あいちトリエンナーレ『全額不交付』に、東大教員有志が声明 「強く抗議し、取り消しを要望」 By - grape編集部 公開:2019-10-04 更新:2019-10-07 展覧会愛知東京大学 Share Post LINE はてな コメント ※写真はイメージ 愛知県で開催中の国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれた問題で、文化庁は2019年9月26日、採択済の約7800万円の補助金を全額交付しないことを発表しました。 これに対して、東京大学の教員有志が文化庁の決定に抗議する『声明文』を提出。10月3日午後4時現在で、呼びかけ人含めて64名が名前を連ねています。 文化庁の補助金の不交付決定に対する、東京大学教員有志の声明 文化庁は補助金不交付の理由として、「愛知県は補助金交付申請の際、不自由展の一部作品をめぐり事業が安全、円滑に運営できるかどうか懸念していたにもかかわらず、文化庁に申告しなかった」などを挙げていました。 声明文ではこうした理由に対して「展覧会の準備において様々な懸念事項があることは一般的。文化芸術はどのようなものであっても脅迫やテロ行為の対象になる可能性があることを考えれば、申請時にそうした予測に触れなかったり相談をしなかったりしたことをもって補助金の全額不交付とするのは、均衡を欠き著しく不当」と抗議をしています。 以下全文をご覧ください。 【文化庁によるあいちトリエンナーレへの補助金の不交付決定に対する東京大学教員有志の声明】 文化庁の2019年度文化資源活用事業費補助金「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」(以下,文化資源活用推進事業)の補助金審査における「「あいちトリエンナーレ」における国際現代美術展開催事業」(以下、あいちトリエンナーレ)への補助金の不交付決定について強く抗議し、不交付決定を取り消すことを要望します。 文化庁は2019年9月26日に、文化資源活用推進事業の補助金審査の結果、補助金適正化法第6条等に基づき、あいちトリエンナーレへの補助金を全額不交付とすると発表しました。 すでに採択通知が出された補助金を全額不交付とする理由として、「来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実」を認識していたにもかかわらず、それらの事実を申告しなかったことを挙げています。 しかし、展覧会の準備において様々な懸念事項があることは一般的であり、また、文化芸術はどのようなものであっても脅迫やテロ行為の対象になる可能性があることを考えれば、申請時にそうした予測に触れなかったりその後の相談をしなかったりしたことをもって補助金の全額不交付とすることは、均衡を欠いた著しく不当な決定です。 今回の決定は、申請書の到着から交付の決定を行うまでの標準的な期間である30日から大きくずれ込んで行われたため、文化庁はその間に報道等であいちトリエンナーレに対する脅迫やテロ行為の予告や「表現の不自由展・その後」の展示中止等について十分に認識する立場にありました。 文化庁は、文化芸術基本法の前文で謳われた「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重する」という理念のもと、脅迫やテロ行為の予告に屈しない姿勢を国内外に示して愛知県を支援することをせず、反対に補助金を全額不交付として展覧会の遂行を困難なものにすることによって、展覧会を妨害する脅迫行為に実質的に加担し、再開に向けた愛知県の動きに不当に干渉しています。 申請時の予測の言及やその後の相談の有無を理由に、採択通知を出したものに不交付決定を行う今回の処分は、文化芸術活動を振興するための補助金の活用として適切とは言えません。このことは、地域で文化芸術事業に取り組む団体の企画や応募を萎縮させ、文化芸術の振興に悪影響を及ぼします。 今回のあいちトリエンナーレをめぐる問題については、海外でも大きな注目を集めています。文化庁は、表現の自由に対する攻撃を看過した上でそれに実質的に加担し、日本及びその文化政策に対する信用を毀損することによって、本事業の目的である「国内外への戦略的広報の推進,文化による「国家ブランディング」の強化,「観光インバウンド」の飛躍的・持続的拡充」のいずれも実現していないばかりか、かえって後退させてしまったと言わざるを得ません。 以上のことから、文化庁による補助金の不交付決定について強く抗議し、取り消すことを要望します。 文化庁による あいちトリエンナーレへの補助金の不交付決定に対する 東京大学教員有志の声明 ーより引用 また声明文では、文化庁の決定について「地域で文化芸術事業に取り組む団体の企画や応募を萎縮させ、文化芸術の振興に悪影響を及ぼす」とし、「脅迫やテロ行為の予告に屈しない姿勢を国内外に示して愛知県を支援することをせず、反対に補助金を全額不交付として展覧会の遂行を困難なものにすることによって、展覧会を妨害する脅迫行為に実質的に加担し、再開に向けた愛知県の動きに不当に干渉している」と厳しく批判しました。 ネット上では、「文系・理系に関らず声明を出した東大はすごい」「ほかの大学も続いてほしい」といった声明に賛同する意見や「文化庁の判断は妥当」といった反対意見などさまざまな声が上がりました。 文化芸術振興の視点から見て、文化庁の不交付決定が適切だったのか、更なる議論を呼びそうです。 [文・構成/grape編集部] 出典 文化庁による あいちトリエンナーレへの補助金の不交付決定に対する 東京大学教員有志の声明/産経ニュース Share Post LINE はてな コメント
愛知県で開催中の国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれた問題で、文化庁は2019年9月26日、採択済の約7800万円の補助金を全額交付しないことを発表しました。
これに対して、東京大学の教員有志が文化庁の決定に抗議する『声明文』を提出。10月3日午後4時現在で、呼びかけ人含めて64名が名前を連ねています。
文化庁の補助金の不交付決定に対する、東京大学教員有志の声明
文化庁は補助金不交付の理由として、「愛知県は補助金交付申請の際、不自由展の一部作品をめぐり事業が安全、円滑に運営できるかどうか懸念していたにもかかわらず、文化庁に申告しなかった」などを挙げていました。
声明文ではこうした理由に対して「展覧会の準備において様々な懸念事項があることは一般的。文化芸術はどのようなものであっても脅迫やテロ行為の対象になる可能性があることを考えれば、申請時にそうした予測に触れなかったり相談をしなかったりしたことをもって補助金の全額不交付とするのは、均衡を欠き著しく不当」と抗議をしています。
以下全文をご覧ください。
また声明文では、文化庁の決定について「地域で文化芸術事業に取り組む団体の企画や応募を萎縮させ、文化芸術の振興に悪影響を及ぼす」とし、「脅迫やテロ行為の予告に屈しない姿勢を国内外に示して愛知県を支援することをせず、反対に補助金を全額不交付として展覧会の遂行を困難なものにすることによって、展覧会を妨害する脅迫行為に実質的に加担し、再開に向けた愛知県の動きに不当に干渉している」と厳しく批判しました。
ネット上では、「文系・理系に関らず声明を出した東大はすごい」「ほかの大学も続いてほしい」といった声明に賛同する意見や「文化庁の判断は妥当」といった反対意見などさまざまな声が上がりました。
文化芸術振興の視点から見て、文化庁の不交付決定が適切だったのか、更なる議論を呼びそうです。
[文・構成/grape編集部]