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猫に住む場所を、宿泊客に癒しを 山口県の殺処分をゼロへ『猫庭』の取組み

By - grape編集部  公開:  更新:

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写真提供:てしま旅館

山口県の阿知須温泉にある『てしま旅館』は、1965年に開業した温泉宿です。

2016年6月、現在のオーナーである手島さんはクラウドファンディングで資金を集め、てしま旅館に温かな場所を作りました。

それは『猫庭』。野良猫を保護するシェルターです。

猫庭で100匹の猫を救う

『猫庭』で自由気ままに暮らす猫たち。野良猫のままだったら、いずれは殺処分されていたかもしれない命です。

ですがいまは、旅館の宿泊客や、デイサービスで訪れる高齢者の方たちに日々癒しを与える存在となりました。

『猫庭』に保護された野良猫たちは、開設から半年で60匹にものぼりました。そのうち34匹の猫が里親に引き取られ、今では新しい家族との生活を送っています。

このペースで野良猫の保護をすすめると、1年で100匹の猫を救うことができる計算です。

ですが、『猫庭』で保護できる猫の数には限りがあります。てしま旅館は、シェルターの増築のため支援を呼びかけています。

2900匹の猫が殺処分された山口県

てしま旅館のある山口県では、2015年度の猫の殺処分数は2900匹。哀しい結果となってしまいました。

てしま旅館は『猫庭』で、大切な命を1匹でも多く救うことを計画しています。

シェルターを2段にすることで、これまでの倍、1年に200匹の猫を引き取れるようになります。

てしま旅館に入った時お客さんがロビーで目にするのは、2階建てのガラスから猫が「よく来たにゃぁ~」と見下ろしている姿。

客室からも猫を眺めることができるという、猫好きにとってはたまらない旅館になるのです!

課題は山積み、それでも活動は止めない

旅館に『猫庭』を作ったことで、これまで訪れていたお客さんのなかには、猫アレルギーで泊まれなくなってしまった人もいたそうです。

猫を保護するシェルターを作っただけでは、保護活動は完了ではありません。餌代、医療費、去勢手術代など、多くの猫を引き取れば引き取るほど負担はのしかかります。

それでも、てしま旅館はこう考え、猫の保護活動を続けています。

猫を保護することは費用がかかりますが、猫は私たちやお客様を癒やしてくれ、そんな猫に対し私たちは住む場所を提供する、そんな対等な立場にいると思っています。こうやって対等であることに商業が交わることが、保護活動の継続の一つの手段ではないかと考えています。

クラウドファンディング Readyfor ーより引用

猫と、住む場所を提供する人とが対等な立場になること。

無償の愛を注ぐには、人ひとりの力では限界があります。ですが、そこに商業が交わることで可能性はぐん、と広がるのです。

猫には住む場所を。そして訪れた人には猫からの癒しを。

てしま旅館には、猫を愛するお客さんが全国から訪れるようになりました。また、たまたま訪れたお客さんが、猫の保護に関心をもつきっかけにもなっています。

殺処分ゼロを、山口から

「犬猫の殺処分数ワースト○位」

こんなふうに呼ばれる山口県を、「殺処分ゼロの山口県」にすることを目標にかかげ、てしま旅館は挑戦を続けています。

てしま旅館の客室数は、たったの6室。小さな旅館とそこに住む猫たちが、大きな可能性と夢をもって日々宿泊客を出迎えています。


[文・構成/grape編集部]

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てしま旅館

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