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夏目漱石の生い立ちや名言 代表作『こころ』から見えてくる性格とは?

By - grape編集部  公開:  更新:

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『こころ』や『吾輩は猫である』などの名作を生み出し、小説家としてだけでなく評論家や英文学者としても活躍した夏目漱石(なつめ・そうせき)。

多くの人々の心に響く作品の魅力や、彼自身の生い立ちや性格、後世に残した名言などをご紹介します。

夏目漱石の本名や生い立ちは?

夏目漱石が誕生してから、人気作家として世に広く知られるまでの道のりとは、どのようなものだったのでしょう。

夏目漱石(本名:夏目金之助)は、父・夏目直克さんの五男として1867年2月9日に江戸・牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)で生まれました。

複雑な家庭環境だったようで、生後すぐに里子に出され、1歳の時には塩原家の養子になるなど、波乱の幼少期を過ごします。

9歳の時に養父母の離婚がキッカケで生家に戻りますが、実父・直克さんと養父の対立が原因で、夏目漱石は21歳の時にようやく復籍できたといわれています。

養父母との複雑な関係を自伝的に描いたと評される、夏目漱石の作品が『草枕』です。

夏目漱石『草枕』

【草枕 あらすじ】

海外留学から帰国し、大学の教師になった健三。彼の前に現れたのは、15、6年前に縁が切れたはずの養父・島田だった。島田に金をせびられた健三は…。

『草枕』を読めば、夏目漱石が胸の内に抱えていた思いや苦悩がかいま見えるかもしれません。

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正岡子規との出会いとエピソード

勉強ができ、中でも英語で優れた成績を収めていた夏目漱石は、1884年に東京大学予備門予科に入学します。

【東京大学予備門予科】
東京大学の予備機関として成立。その後分離独立し、第一高等中学校となる。後の第一高等学校の前身。

夏目漱石は、そこで後に歌人として世に名をはせる正岡子規と出会い、親交を深めるのです。

この時期に夏目漱石は筆名として『漱石』という名前を初めて使います。その由来は、中国の故事である『漱石枕流』といわれています。

【漱石枕流】
『石に漱(くちすす)ぎ、流れに枕す』ともいう。自らの失敗を認めず、屁理屈を並べること。

正岡子規が使っていた複数の筆名の中にも『漱石』という名前があるため、親交の深さから正岡子規が夏目漱石に『漱石』の名を譲ったという説も。

負け惜しみを意味する『漱石』という名前を好んで使用したことからは、夏目漱石の負けず嫌いな性格がうかがえますね。

1893年に帝国大学(現在の東京大学)を卒業し、英語教師としてさまざまな地域で働く中、夏目漱石は文部省から英文学研究のために2年間のイギリス留学を命じられます。

イギリス留学中は研究に没頭するかたわら、神経衰弱にも悩まされていたという夏目漱石。

帰国後、大学の講師をしながら処女作品であり、初の長編小説となる『吾輩は猫である』を執筆しました。

夏目漱石『吾輩は猫である』

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」で始まる有名な冒頭文は、聞き覚えのある人も多くいるでしょう。

【吾輩は猫である あらすじ】

中学教師・苦沙弥先生の周囲で起こる珍談や小さな事件の数々を、飼い猫の目から風刺的に描いた長編小説。

『吾輩は猫である』に出てくる登場人物の数名は、実際に夏目漱石の知り合いがモデルになっているともいわれています。

読者を「クスッ」とさせてくれる、ユーモアたっぷりな作風が人気を博しています。猫好きはもちろん、猫を飼っていない人にもおすすめです。

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その後、夏目漱石は1907年に朝日新聞社に入社。さらに精力的に作品を生み出すことで、人気作家の1人として道を歩んでいきます。

そして、1916年12月9日。当時執筆していた作品『明暗』が未完のまま、夏目漱石は胃潰瘍により49歳で亡くなったのです。

夏目漱石『明暗』

【明暗 あらすじ】

職場の紹介で妻のお延と結婚し、平凡な毎日を送っていた津田の心には、かつて将来を誓い合った女性・清子がいた。

突然自分を捨て、津田の友人の元へ嫁いだ清子が、1人で温泉場に滞在していることを知った津田は…。

夏目漱石の未完にして絶筆となった作品『明暗』。夏目漱石が最後に感じていた思いに触れてみませんか。

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夏目漱石の作品 代表作から見える作風

夏目漱石といえば、親しみやすく生き生きとした筆致で描かれる人間模様や、人の持つエゴイズムを真っ直ぐにとらえ、心をえぐるような作風が人気です。

夏目漱石が世に残した、代表作と呼ばれる作品をいくつかご紹介します。

夏目漱石『こころ』

近代文学を代表する作品の1つともいわれている、夏目漱石の作品『こころ』。

【こころ あらすじ】

鎌倉で出会った、一人の男性。不思議な魅力を持つその人を「先生」と呼び、慕っていた私の元に、分厚い手紙が届くが…。

かつて親友を裏切り恋人を得た先生が、親友の自殺を機に罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶまでの心の動きを丁寧に描いた代表作。

前半部分は先生の不思議な魅力に惹きこまれた学生の視点から描かれ、後半部分は先生の告白でつづられる作品『こころ』。

夏目漱石特有の透明な文体で表現された、人間のエゴがもたらした究極の愛と罪の意識の行く末を見届けてみませんか。

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夏目漱石『三四郎』

夏目漱石の作品を読むにあたりかかせないのが、前期に書いたとされる『三四郎』『それから』『門』の三部作です。

第一作となる作品『三四郎』では、多くの人が青春期に経験する勉強や友情、恋愛の喜びや不安、戸惑いが丁寧に描かれています。

【三四郎 あらすじ】

熊本の高等学校を卒業し、東京の大学に入学した小川三四郎。都会でスタートした新生活の中で、自由奔放な女性・里見美禰子と出会い、恋心を抱くが…。

大勢の共感を呼び起こす『三四郎』は、大人になってからはもちろん、多感な時期を送る10代にもピッタリな作品です。

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夏目漱石『それから』

続いてご紹介するのは、三部作の第二作である作品『それから』。

【それから あらすじ】

三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと過ごす長井代助。かつて、愛した女性・三千代を友人の平岡に譲るも、平岡の妻となった三千代と再会し…。

明治期に起きた愛の悲劇を丁寧に描いた1冊。かつて愛し合った男女の迎える結末を見届けてみませんか。

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夏目漱石『門』

夏目漱石が前期に手がけた三部作のラストを飾る作品『門』。

【門 あらすじ】

親友の安井を裏切り、その妻であった御米と結ばれた宗助。その負い目から、常に諦念を持って暮らしていた彼が、思いがけず耳にした安井の消息は心を乱すもので…。

主人公の宗助が足を踏み入れた『門』とは、どのような場所だったのでしょうか。宗助をさいなむ罪の意識の行く末とは…。

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こちらの三部作は、それぞれ1冊ずつ読んでも面白いですが、刊行順に読むことで、夏目漱石が描きたかった思いが見えてくるかもしれませんね。

夏目漱石『夢十夜』

詩的な文章と幻想的な世界観がファンの間で人気を集める、夏目漱石の短編小説『夢十夜』。

【夢十夜 あらすじ】

さまざまな年代の登場人物から語られる、『第一夜』から『第十夜』までの夢にまつわるお話。

「こんな夢を見た。」という書き出しで有名な、夏目漱石にしては珍しい幻想文学作品です。短編小説なので、ちょっとした休憩時間や、眠る前の読書にピッタリですよ。

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夏目漱石の名言やエピソードから見える性格は?

夏目漱石といえば、素晴らしい作品のほかに、茶目っ気のある性格の持ち主としても知られています。

英語教師をしていた夏目漱石が、英文の『I love you』を「我はきみを愛す」とそのまま翻訳した生徒に対し、「月がキレイですね、と訳せば日本人にも伝わるだろう」と答えたという説話は有名です。

こちらのエピソードは出典が明らかでないものの、夏目漱石のロマンチックな一面がうかがえます。

多くの人に語り継がれている、夏目漱石の名言をいくつかご紹介します。

馬は走る。

花は咲く。

人は書く。

自分自身になりたいが為に。

君、弱い事を言ってはいけない。

僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである。

あせってはいけません。

ただ、牛のように、図々しく進んで行くのが大事です。

波乱の幼少期を経て、さまざまな仕事を経験し、たくさんの人と関わりを持つ中で得た知識を自身の作品に反映させた夏目漱石。

感受性が豊かで、デリケートな一面を持つ夏目漱石だからこそ、多くの人の心の琴線に触れる物語を生み出せたのかもしれません。

夏目漱石『草枕』を俳優・日下武史が朗読

「夏目漱石の作品を読んでみたいけれど、なかなか時間がない」「読書は苦手…」という人にピッタリなのが、書籍の音声データを耳で聴いて楽しむことができる『オーディオブック』。

『オーディオブック』では夏目漱石の作品を数多く取り扱っていますが、中でもオススメしたいのは、俳優や声優として活躍していた故・日下武史さんの朗読による『草枕』です。

『草枕(上・下)』

著者:夏目漱石
出版社:新潮社
ナレーター:日下武史

日下武史さんが朗読する『草枕』は上巻と下巻に分かれています。2つ合わせた再生時間は約5時間半。

夏目漱石の代表作の1つである『草枕』の持つ詩情豊かな世界観を、耳で心ゆくまで味わってみませんか。

※記事中の写真はすべてイメージ

夏目漱石 主な執筆作品

・『吾輩は猫である』
・『坊っちゃん』
・『野分』
・『虞美人草』
・『坑夫』
・『三四郎』
・『それから』
・『門』
・『こころ』
・『道草』
・『明暗』
・『彼岸過迄』
・『夢十夜』
・『行人』
・『硝子戸の中』


[文・構成/grape編集部]

出典
audiobook.jp

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