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「このタッチ、見たことある!」 水彩画で描かれた絵の作者は?

By - grape編集部  公開:  更新:

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小人がだまし絵の世界を案内する『ふしぎなえ』のほか、『旅の絵本』や『ABCの本』などの絵本の著者として知られる、画家の安野光雅さん。

淡い色調の水彩画で、絵本のほかに本の装丁なども手がけ、多くの人に愛されてきました。

享年94歳。2020年12月24日に惜しまれつつこの世を去った安野さんは、見る人に癒しを与える絵を多数遺しています。

安野光雅が描く、ゆるい京都

安野さんは、司馬遼太郎さんの取材に同行し、紀行文集『街道をゆく』の挿絵を担当したことでも知られています。

国内外をともに旅した2人ですが、安野さんは司馬さんがおすすめする京都にはあまり行ったことがなかったとか。

そこで京都をテーマに描くことにし、2011年からの9年間、安野さんの絵とエッセイは『安野光雅が描く 洛中洛外』と題して、産経新聞の一面で毎月連載されました。

掲載された実際の紙面

描かれたのは、洛中おなじみの神社仏閣だけでなく、洛外の風景や街並み、縁のある人物、草花など。好奇心のおもむくまま、幅広い題材を描いていました。

日曜日の朝から読者に心和んでもらうために連載していたことから、絵やエッセイはリラックスした雰囲気。作品の中から、とくに安野さんの『ゆるい人柄』も伝わる作品をご紹介します。

はみでちゃった

京都府指定の天然記念物『滝の千年椿』は、日本最古ともいわれる、推定樹齢千年超えのヤブツバキ。

山道を登った先にある、この巨木を描いた結果、どうなったかというと…。

木の高さは9.7メートル、幹のまわりは3.26メートルだという。

そんな木を描くことはできないが、ともかく描いてみようとはじめたところ、画用紙からはみだしてしまった。

絵を改めてみると、確かに画用紙に収まっていません!

そのまま「はみでたけどOK、完成!」としてしまう、安野さんのおおらかさが感じられます。はみでた分だけ実物の巨木さも伝わってきますね。

載せたまま乗っちゃった

『安野光雅が描く 洛中洛外』の特別編『京都御苑の花』で、安野さんは作品『レンゲ』を描きました。作品掲載と同時に、レンゲにまつわるエピソードを明かしています。

娘さんがまだ小さかった頃のこと。レンゲの花冠を編んで一緒に遊んだ安野さんは、うっかりしてしまいます。

そのまま急いで勤めに出かけたが、その時、JR中央線に乗り合わせた女子学生が目の前でクスクス笑う。

何のことかと思って、ハッと気がついたのは、私の頭に残っている花飾りだった。

わたしはあわててポケットにしまい、女子学生には笑ってごまかした。良き時代だった。

娘さんからのプレゼントを、頭に載せたまま電車に乗ってしまった安野さん。

日常の穏やかなエピソードに、クスッとしますね。

憧れて描いてみちゃった

日本画家である、富岡鉄斎のファンである安野さん。

京都の鞍馬を描く際に、あることが頭にひらめきました。

鞍馬を描くのはなんぎして、そうだ鉄斎の偽物でいこうとおもった。といってもパロディーのつもりである。

本格的に偽物を描くのなら、ある程度自信がある。

鉄斎にあやかり、安野さんは独特のタッチで鞍馬を描きました。

…実は、この絵には実際には安野さんが鞍馬で目撃していない人たちのワンシーンが、空想で描かれているそうです。

実際の絵をじっくり見たら、何が描かれているかが分かるかもしれません!

気になる人は、大阪の高島屋で開催される、安野さんの追悼展を訪れてはいかがでしょうか。

ご紹介した絵のほか、未公開の原画を含め120点あまりもの作品を見ることができます。エッセイ付きの作品も複数あるため、読んでみてくださいね。

安野光雅 追悼 「洛中洛外と京都御苑の花」展

会期:2021年8月25日(水)~9月6日(月)
会場:大阪高島屋 7階グランドホール
入場時間:午前10時〜午後6時30分(午後7時閉場)、最終日9月6日(月)は午後4時30分まで(午後5時閉場)
※都合により変更になる場合がございます。

主催:産経新聞社 後援:サンケイスポーツ、夕刊フジ 協力:森の中の家 安野光雅館、津和野町立安野光雅美術館


[文・構成/grape編集部]

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