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大地震の後、日本人看護師の伝えた歌がコレラから人々を守る! そしていま、再び被災地へ

By - grape編集部  公開:  更新:

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2010年1月にハイチで起こった未曽有の大地震。ハイチの首都を中心に、人口の5分の1に当たる約210万人が被災。約17万戸の家屋が倒壊、約22万人が死亡するという大きな災害から6年半が経ちました。

また、その年の10月にはコレラが大流行。約70万人が感染、約8600人が死亡するという事態に発展しました。コレラは現在もなお感染が広がっており、2015年1月1日から12月5日までに3464件の感染が報告されました。

ハイチに降り立った日本人看護師

2015年よりハイチに駐在し、コレラ予防のための衛生促進活動を行う小笠原佑子さん。

ハイチの中央県下部(南部)サヴァネットとコロンビエで、人びとに手洗いや衛生についての重要性を伝える仕組みを作っています。

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ハイチに来た当初、空港に降りて市内に向かう時に、道路に山積みにされたごみの山を見て小笠原さんは「この国は大丈夫だろうか」と感じたそうです。さらに「この国で、自分は保健と衛生を伝えに来たのか・・・」と途方にくれそうになったといいます。

「『手洗い』を教えればいいなんてものではない。基本的な衛生の価値観から変えていかなくてはいけない、そして公共的な機能、教育なども足りていない」小笠原さんにとって戦いの日々の始まりでした。

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ごみを食べる牛、首都ポルト―プランスにて

ハイチはよく『援助を受けなれていて「何かくれ」ばかりで一向に改善しない』と言われています。しかし実際に小笠原さんがコミュニティーに入ってわかったことは、ハイチの人びとも『少しでも自分の生活をよくしたい』と思っているということでした。

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活動地サヴァネットに向かう道

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道を往く人びとは移動にロバを使います。

あげられる物はない、だけど…

そこに、「ちゃんと寄り添っていこう」と決意した小笠原さん。たとえ「何かくれ」と言われても、「あげる『物』はないんだ。でもなくてもどうしたらいいか考えてみよう」と一緒に考えることを続けました。

そして、「より良い生活を営み、健康でいるためには衛生を保つことが大切。すぐに実践できて重要なのが手洗いである」と地元看護師やボランティアの育成を続けました。

その看護師やボランティアたちと活動を続けていると、ある日、コミュニティーの住民が自分たちでトイレを作って見せてくれたのです。小笠原さんの気持ちが伝わってきた証でした。

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衛生について教えた後、住民たちが自分たちで作ったトイレ

ハイチには、トイレを作ってもらったけれど、あまりにもきれいなトイレなので鍵をかけてしまって誰も使ったことがないものなども多くあります。その中で、便座はなくてもないなりに自分たちで場所を決めて穴を掘ったトイレであれば、故障しても自分たちで修理できます。また、衛生の観点からも、場所を決めて穴を掘れば、その辺りのどこかしこで用を足すより随分と改善されます。

「支援は永遠にはしてあげることはできない。なので、ハイチの人同士、自分たちで自分たちのコミュニティーを強くしていくと、どんなことも『自分たちの問題』としてとらえられるようになり、『どうしたら解決できるだろう』と一緒に『今あるもので解決に近づこう』という方向に考えられるようになります」と語る小笠原さん。

「ない→くれ」から「ない→どうにかしよう!」にベクトルの方向を変えるのが自分の役目だともおっしゃっていました。

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地元看護師たちに住民の衛生に関する知識や行動についての調査方法を教える小笠原さん

子供たちが口ずさむ歌

1年や2年の支援期間で、住民全員の意識を変えることは難しいという現実もあります。

しかし、小笠原さんは「種は植えられました。そしてちょっとずつ芽は出始めています。これから、活動が終了しても、その芽が大きく育ち、また種を落として広がってくれるかもしれません」と語ります。

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マブルの小学校

小笠原さんがコミュニティーに行くと、子どもたちが手洗いの歌とORS(経口補水塩)の作り方の歌を歌ってくれます。「汚い水を飲むと、コレラになる〜♪」と歌う子どもたちには、きっとしっかりと芽が育っているのでしょう。

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子どもたちが正しい手洗いをしているのかをチェックする小笠原さん

ハイチを再度襲った悲劇 ハリケーン『マシュー』上陸
そして小笠原さんは再びハイチへ

コージーコーナーの写真

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火野正平の写真

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出典
日本赤十字社

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