虐待され、人に怯えるメス犬 彼女を救ったのは初めて出来た『友だち』でした
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2017年冬のある日、アメリカのイリノイ州にある動物保護シェルターに1匹のメスのピットブルが連れて来られました。犬の名前はロキシー。ガリガリにやせ細り、体のあちこちにひどい皮膚炎を起こしていました。
獣医が診断したところ、皮膚炎の原因は長い間、尿などで濡れた新聞紙かタオルなどの上に寝ていたためと思われました。飼い主によって適切な世話をされていなかったことは明らかでした。
シェルターのスタッフであるブリジットさんがウェブメディア『The Dodo』に語ったところによると、ロキシーを預けにきた飼い主から出た言葉にとてもショックを受けたといいます。
「この犬はもう使いものにならないから」
ロキシーはドッグブリーダーによって飼われていた犬だったのです。数回の出産をさせられた後、ろくに世話もされずにひどい虐待を受けていたと思われます。
体だけでなく心にも深い傷を負ったロキシーは、シェルターに連れて来られた時、ひどく怯えて誰とも目を合わせようとしませんでした。
繁殖用として『使い捨て』される犬
それから数週間、動物病院で治療を受け、ロキシーの健康状態は次第に回復していきます。体重も増えて、病院のスタッフにおやつをもらったりするうちに、少しずつ人に近付いて来るようになりました。
しかし彼女が病院からシェルターへと移れるくらいに回復した段階でもまだ、人を怖がる様子は変わらなかったのです。
ロキシーには家族が必要…しかしこれほどまでに人を怖がっていては、里親を募集することはできません。そんなロキシーを心配したブリジットさんは、あるアイディアを思いつきます。
それはブリジットさんの愛犬、オーガスタスとロキシーを会わせること。オスのピットブルであるオーガスタスは、シカゴの路上で保護された犬で、誰かによってひどい虐待を受けていたといいます。
初めて出来た『友だち』に笑顔があふれる犬
オーガスタスを見たロキシーは一瞬で恋に落ちたかのように、笑顔のような表情になりました。友だちができたことで安心したのか、保護されてから初めて『犬らしい』ふるまいを見せたのです。
2匹は外で駆け回って一緒に遊びました。ブリジットさんはこんなに幸せそうなロキシーを見たのは初めてだったといいます。
似たようなつらい境遇にあった2匹なので、何か通じるものがあったのかもしれませんね。
ロキシーの心のケアに大きく貢献してくれたオーガスタスのおかげで、彼女はすっかり活発になり、人を怖がることもなくなってきたということです。
何年もの間、過酷な状況で生きてきたロキシーに1日も早く、温かい愛情をたっぷりと注いでくれる家族ができるといいですね。
[文・構成/grape編集部]