『漸く』の正しい読み方と意味とは? 『暫く』との違いや使い方も紹介
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『漸く』という字を見て、「どのように読むのだろうか」と首を傾げる人もいるでしょう。実はよく使われる言葉ですが、『暫く』や『悉く』と間違える人もいるようです。本記事では『漸く』の正しい読みと意味、『暫く』との違いについて紹介します。
『漸く』の読み方と意味
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『漸く』の読みや意味について、くわしく見ていきましょう。
『漸く』の読み方
『漸く』の読みは、『ようやく』です。聞いたことがあるかもしれません。なお、ほかの音読みと訓読みは下記の通り。
現代語で『ようやく』以外の訓読みは、耳にする機会が少ないですね。時代が下るにつれて、古語で使われていた読みが変化したと考えられています。
また、古語では『漸漸』を『ぜんぜん』と読む場合もあり、副詞の場合は、徐々にという意味です。
『漸く』の意味
『漸く』は副詞で、後につく連用形の動詞などを修飾する語です。現代語で使われる『漸く』の意味は2つあります。
望んでいたことがなんとか実現する様子を表す。
ものごとが少しずつ進み、ある状態の水準にまで至る様子を表す。
古語では、『漸く』はゆっくりと、落ち着いて動き始める様子を表しました。『漸』の字義である、「布地が水に浸ってだんだん濡れ広がっていく」様に由来します。そこから転じて、やっと、だんだんと、という意味で使われるようになったそうです。
『漸く』と似ている語と違い
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『漸く』はしばしば『暫く』や『悉く』と間違えられることもあります。この2つの語は『漸く』と同じように副詞ですが、読みや意味は異なります。『暫く』と『悉く』について、くわしく見ていきましょう。
『暫く』
『暫く』の読みは『しばらく』です。『漸く』をしばらくと読み間違えていた人もいるかもしれません。意味は以下の通りです。
例:電話は順番におつなぎいたします。暫くお待ちいただけますか。
例:暫く会わないうちに、大きくなって。お孫さんは高校生になったのですね。
例:お客様が、忘れものを暫く預かって欲しいとのことです。
『漸く』は、後で実現する、少しずつ進みながらやり遂げるといった、ものごとの結果を表します。
対して『暫く』の場合、少しの間、一時的、当分の間など、ある程度時間が経過しても限られた期間を表しています。結果について特に言及しているわけではありません。
『暫』の漢字は、時間を一時的に切り取った状態を表します。その状態が長く続くわけではない、限定的な時間のことをいう時に使われます。
『漸く』と『暫く』を混同するのは、共通する『斬』が漢字に含まれていて、送り仮名が同じ『く』であることが関係しているかもしれません。
『悉く』
『悉く』の読みは『ことごとく』です。意味は下記の通り。
例1:作戦は悉く失敗したようだ。
『漸く』には、『悉く』とは違い、すべて、1つも残さずといった意味はありません。『悉く』には『漸く』のように時間をかけて目標を叶えるといったことも表しませんね。
意味は違っていても、漢字の後に『く』と送り仮名を付けるところが似ているので、間違う場合があるようです。
『悉く』は、どちらかといえばネガティブな意味で使われる言葉。対して『漸く』は時間がかかってもなんとか成功したり、ぎりぎりでもあっても成果を残していたりすることを表しています。『漸く』のほうがポジティブな意味を持ちますね。
『漸く』の使い方と例文
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『漸く』はどのような形で使うとよいのでしょうか。ここからは、イメージしやすい『漸く』の使い方と類語、言い換え表現、例文を紹介します。
『漸く』の使い方
『漸く』は、以下のような意味合いで使えます。
『漸く』の言い換え表現:なんとか実現する
『漸く』を使う場合、実現することを表すといっても、完璧なできや結果とはいいがたい場合があります。数々の苦難をのり越えて一定の状態を満たしているといえる場合もありますね。言い換え表現について見ていきましょう。
『漸く』の言い換え表現:ゆっくり進行や変化をする
進行していく様子や変化をする様子を表す時に『漸く』を使う場合、進行や変化の具合がゆるやかであることを表します。急な動きを見せる場合に使われません。言い換え表現は以下の通りです。
『漸く』の例文
『漸く』を使った例文は下記の通りです。
『漸く』の読み方と意味を知って使えるようにしよう
『漸く』は、時間がゆっくり経過して変化していくこと、なんとかやり遂げることなどの意味で使われる言葉。
ただ、漢字が難しく、ほかの字と読み間違いをする恐れがあるためひらがなで表記することが多いです。読みと意味を理解して、適切に使えるようにしましょう。使える言葉の幅が広がりますよ。
[文・構成/grape編集部]