ニホントカゲは絶滅危惧種?懸念される脅威や保護への取り組みを解説
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ニホントカゲは絶滅危惧種なのか、疑問を持ったことのある人がいるかもしれません。
日本固有の爬虫類であるニホントカゲは、近年の環境変化により生息数の減少が懸念されています。しかし、実際の保護状況や具体的な脅威については、正確な情報が少ないのが現状です。
本記事では、ニホントカゲの絶滅危惧種指定状況から減少原因、保護対策まで解説します。環境保護に関心があり身近な生き物の現状を知りたい人は、ぜひお読みください。
ニホントカゲは絶滅危惧種?
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ニホントカゲは2025年現在、絶滅が危惧される種の一覧である環境省の全国版レッドリストには掲載されておらず、国レベルでは絶滅危惧種として正式に指定されていないようです。
しかし、絶滅危惧種に指定されていないからといって、ニホントカゲの生息状況にまったく問題がないわけではありません。
ここでは、ニホントカゲの現状や保護状況についてまとめました。
環境省レッドリストでの位置付け
環境省のレッドリスト登録には厳格な基準があり、専門家による評価のもと絶滅の危険度が高いと判断された種のみが掲載されるといいます。
ニホントカゲの場合、分布が広範囲にわたることなどから、現状では絶滅が危惧されるほどの個体減少が認められてはいないのが実情といえるでしょう。しかし、地域によっては個体数が減少傾向にあるようです。
ニホントカゲに関しては、現時点で絶滅危惧種に指定するほどの深刻な状況ではないようですが、レッドリストは定期的に見直しが行われており、今後の調査結果によっては状況が変わる可能性もあるでしょう。
地域別の保護状況
国レベルでの指定はないものの、地域レベルでは、個体数の減少によりニホントカゲを地域版レッドリストに掲載し、保護対象として位置付けているケースが見受けられます。
例えば、滋賀県や京都府のレッドデータブックでは『要注目種』、広島県や香川県では『準絶滅危惧』に登録されているようです。
このような地域では、環境変化や開発による生息地の減少で地域個体群の絶滅が懸念されているといえるでしょう。
ニホントカゲとは
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ニホントカゲは、主に本州西部、四国、九州など西日本に分布しているトカゲ科の爬虫類です。東日本や北海道には、近縁種のヒガシニホントカゲが生息しているといいます。
体長はおよそ20cm~25cm。幼体は黒い体に金色の縦線、鮮やかな青色の尾が特徴です。成長とともに体色は茶褐色や赤褐色に変化し、尾の青色も目立たなくなるのだとか。
ニホントカゲは昼行性で、主に日当たりのよい石垣や草地、土手などの地上が基本的な活動の場だといわれています。
このような場所で日光浴をしているところに人が近付くと、警戒心が強いニホントカゲは素早く土中や巣穴に隠れてしまうことが多いでしょう。
またニホントカゲは肉食性で、生きた昆虫やミミズなどを食べ、野生下では11月~3月が冬眠期間といわれています。
ニホントカゲが直面する脅威と個体数減少の原因
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前述の通り、ニホントカゲは一部の都道府県などで個体数の減少が進んでいる可能性があります。
ここでは、ニホントカゲに影響があると考えられる脅威や、個体数の減少につながる原因についてまとめました。
生息地の破壊と都市開発の影響
ニホントカゲが直面する最大の脅威は、生息地の破壊だといわれています。都市開発や宅地造成により、トカゲの生活する森林や草地が急速に失われているようです。
特に深刻なのは、ニホントカゲが隠れ家として利用する石垣や倒木などの消失でしょう。これらは、変温動物であるトカゲにとって体温調節や繁殖に欠かせない重要な場所の1つです。
さらに、除草剤や殺虫剤の使用はニホントカゲのエサとなる昆虫類の減少を招き、食物連鎖への影響も懸念されています。
気候変動と生態系の変化
近年の気候変動も、ニホントカゲにとっては大きな負担になり得るでしょう。急激な気温上昇や降水パターンの変化は、変温動物である爬虫類に直接的な影響を与えると考えられるためです。
なかでも、繁殖期の環境変化の影響は大きいと考えられています。
気象条件がこれまでと異なると、産卵に適した土壌条件が変化したり孵化のタイミングがずれたりして、ニホントカゲの繁殖成功率の低下につながる可能性があるそうです。
また、気候変動により生育する植物やエサとなる昆虫の種類が変わることも、生息環境が破壊される要因となるでしょう。
従来の生態系バランスが崩れることで、ニホントカゲが適応できない環境が拡大する可能性があるといえます。
ニホントカゲの保護活動や対策
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ニホントカゲの保護の必要性は緊急ではないものの、一定の対策は必要な状況にあるといえるでしょう。
ここでは、ニホントカゲを含めた環境保護対策について、国や自治体の活動、私たちができることをご紹介します。
国や自治体によるニホントカゲの保護対策
2025年現在、ニホントカゲに特化した国の保護プログラムは多くはないようです。
しかし、国内の様々な生物を守る活動の中で、ニホントカゲも間接的に守られているのだとか。
国の取り組みとしては、環境省の『生物多様性国家戦略』で爬虫類を含む在来種の保護が重要課題とされているそうです。
具体的には、自然公園や保護区の設定、開発事業における生態系への影響評価の義務化といった手段が講じられているといいます。
一方、地方自治体レベルでは、生息地の調査や開発時の代替生息地の創出、市民向けの啓発活動など、より地域に根差した取り組みが行われているようです。
自然環境保護活動への参加
あらゆる地域で、自然保護団体や環境NPOが中心となって、爬虫類や両生類、そのほかの生物や植物などの生息調査や保護活動が行われています。
このような環境保全のボランティア活動に参加することで、清掃活動、外来植物の除去、生息地整備などを体験できるようです。
さらに、インターネットでの情報発信やSNSでの啓発活動も、自然環境保護活動に貢献する方法の1つといえるでしょう。
ほかにも、環境保護団体などへの寄付を通じて経済的な支援を行うことも可能です。
日常的にできる取り組み
ニホントカゲをはじめ、身近な野生の生物を保護する方法は日常生活の中にもあります。
例えば、除草剤や殺虫剤の使用を控えたり、自然な植生を維持してエサとなる昆虫類の生息環境を守ったりすることは、効果的な方法といえるでしょう。
また、ニホントカゲが尻尾を切って逃げる『自切(じせつ)』は、何度も再生可能というわけではなく、再生しても元通りにはならないといわれています。
ニホントカゲにとっては命がけの行為といえることから、逃げようとするニホントカゲをむやみに追いかけたり、無理に捕獲したりするのは控えましょう。
また、生態系のバランスを守るためにも、外来種の生物の適切な管理は重要な環境配慮の1つです。
一例として、ペットとして飼われていた外来種のアライグマが捨てられて野生化した場合、ニホントカゲを始めとした爬虫類を食べてしまい、個体数の減少につながる可能性があるのだとか。
外来種問題は、私たち一人ひとりの行動が大きく影響するため、外来種を『入れない、捨てない、拡げない』という環境省の提言を守ることが大切です。
ニホントカゲは絶滅危惧種ではないが、生息環境を守る必要がある
ニホントカゲは2025年現在、環境省の全国版レッドリストには掲載されていませんが、保護対象として位置付けられている地域もあります。今後、さらなる都市開発や気候変動の影響により、個体数減少が懸念されるといえるでしょう。
ニホントカゲのみを対象としたものではありませんが、日本の生態系を守るため、国や自治体による保護対策に加えて、市民参加型の調査活動や取り組みが各地で行われています。
環境に配慮して生活するだけでなく、保護活動への参加や寄付などのさまざまな形で、私たちも自然環境の保護に貢献することができるでしょう。
小さな行動の積み重ねが大きな力となることを忘れずに、実践していくことが大切といえます。
[文・構成/grape編集部]