展覧会で待ち合わせ!『京都で描かれた絵』詳しい人と一緒に見て歩いたら?

By - grape編集部  公開:  更新:

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商品を販売するだけでなく、美術との出会いの場も長年提供してきた大阪髙島屋。

2021年8月25日から、大阪髙島屋ではある画家の展覧会が開催されているとのことで、気になる絵があった筆者は早速、見に行ってきました!

不思議な水彩画の解説に「見方が変わった」

会場入り口に立っていたのは、今回、解説を名乗り出てくれた『ある画家に詳しい人物』です。

案内をしてくれるのは、ある画家とともに仕事をしてきた産業経済新聞社(通称:産経新聞)の山上さん。

ある画家とは、2020年12月24日に94歳で逝去した安野光雅さんのことで、絵とエッセイ『安野光雅が描く 洛中洛外』を長年、産経新聞で連載していました。

その縁から山上さんは、『安野光雅 追悼 「洛中洛外と京都御苑の花」展』に展示中の、筆者が気になっていた水彩画についても説明してくれるとか!

空想大好き!?鞍馬寺に足された2人

展覧会に来る前、筆者は京都を舞台とした作品『鞍馬寺』が気になっていました。

『鞍馬寺』は、安野さんが現地を訪れて描いた『安野光雅が描く 洛中洛外』の作品の1つ。

『鞍馬寺』には、安野さんが現地で『目撃していない人』も描かれているといいます。

その絵の実物が、こちらです。山や木々、険しい岩場が印象的ですね。鞍馬寺の仁王門の朱色も映えています。

日本画家である富岡鉄斎の画風をまねているので、水墨画風のタッチになっています。

山上さんが指を差したのは、絵の左側。よく見ると、確かに2人立っているのが見えます!

山上さん:『鞍馬寺』はツッコミどころが満載な絵なんですよ。

現地まで足を運んだのですが、安野さんは源義経時代の鞍馬寺を想像して描いたので、実際にはない川が流れていたり、飲食店が描かれていなかったり…。

そして、牛若丸と弁慶も描かれているんです。

実際の風景を見ながら、牛若丸と弁慶を描き足すとは、なんとも遊び心がありますね。

絵の左上には『鞍馬山 牛若丸 弁慶 贋作 鉄斎』と書いてあります。

鉄斎の作品と間違えられないようにか、「鉄斎の画風に似せて描いた、鞍馬山と牛若丸たちですよ」ということを自ら書いてしまう点からは純粋さも感じられます。

絵の構図にハッとする

会場を歩いていると、こんな絵とも出会いました。

タイトルは『伊根の舟屋』。京都府伊根町を訪れた安野さんは、船を守るための伝統的建造物『舟屋』を見たくて、観光船に乗ったそう。

海から舟屋を見ると、船を収納するための1階部分を見ることができます。

山上さん:こちらも先生独特の視点の絵ですね。本当に同じ場所から見ようとすると、ドローンを飛ばして海側の上空から見ないといけません。

先生のファンから時々、「同じ場所から見て絵を描きたい」と問い合わせをいただくんですが、「ちょっと難しいと思います」とお返事しています。

安野さんの作品は、高いところから見下ろして描いた『鳥の視点』の構図が多いといいます。

そんな構図だからこそ、ほかの人が描く京都とは違った風景を、絵を通して私たちも見ることができるのでしょう。

絵のロケ地を探している時も、橋の上や高台などを好んでいたとか。制作時のエピソードを知ると、絵の見方も深まりますね。

どこを見ても、温かなタッチの作品が並ぶ展覧会。一周するだけでリラックスできて、日々の疲れも吹き飛ぶようです。

展覧会を見終わったら、会場の物販で安野さんの絵本を買うなどして、余韻に浸るのも楽しいですよ!

筆者はエッセイなどの書籍数点と、ポストカードを購入しました。改めて、自宅でじっくり見ようと思います。

同じように、心和やかな休日を過ごしたくなった人は、展覧会まで足を運んでみてください!

安野光雅 追悼 「洛中洛外と京都御苑の花」展

会期:2021年8月25日(水)~9月6日(月)
会場:大阪髙島屋 7階グランドホール
入場時間:午前10時〜午後6時30分(午後7時閉場)、最終日9月6日(月)は午後4時30分まで(午後5時閉場)
※都合により変更になる場合がございます。
※同年9月15日(水)~10月4日(月)は横浜髙島屋に巡回。

主催:産経新聞社 後援:サンケイスポーツ、夕刊フジ 協力:森の中の家 安野光雅館、津和野町立安野光雅美術館


[文・構成/grape編集部]

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