「樹木希林、おしまい」 樹木さんが残した『最後のメッセージ』に涙
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2018年9月15日にがんで亡くなった、女優の樹木希林さん。
数多くの映画やドラマ、CM作品に出演し、飾らないまっすぐな性格が多くの人に愛されていました。
樹木希林さん、『地球の人たちへの最後のメッセージ』
同年10月29日、宝島社は生前の樹木さんの写真を使い、朝日新聞と読売新聞の全国版朝刊に企業広告を同時掲載。
宝島社は2016年にも樹木さん出演の企業広告「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を掲載し、名画『オフィーリア』をパロディしたデザインが話題になりました。
「どう生きるか考えてほしい」人生観を表現した広告、読売広告大賞に輝く
2018年版のキャッチコピーは「あとは、じぶんで考えてよ。」と「サヨナラ、地球さん。」。
本文には、樹木さんが生前に残した死生観や人生観、恋愛観、仕事観についての言葉をもとにした『地球の人たちへのメッセージ』がつづられています。
広告には樹木さんの遺族から借りた2枚の写真を使用。朝日新聞版には、愛する6人の家族に囲まれた樹木さんが写っています。
「あとは、じぶんで考えてよ。」
「あとは、じぶんで考えてよ。」(朝日新聞コピー)
絆というものを、あまり信用しないの。期待しすぎると、お互い苦しくなっちゃうから。
だいたい他人様から良く思われても、他人様はなんにもしてくれないし(笑)。
迷ったら、自分にとって楽なほうに、道を変えればいいんじゃないかしら。
演技をやるために役者を生きているんじゃなくて、人間をやるために生きているんです。
代表作?ないのよ。助演どころか、チョイ役チョイ役って渡り歩く、チョイ演女優なの。
自分は社会でなにができるか、と適性をさぐる謙虚さが、女性を綺麗にしていくと思います。
楽しむのではなくて、面白がることよ。中に入って面白がるの。面白がらなきゃやってけないもの、この世の中。
老人の跋扈(ばっこ)が、いちばん世の中を悪くすると思います。
病を悪、健康を善とするだけなら、こんなつまらない人生はないわよ。
死に向けて行う作業は、おわびですね。謝るのはお金がかからないから、ケチな私にピッタリなのよ。謝っちゃったら、すっきりするしね。
“言わなくていいこと”は、ないと思う。やっぱり言ったほうがいいのよ。
こちら希林館です。留守電とFAXだけです。なお過去の映像等の二次使用はどうぞ使ってください。出演オファーはFAXでお願いします。
このように服を着た樹木希林は死ねばそれで終わりですが、またいろいろなきっかけや縁があれば、次は山田太郎という人間として現れるかもしれない。
えっ、わたしの話で救われる人がいる?それは依存症というものよ。
「サヨナラ、地球さん。」
「サヨナラ、地球さん。」(読売新聞コピー)
靴下でもシャツでも、最後は掃除道具として、最後まで使い切る。人間も、十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるんじゃないかしら。そういう意味で、がんになって死ぬのがいちばん幸せなのよ。
用意ができる。片付けして、その準備ができるのは最高だと思うの。
ひょっとしたら、この人は来年はいないかもしれないと思ったら、その人との時間は大事でしょう?そうやって考えると、がんは面白いのよ。
いまの世の中って、ひとつ問題が起きると、みんなで徹底的にやっつけるじゃない。だから怖いの。自分が当事者になることなんて、だれも考えていないんでしょうね。
日本には「水に流す」という言葉があるけど、桜の花は「水に流す」といったことを表しているなと思うの。
何もなかったように散って、また春が来ると咲き誇る。桜が毎年咲き誇るうちに、「水に流す」という考えかたを、もう一度日本人は見直すべきなんじゃないかしら。
それでは、みなさん、わたしは水に流されていなくなります。今まで、好きにさせてくれてありがとう。樹木希林、おしまい。
制作陣は今回の広告に込めた意図について、「どう生きるか、どう死ぬかについて、あらためて深く考えるきっかけになれば幸いです」とコメントしています。
2012年に全身をがんでおかされたことを明かし、リハビリを続けながらも女優として活躍し続けた樹木さん。
苦しい状況でも「がんになって死ぬのがいちばん幸せなのよ」「がんは面白いのよ」といい、前向きな姿を見せていました。
樹木さんの『最後のメッセージ』は、多くの人に大切なことを教えてくれるのではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]