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どう思う? 「性的意図がない」と主張して、強制わいせつ罪に問われない人たち

By - grape編集部  公開:  更新:

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※写真はイメージ

厳罰化が望まれていた、性犯罪。

多くの人が声を上げた結果、2017年7月に、性犯罪の改正刑法が施行されました。

しかし、刑法を改正しても、まだ見直すべきところは残っていました。それは、現代の感覚からズレた判例です。裁判官は、過去の判決を重視する傾向にあり、中には多くの人が違和感を覚える裁きになることがありました。

弊害を正すため、法曹関係者の間でも「時代とズレている」といわれていた強制わいせつ罪の判例が、見直される見通しです。

強制わいせつ罪が適用できない

2016年1月に、被害女児の体を触っている様子を、40代の男性が携帯電話で撮影した事件がありました。

産経新聞によると、加害男性は「知人から金を借りる条件として、被害女児とのわいせつ行為を撮影したデータを送るよう要求された」ため、このような犯行に至ったといいます。

加害男性は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、強制わいせつ罪などに問われています。この中で1番刑罰が重いのが、強制わいせつ罪。6か月以上、10年以下の懲役が科せられます。

1つの事件で複数の罪を重ねている場合、重い罪の懲役のみ適用されたり、重い罪の懲役を軸に、軽い罪の分が加算されたりします。つまり、1番重い罪の懲役が重要となります。

卑劣な犯行におよんだ加害男性には、厳罰が望まれています。

しかし、従来のままでは、加害男性は強制わいせつ罪に当てはまらない可能性があるのです。

強制わいせつ罪の適用の、壁とされている『主観』

壁とされているのが、1968年に下された、強制わいせつ罪の判決です。

1968年に起きた事件の加害男性は「内縁の妻が逃げる手引きを、被害女性がした」と思い込み、復讐目的で被害女性の裸体を撮影していました。

この判例では、「強制わいせつ罪の成立には、その行為が犯人の性欲を刺激し興奮させる、または満足させる、という性的意図のもとに行なわれた必要がある」と、されています。

1968年の判例の、問題点

被害女児を撮影した加害男性の弁護士は、「お金を借りるための撮影であって、性的意図はない」と主張。

強制わいせつ罪が成立しなければ、代わりに、より刑罰の軽い強要罪が適用される可能性があります。

犯行の際、性的意図があったかどうかは、加害者側の主観に左右されるもの。この点が、「1968年の判例を参考にし続けるのは疑問だ」という声が上がる原因の1つです。

性的意図は必要?

検察側は、改正刑法の施行で、性犯罪への厳罰化が進んだことを引き合いに出し、以下のように主張しました。

「性犯罪に厳正に対処する必要性が高まる中、判例の解釈は妥当性を欠くものとなっており、変更すべきだ」

産経新聞 ーより引用

1968年の判例を変更する必要性を訴える検察側。

そもそも、強制わいせつ罪は「13歳以上の人に暴行や脅迫をしてわいせつな行為をした、または、13歳未満の人にわいせつな行為をした場合に成立する」と定められています。

刑法に「加害者の性的意図が必要」とは、書かれていないのです。

被害女児は13歳未満であったため、刑法に従えば、加害男性は被害女児に暴行や脅迫をしていなくても、強制わいせつ罪が科せられるはず。現状では、半世紀前の判例が、加害者の刑罰を軽くするかのように働いてしまっているのです。

判例の見直しに動く、法廷

被害者の身体に触れる、服を脱がすなど、明確に性的なことをしているのに、加害者の主観が尊重されるなんてあり得ない!

そんな思いが募っていた人は、法曹界にたくさんいたのでしょう。

今回の裁判で、1審の神戸地方裁判所と、2審の大阪地方裁判所は「犯人の性的意図の有無によって、被害者の性的自由が侵害されたか否かが左右されるとは考えられない」とし、1968年の判例に基づく弁護側の主張を退けました。

そして、強制わいせつ罪の判例変更について、最高裁の裁判官5人で構成された『小法廷』から、裁判官15人全員で構成された『大法廷』へ回付されることが決定。判例が、見直される可能性が出てきました。

強制わいせつ罪の判例を変更する動きに、多くの人がコメントしています。

・どう考えても、わいせつなことをしているじゃないか!

・優先すべきは加害者の意見ではなく、被害者の視点ですよね。

・判例そのままだって、知人に渡すために撮影したのなら、間接的に性的な意図を果たしてるぞ!

・写真や動画がネット上で広まる時代なんだから、加害者だけでなく「第3者を性的に刺激するか否か」も判断材料にしてほしい。

・加害者の意図ではなく、社会的にその行為が、どう位置付けられるのかに重点をおいてくれ。

男性の弁護士は、「性的意図がなくても強制わいせつ罪が成立すると解釈すれば、医療行為や介護行為が処罰対象となってしまう」と、判例の見直しには反対しています。

また、「一般の感覚で『わいせつだ』と思われないような行為を、特殊な性癖を持つ人が性的意図を持って行った場合、強制わいせつ罪に問えなくなるのではないか」と危ぶむ声も上がっています。

判例の見直しで生じる問題をクリアして、今後より多くの人が納得できる判決を下せるようになるのでしょうか。

『大法廷』の判断は、11月29日に示される予定。どのような判断が下されるのか、多くの人が注目しています。

※記事内の写真は、すべてイメージ。


[文・構成/grape編集部]

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出典
裁判所 裁判例情報産経新聞産経新聞

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