『熨斗』(のし)とは?のし紙やのし袋との違いや選び方も含めて説明
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『熨斗』(のし)というと、のし紙やのし袋と混同している人も多いのではないでしょうか。また、慶事用にも弔事用にも同じものが使えるのか、疑問に思っている人もいるでしょう。
本記事では『熨斗』の説明をするとともに、違いや選び方を含めて紹介していきます。
熨斗(のし)の本来の意味
※写真はイメージ
『熨斗』の本来の意味は、のし紙の右上に付いている袋の格好をした飾りのこと。もともとは『熨斗鮑(のしあわび)』という、アワビを薄く伸ばして干したものが由来です。
古来から日本では魚や肉などの『なまぐさもの』を神にお供えしたことから来ているとされており、神に供えるように、相手に新鮮で穢れのないものを贈る意味で添えたのが発祥だといわれています。
2024年現在では簡略化され、熨斗鮑の代わりに小さな飾りや印刷でデザインが描かれています。使う場面としては、なまもの以外を贈る場合、慶事用のギフトに使われる場合です。
熨斗の種類
以下が熨斗の種類のリストです。
豪華な飾りが付く
左右両方から折りたたまれる
片方のみを折りたたんでいる
ひらがなで『のし』と書かれている
わらびの新芽が出た形をしている
『折熨斗(おりのし)』は黄色い短冊を紅白の紙で包んだような形状で、黄色い部分は伸ばしたアワビを表しています。
『平たくのばす』部分は、『引き伸ばす』に通じ、縁起のよいことが引き続くようにという願望もあり、慶事全般に使われているということです。
熨斗を使わない場面
本来であれば、『熨斗』はなまものの代わりにつけるものです。慶事でも生鮮食品を贈る場合には付けないのがマナーですが、現代では、御中元や御歳暮、内祝いなどで、食品をギフトとして贈る場合にも付けているケースが多くなっています。
また、生鮮食品をお供えするのが禁忌とされている弔事には熨斗をつけません。弔事用の場合は、黒白の水引のみです。
表書きと記名の仕方
基本的には慶事の紅白の水引で使用します。表書きは水引の上部に、記名は下部に入れ、水引にかぶらないように注意しましょう。
【一般的なお祝いごと】
【一度だけであって欲しいお祝いごと】
熨斗の違い
※写真はイメージ
『熨斗』が慶事用で使われる飾りであることを知っていても、熨斗紙や掛け紙との違い、内熨斗と外熨斗、使われる水引、無地熨斗などで意味の違いに戸惑う場合があるでしょう。本項で、間違いやすい言葉について、詳しく説明します。
熨斗紙と掛け紙の違い
熨斗紙は、熨斗の飾りが付いている、もしくは印刷されている紙。一方で掛け紙は、熨斗が付いていない水引のみの紙を指します。同年現在では、贈答用に使用する紙のうち、慶事用を熨斗紙、弔事用を掛け紙と使い分けしているところが多いようです。
内熨斗と外熨斗
『内熨斗(うちのし)』とは、ギフト用の商品を包んだ上に熨斗紙をかけて、その上からまた包装紙で包むこと。『外熨斗(そとのし)』は、包装紙で包んだ上に熨斗紙をかけることです。
内熨斗のメリットは、包装紙が掛けられているため、表書きや名前が外から見えないこと。贈る人がの奥ゆかしさを表せます。また、相手に配送で贈る場合に熨斗紙に傷が付く心配がありません。
外熨斗のメリットは、すぐに表書きや記名が目に入ることから、誰からどのような目的で贈られたのかすぐ確認できること。
複数いただいた場合でもすぐに間違いなく見分けが付きますね。品物を手渡しする場合や、御中元や御歳暮などの、仕事でのお付き合いによく使われます。
熨斗紙に使われる水引
熨斗紙に使われる水引は、紅白や金銀で10本、一般的な紅白の水引で5本のものがありますよね。一般的に金額が大きいほど、本数を多くするのがマナーです。ただし、10本は結婚祝いや、お返しの結婚内祝いで使われることがほとんどでしょう。
無地熨斗とは
無地熨斗とは、熨斗や水引は印刷されていても、贈る人の名前だけを記入したり、表書きや名前の両方を書かなかったりする形式の熨斗紙。ちょっとした御礼や御挨拶に使われます。
気軽に贈り、相手に気を使わせないように配慮している場合もあるようです。
近年では、御中元や御歳暮を宅急便で配送するサービスが充実しています。送り状に名前が入っているため、無地熨斗を選ぶ人もみられますね。地球環境に配慮してゴミを削減するため、シールで熨斗を貼るエコ熨斗も見られます。
短冊は、ギフト品に付ける細長い紙。水引は付いていませんが、熨斗や表書きが印刷されていることもあります。
慶事での利用には熨斗が付いた短冊、弔事の場合は無地の短冊を使いましょう。メリットは、相手に気を使わせないこと、小さい贈答品にもかけやすいこと、などが挙げられます。
熨斗とのし袋の違い
※写真はイメージ
のし袋について、熨斗が右上に付いているものがのし袋だと思っている人もいるのではないでしょうか。その場合、付いていない祝儀袋はどのような名称なのか、弔事用の不祝儀袋についてはどのようなものか、迷ってしまいますよね。
本項で、熨斗とのし袋の違いについて、紹介します。
慶事用と弔事用
『のし袋』は別名、御祝儀袋もしくは、祝儀袋と呼ばれています。現金をお祝いに渡す場合に使う袋です。熨斗は、お祝いのギフトに付くもので、熨斗が付いていなくても祝儀袋全般を指していうことが多いようですね。
慶事用に使う紅白や金銀の水引の慶事用のものを『のし袋』と呼んで差し支えなさそうです。
一方で、弔事用の不祝儀袋はなんと呼べばいいでしょうか。こちらは、『香典袋』。白黒の不祝儀用の水引でもちろん熨斗は付いていません。故人への供養の気持ちを表し、お通夜や葬儀などに参列する際に、現金を入れて持参します。
のし袋のお金の入れ方
のし袋にお金を入れる際は、新札を用意するのがおすすめ。お札の人物の顔が表の上側になるように袋に入れましょう。お祝いのお金は、縁起のよい奇数がいいとされています。割り切れる偶数は、夫婦が割れることを連想させるので避けましょう。
また、『死』や『苦』の意味につながる4や9の入った金額も避けたほうが無難です。逆に、偶数でも『8』は『末広がりで縁起がいい』とされ、喜ばれることが多いとのこと。
しかし、結婚式などの場合、会費制で金額が偶数枚になることもあるでしょう。やむを得ず出席せずに、ご祝儀だけ渡す際に少なめにして贈ることもあるかもしれません。
地方によってローカルルールがあることもあるので、心配なら親族などに相談してみることをおすすめします。
のし袋を包む際は、裏側の合わせ方に要注意。『幸せを受けとめて流さない』という意味で下側の折り返し部分を上に重ねるように包みましょう。折り返しが挟める多当紙のタイプの場合は、下側の折り返し部分を開いて上側を挟むとしっかりととめられます。
上部を重ねて下で受けとめられないように逆の合わせ方にすると、『なみだを下に流す』意味になり、不祝儀用の包み方に。縁起が悪く相手にも失礼になります。礼儀知らずだという印象を与える原因にもなるため、気をつけるようにしましょう。
熨斗は慶事の時に利用するもの
熨斗は、慶事の時に利用し、弔事用や不祝儀では使わないと覚えておくと間違いがありません。慶事用でのし袋を使う際には、弔事と間違えないように、熨斗付きの袋を用意することをおすすめします。
相手に失礼のないよう、正しい使い分け方を覚えましょう。
[文・構成/grape編集部]