朝食の定番『食パン』、5分の2が? 『あの部分』をビールに使う理由とは
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朝の食卓に並ぶことの多い食パンには、耳が付いています。
そのまま食べるだけでなく、ラスクなどに加工して味わうイメージが強いかもしれません。しかし実は、市場に出る前に廃棄されることも多い部位です。
そんなパンの耳をアップサイクルして原材料の一部にしたクラフトビール作りで注目を浴びているのが、おもに給食用や業務用のパンを製造する、株式会社栄屋製パン(以下、栄屋製パン)によるブランド『Better life with upcycle』。
ブランド発足当初からしばらくの間は、複数の外部ブルワリーと提携してクラフトビールを作っていたといいます。しかし2024年2月、満を持して自社のブルワリーが神奈川県海老名市にオープンしました!
海老名市にある醸造所の外観
ビールイベントへの出店など、発信活動にも積極的
『Better life with upcycle』は、自社のブルワリーの立ち上げ以降、ビールイベントや、複合型カルチャーイベントなどへの出店にも積極的。
同年9月に神奈川県海老名市で開催されたクラフトビールイベント『EBINA CRAFT BEER STREET 2024』のほか、翌月に東京都千代田区大手町で行われたエシカルマーケット『森の市』にも出店しました。
また、同年11月9~10日の2日間にわたり神奈川県藤沢市で開催されるマルシェ『うみちかマルシェ 11月の海とクラフトビールと』にも出店が決まっているなど、今後ますます目が離せない同ブランドの動向。
grapeでは、代表の吉岡謙一さんに、同ブランド発足の経緯などをうかがいました!
吉岡謙一さん
吉岡さんは、家業を継ぐ形で栄屋製パンに入社し、2024年10月現在は専務取締役として活躍しています。
栄屋製パンは、パンや米飯を、周辺地域の小学校などの学校給食用に供給するのがメインの会社。当初は会社全体の売上のおよそ97~8%を、学校給食が占めていたといいます。
時代の変化に伴い、少子高齢化などの影響で学校給食の需要が減ることに危機感をおぼえた吉岡さん。学校給食を柱としつつも、ここ10~20年の間に徐々に市販の比率を増やす方向に舵を切ったそうです。
こうした動きを続けつつ、入社当初からある疑問がずっと頭の中にあったといいます。それは、日常的に目にする、山積みになった大量のパンの耳が持つ価値についてでした。
大量に切り落とされるパンの耳
自社の食パンは、サンドイッチ用に耳を切り落とした状態で出荷しています。そのため、工場には大量にパンの耳が残ってしまうんです。それを毎日、畜産農家の方々が、軽トラック2台くらいで引き取りに来るんですよね。
食パンの5ぶんの2は、パンの耳が占めているんです。残りの5ぶんの3は、ふわふわの白い部分で。つまり僕らの労働は、5ぶんの3しか評価されないんです。
従業員の努力や労力のうち5ぶんの2は誰にも評価されず、「こんなのでいいの?」っていう思いがありました。