1997年にリリースされたリミックス・アルバム『Blood on the Dance Floor: HIStory in the Mix』に収録された一曲。MJが作詞・作曲・プロデュース・編曲を手がけ、さらにはパーカッションとギターまで手がけているこの曲は、彼の音楽家としての才能をダイレクトに感じさせてくれるのではないだろうか。
MJの魅力のひとつは、メッセージ性の強い楽曲を産み出す能力ではないだろうか。『They Don’t Care About Us』では破錠した社会への怒りを表したが、『Earth Song』では環境汚染に対する怒りをぶちまけている。
序盤はリリカルに歌い上げるものの、次第に怒りが収まらず、ゴスペル合唱と共に絶叫する。忘れられた人々、動物たち…地球上の様々なものを、MJが代弁して『what about us?』と問い続けるクライマックスは、身震いをせずにしては聴けない。色んな面を持つMJだが、このような曲は彼が一番表現したかったことなのではないかと推測してしまう。
80年代・90年代のポップ界を牽引してきたマイケル・ジャクソン。
そのディスコグラフィーは、69年のメジャー・デビュー曲”I want you back”から数えても、130曲以上と言われている。
「MJのトップソングはなんだろう?」というのは愚問であろう。彼が世に出してきた全ての曲には意味があり、聴き手により感じ取り方は人それぞれなのは言うまでもない。
だが『スリラー』など大きな成功を収めている曲やアルバムには、その陰に隠れてしまっている曲もある。
そこでニッポン放送のSUONO DOLCEと協力のもと『マイケル・ジャクソンの知られざる一面』というトラックリストを作成。MJのキャリアを考慮してはいるものの、個人的に思い入れのある曲も入っている。
40分のトラックリストということで、泣く泣く選曲を断念したものが多い。逆にこれをきっかけに「いや、これはちがう」「あの曲はどうした」など、話題の種になればと思う。
MORPHINE
1997年にリリースされたリミックス・アルバム『Blood on the Dance Floor: HIStory in the Mix』に収録された一曲。MJが作詞・作曲・プロデュース・編曲を手がけ、さらにはパーカッションとギターまで手がけているこの曲は、彼の音楽家としての才能をダイレクトに感じさせてくれるのではないだろうか。
ノイズ感の強いパーカッションをバックに、苦悶に満ちたMJのボーカルが耳を突き刺す。鎮静剤の名前も歌詞に登場し、自身の薬物との闘いも垣間見える。
Can You Feel It
The Jacksons時代の名曲。オープニングのブラスとコーラスを聞いただけで、アップリフティングされる心地よさ。
全体的なファンキーさに、余裕でリリシズムを紡ぎ出すMJの美声はたまらない。コーラスが「Can You Feel It」と連呼すると、「Feelしてるよ!」と返したくなる。
In The Closet
1991年にリリースされたアルバム『Dangerous』からの一曲。テディー・ライリーが副プロデューサーの席に座っていることもあり、ヒップホップとR&Bが融合されたNew Jack Swingを感じさせる。
しかしちょっとした切り回しの数々が、このトラックを特別なものにしている気がする。MJもウィスパーボイスを活かし、曲をさらに快楽的なものに仕上げている。
They Don’t Care About Us
『HIStory: Past, Present and Future Book I』がリリースされた1997年、筆者は海外にいた。朝、テレビをつけるとこの曲のMVが流れていたのを今でも覚えている。
曲のほとんどは軍隊行進のようなドラムビートが鳴り続けるのだが、次第に曲は激しさを増し、最後にはゴスペルのコーラスが登場する。少ないテーマで曲を盛り上げるのはラヴェルのボレロをも思い起こさせる。歌詞を深読みすると、MJの社会に対するあらゆる怒りが炸裂した楽曲なのではないだろうか。
She’s Out Of My Life
MJの中でも王道的なバラードを突き進んだ一曲。1979年のアルバム『Off The Wall』に収録されたこのバラードは、伴奏はほぼキーボードのみ。ボーカリスト・リリシストとしてのMJを堪能できる。
音域、ニュアンス、表現…全てをいとも簡単にやってのけるところがMJが偉大さのひとつ。最後に感情が抑えきれず声が乱れる一瞬、聴き手もMJと一緒に激しい失恋を経験する。
Rock with You
サビの”I wanna rock with you”で、今まで中域で歌っていたMJが突然”Rock”の単語でB(シ)まで跳ね上がる。初めてこの曲を聞いたとき「俺はこれだけ”Rock”したいんだ!」と言わんばかりの説得力さえ感じてしまった。
この曲と『Don’t Stop ‘Til You Get Enough』は、MJのソロキャリアを約束した曲かもしれない。両方R&Bのテイストが盛り込まれたディスコ・トラックでなんてノリがいいのだろうか。今でもMJのヒット曲として語り継がれているのは必然的だ。
Butterflies
前曲に続いて『Don’t Stop ‘Til You Get Enough』をと行きたいところだが、ここであえて『Butterflies』を選曲。2001年にリリースされたアルバム『Invincible』の収録曲では、MJのファルセット(裏声)のコントロールの精密さが伺える。
現代的なR&Bのトラックに舞うMJの自然な表現は、まさに『Butterfly』だ。他の名曲と比べると、日の目を見ていないトラックなので、聞いたことがない人は是非。
Earth Song
MJの魅力のひとつは、メッセージ性の強い楽曲を産み出す能力ではないだろうか。『They Don’t Care About Us』では破錠した社会への怒りを表したが、『Earth Song』では環境汚染に対する怒りをぶちまけている。
序盤はリリカルに歌い上げるものの、次第に怒りが収まらず、ゴスペル合唱と共に絶叫する。忘れられた人々、動物たち…地球上の様々なものを、MJが代弁して『what about us?』と問い続けるクライマックスは、身震いをせずにしては聴けない。色んな面を持つMJだが、このような曲は彼が一番表現したかったことなのではないかと推測してしまう。
アップビートでファンキーといった、普段のマイケル・ジャクソンとは少し違った一面にスポットライトを当てた選曲、いかがだったろうか。このトラックリストはSUONO DOLCEで定期放送されるので、ぜひ聴いてほしい。
SUONO DOLCE
放送時間
4月19日(水)7時、15時、23時
4月21日(金)10時、18時、26時
4月23日(日)12時、20時
[文・構成/grape編集部]