの理由から、世界中で人気を集めています。
そんな民泊が、最近急激に日本でも大きな注目を浴びるようになってきました。その理由や民泊とはどういったものかなどをご紹介します。
日本で注目を浴び始めた理由
民泊が日本で急激に注目され始めた背景には、外国人観光客の飛躍的な増加があります。
こちらは観光庁が公開している外国人旅行者数の推移を表したグラフ。
出典:観光庁
青いグラフに注目してみると、ずっと横ばいだった数が2013年ごろから急激に増えているのがわかります。
東京オリンピックが開催される2020年には、2500万人をゆうに超えるというのが政府の見解です。
宿泊のニーズが高まっている状況に反し、2016年8月現在、東京や大阪などの大都市では宿泊施設の80%以上が常に埋まっている状態で、予約がとりにくい状況が続いており、2020年には全国併せて1万室以上が足りない計算になるようです。
政府もこの問題を解決しようと法整備など動き出していますが、資金や土地の問題から簡単にホテルや宿泊施設などを建てるというわけにもいきません。
そこで白羽の矢が立ったのは、使われていない部屋などを貸し出す『民泊』だったのです。
どうやって利用するの?
民泊が広まった理由として、部屋を貸したい人と利用者をつなぐマッチングサービスの最大手『Airbnb(エアビーアンドビー)』の存在があります。
Airbnbのアプリをダウンロードして、スマホ一つで部屋が借りられる手軽さが人気の理由。貸主(ホスト)とのコミュニケーションの楽しさも、人気に拍車をかけているのだとか。
こちらがAirbnbアプリの操作画面。
Airbnbスクリーンショットより
一目でどんな部屋なのか、料金がいくらなのかがわかります。決済もスマホ一つでできるので、支払いの煩わしさもありません。
また、利用者からの評価とレビューが入力できるようになっており、他の人が使った感想なども確認できて安心して利用できるようになっています。
物件も世界で150万軒以上、日本でも1万3千軒以上が登録されており、世界的に人気といっても過言ではない状況。日本が抱える宿泊施設不足の問題解消に、期待が寄せられるのも納得です。
民泊の問題点
大きな期待が寄せられている民泊ですが、良いところばかりではありません。
日本では注目され始めたばかりということもあり、まだまだ多くの問題点を抱えているのが現状です。
大きな問題点は以下になります。
近隣住民への迷惑など、泊まる人のモラルの問題
懸念されるのが利用者のモラルの問題です。
不特定多数の人が利用するために、時に近隣住民のことを考えない迷惑行為の問題が報告されており、犯罪の温床になる可能性も指摘されています。
法律でいうとグレー
法に乗っ取って民泊を行っていないホストも多くいます。
名前が似ていることで比較される民泊と民宿の違いは、営利目的であるか否かが大きな分かれ道になります。
宿泊業を生業とし、宿泊施設やサービスを提供して相応の料金をもらうのが民宿。宿泊施設を運営するための法律『旅館業法』の規制を受け、利用者を守るための避難経路の準備などが必要になります。
対して、基本的に営利目的ではなく部屋を貸し出すのが民泊です。友人に部屋を貸し、ちょっとした謝礼をもらう、という感覚が近いでしょうか。常に宿泊者のために寝具を用意しておらず、お金を受け取ることが当たり前でない状態が民泊です。
よく問題として取り上げられるのが、この営業目的か否かの線引きをどこに置くかということです。
現在、民泊はビジネスとして成り立っていますが、本来営利目的として行う場合は『旅館業法』に乗っ取って運営されなければいけません。しかし実態は営利目的で行っているにも関わらず、旅館業法を無視して行われている例も多いようです。
そして違法な民泊を取り締まろうにもあまりに数が多く、検挙するための調査にかける人も時間も、お金もないというのが現状です。
また、宿泊施設不足解消に期待されていることも、積極的に取り締まりが行われない要因にもなっています。
他の宿泊施設との軋轢
民泊が広まって困るのは、旅館業法に乗っ取って運営している旅館などの宿泊施設。
それなりの規模の宿泊施設を用意するには莫大な資金がかかるのに対し、民泊は安価で行うことができます。そのため安く宿泊場所を提供でき、利用者から人気も出やすいため、競合として脅威です。
さらに、自分たちが守っている旅館業法を守っていない、いわゆる『モグリ』となれば反発が生まれるのは当然のことでしょう。
民泊を推奨するAirbnbの責任
違法な民泊のホストをアプリに掲載していることで、Airbnbにも責任があるのではとの声があります。
しかし、Airbnbは自ら宿泊する場所を提供しておらず、少なくとも旅館業法では違法行為を行っているとはいえない存在です。
また仮に宿泊施設で問題があったとしても、Airbnbは関与しません。この『何があってもあくまで自己責任』というスタイルが、倫理的に問題があるとして議題に上がることがあります。
法整備に向けた政府の動き
宿泊施設の不足問題と、違法民泊の問題を受けて、政府も法整備に動き出しています。
主なものとしては、民泊を推進するための法整備『民泊新法』と、合法的に民泊ができる『民泊特区』です。
民泊新法
2016年末までに制定を目指している民泊の新しい法律『民泊新法』。
民拍新法は、民泊をもっと簡単かつ有効的に活用するための新しい法律で、旅館営業やホテル営業に当たらない、民泊営業という新しい営業形態を作ることを目的としています。
民泊営業は、「既存の住宅を活用した宿泊の提供」と定義されており、一定の範囲内であれば有償かつ反復継続しても良いというもの。つまり営業として認められるということです。
ホテルや旅館で使われるものとは違い、民泊で利用される建物は「住宅」として扱われます。この利点としては、ホテルや旅館が営業できない住居専用地域でも営業が可能だということ。
このことだけ取れば民泊がホテルなどとくらべ有利に思えますが、そう簡単でもありません。前述した一定の範囲内でという記述があるからです。
まず、宿泊場所と貸し出せる、年間上限日数が設定されています。
その上限日数は180日、約半年。完全なビジネスとして行う場合、半年しか営業できないということは、かなり厳しい条件。ビジネスでマンションの一室を買い、それを貸し出すのは費用対効果が合わない可能性が高いです。
また、貸し出したいマンションの一室を持っていたとしても、マンションのルールであるマンション管理規約に「民泊をしてはいけない」という一文があればそれだけで民泊をすることはできなくなります。
民泊は本来、ビジネスとして行うものではありませんでした。ホテルや旅館との軋轢も考えると、この新法の民泊に対する条件は妥当と言えるのかもしれません。
特区民泊
一部の地域では、旅館業法の適用を除外して民泊を許可する『特区民泊』が行われています。
進んで特区民泊を手掛けているのは、東京都大田区と大阪府です。
旅館業法の適用は受けないものの、こちらもかなり厳しい条件のもとに行われています。
上記はあくまで一部です。上記を満たすだけでかなり大変であることと、民泊をしたい方は大抵が1泊から数日間の滞在を希望します。ニーズと供給があっていないため、現実的ではないとの見方もされています。
問題点を多く挙げましたが、空き家を利用してちょっとした副業を行いたい方にはメリットがある民泊。
外国人旅行者は都心だけでなく地方にも足を伸ばす方がいるため、空き家を貸したいホストと、利用者双方のメリットがあるので推奨したいところです。
ニーズと問題点のはざまで大きく揺れ動く『民泊』。それだけ多くの方に期待されている裏返しとも言えます。今後の動きにも注目です。