大地震の後、日本人看護師の伝えた歌がコレラから人々を守る! そしていま、再び被災地へ
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- 出典
- 日本赤十字社
小笠原さんは、中学生のころから人のために何かできるようになりたい、と看護師を目指しました。しかし、『看護師になって何をしよう』というのはまだ漠然としていたといいます。
高校の頃、小論文の勉強をしているときに、海外の水も電気もないところで活躍する医療者の記事を読み、「そこに苦しんでいる人がいるから医療を届けに行くのです」という言葉にあこがれて、世界中で苦しむ人びとに寄り添う看護師を目指すことを志すようになりました。
ちょうど高校2年生のころ、地元北海道に日本赤十字北海道看護大学ができると聞き、赤十字について調べると、国際的な医療支援活動をしていることを知り、志望校として目指すようになりました。
在学中は、「国際支援の現場で多くを経験した指導者にたくさん出会い、看護師になってこれをしたい!」というものが、確固たるものに変わったといいます。
赤十字、そして同じ意味をもつ赤新月のマーク
そして、国際救援活動に力を入れている日本赤十字社和歌山医療センターに就職し、国際要員を目指すも、英語が不得意で、研修を受ける条件を満たすまでに、なんと7年もかかりました。それでも先輩方に励まされ、7年かかってようやく国際救援の研修を受けられるようになり、国内外の緊急救援や開発協力、戦傷外科治療、感染症対策などの研修を受けました。
何が小笠原さんをそこまで動かすのでしょうと聞くと、「赤十字の7原則です。しびれました」と即答。人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性という7原則は、あたりまえのことだけれども、すべてを実現させようとするのは、本当に難しいことです。それを、常に実現させようとするということに感動し、惹きつけられて今に至るといいます。
「国際的な現場では、世界中から様々な文化や国の人が集まってきます。そこで、『7原則』に惹かれて集まってきた人たちが一つになり、ボランティアも幹部もどんな役職の人も、みんな同じ『7原則の実現』に向かって物事を決めて進んでいくことができる、それが赤十字の魅力です」と語ります。
ハリケーン『マシュー』の上陸
2016年10月4日にハイチに上陸したハリケーン「マシュー」の被害は、いまだ調査が難航しており実態が明らかになっていません。昨年の大統領選は結果が無効になり、実質大統領は不在、次の大統領選の直前という政府が非常に脆弱な状態の中、起こってしまいました。
一番被害の大きかったとされる南西部は、「中央県サヴァネットなどと同じく、非常に田舎で簡素な家が多くある地域。台風が来たら家が吹き飛ばされるなどとても大きな被害が出ているにちがいない」と小笠原さんは語ります。 特にアクセスが寸断されているジェレミーより西は入ることも困難で、壊滅状態であると予想されています。
ハイチの田舎の民家は、このようにトタンでできているものが多く、強い風などが吹くと崩壊してしまいやすい。
ハイチは日本の中では決して有名な国ではないため、「どれだけの人がハリケーンの被害について気にかけてくれるだろうか心配だ」と小笠原さん。
「日本で同じような台風が接近したら、きっともっと大きな対策を立て、発災後72時間以内に被災者の救助が行われ、たくさんの被害の情報が迅速にわかって世界中に伝える力があるのですが、ハイチにはそのスピードも力もありません。ラジオも届かない、携帯電話も持っていない人も多くいます。これから、避難環境などの悪化でコレラの流行も懸念されます。
心配は尽きませんが、今は赤十字の国際チームがいち早く状況をキャッチできるよう、チームの一員として現場との調整やハイチ赤十字社との連携に全力を尽くします」
活動地のサヴァネットやコロンビエはランドクルーザーでも行くのが困難な山道を越えていく。
小笠原さんは、近日中に被災地に入る予定だそうです。ご活躍、そして無事に帰国されることをお祈りいたします。
2016年ハイチハリケーン救援金はこちら