今いちばん魅力的なバイプレーヤー・玉置玲央の魅力 『キャスター』第5話
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
ドラマはエンターテイメントだから、結局のところ現実には似て非なるものだ。
設定が突飛すぎても没入できないが、あまりにリアルで世知辛くても、救いがない。
しかし、テレビドラマで描かれる設定は、今の社会で多数が「こうあってほしい」と願う、半歩先の社会に対する無意識の希望をどこかしら反映していると思う。
テレビドラマ『キャスター』(TBS系)の5話に登場していた警察署長、社会部の記者、そしてニュースの総合演出。
重責とハードワークを担う3人の女性たちの姿に、もし数年後に若い世代がこのドラマを再放送等で見るときに、「そんなのは当たり前」な社会であったらいいなと心から思った。
視聴率の低下に悩む看板ニュース番組・ニュースゲートを立て直すために、テレビ局がメインキャスターとして招かれたのは、公共放送の記者から独立した型破りな男・進藤壮一(阿部寛)だった。
組織の論理など全く意に介していない進藤は、独自の取材でスクープをもってくるが、そのやり方に現場は振り回される。
しかし、最初こそ腫れ物扱いで孤立していた進藤だったが、次第に周囲のスタッフたちは進藤の報道への固い信念を理解し、慣れあうことなく共闘しはじめる。
これまでも『どこかで見た事件』を、エンターテイメントとして上手く昇華している今作。
最新話は警察の不祥事と隠蔽、それに加担するマスコミである。
現代的なエピソードというより、今も昔も変わらない、人間社会の普遍的な病巣と言える。
警察組織の不祥事が浮かび上がっては、なぜか打ち消され、打ち消されたそばから当事者たちの不審な情報がマスコミやネットで流布されて真実がうやむやになっていく。
現実にもありそうな不可解な情報の混乱が丁寧に描かれており、見応えのあるエピソードになっていた。
今回、クローズアップされているのはディレクターの梶原広大(玉置玲央)。
梶原を演じる玉置玲央は、舞台と映像作品を自由自在に往還する、今もっとも見がいのある俳優である。
テレビでは2020年あたりから様々な役柄で見かけるようになり、2024年の大河ドラマ『光る君へ』(NHK)で藤原道兼役を演じて一気に知名度を上げた。
個人的に印象深いのはテレビドラマ『ひきこもり先生』(NHK)での依田浩二役だ。
優しくて繊細なのに、言動では痛々しいほどに強がって、自己肯定感が乱高下する引きこもりの青年、いや中年をフルスイングで演じていた。
『キャスター』での梶原もそうだし、斜に構えているように見えて心根が熱い青年を演じたら絶品の玉置だが、ただ熱いだけではない、その佇まいには常に独特の色気が漂う。
それは誰でも一目でわかるようなものではないけれど、気がつけば目が追うような、あるいはすれ違った瞬間にふわっと香って記憶から離れていかないような色気だ。
今回もラストで、警察署長の竹野(緒川たまき)に会いに来た時に、対面ではなく同じ席にちゃっかり座って無邪気に喜ぶシーンに、一瞬ドキッとさせられた。
そういうギャップがどれだけ強烈に『効く』か分かっているんだかいないんだか、とにかく罪作りな役者である。
今回のもう一つの見所は、組織の論理と個人の正義を問う進藤のスピーチだった。
「沈黙が続く限り、この社会の構造は決して変わらない。あなたはこの現実を受け入れるのか?それとも疑問を抱き続けるのか?考えるのはあなた自身です」
ただ真実を暴いて報道するだけではない、『キャスター』とタイトルを冠するドラマのヒーローとして、アンカーに相応しい力強いセリフだったと思う。
同質性の高い組織は一見強いが、容易に腐食する。小さな腐食が更に周囲を腐らせて、知らぬ間に組織は変質してしまう。
局の正社員、フリーのキャスター、制作会社の社員、社会部の記者、バラエティ出身、性別、そして老若。
たとえ意思疎通に時間がかかろうとも、激しく対立しようとも、一枚岩ではないからこそ到達できる高みがある。
おそらく進藤はそれを承知で、馴れ合わない自立したチームを作ろうとしているのだろう。
進藤が虎視眈々と狙っている組織の輪郭が次第に明らかになろうとしている。
成長を見せつつある崎久保(永野芽郁)、本橋(道枝駿佑)とともに、どんな戦いが待っているか、これからの後半が楽しみだ。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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