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映画『万引き家族』に、議員が「観たくもない」 理由に批判が相次ぐ

By - grape編集部  公開:  更新:

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第91回アカデミー賞において、外国語映画賞にノミネートされた是枝裕和監督の『万引き家族』。

外国語映画賞に日本映画がノミネートされるのは、2009年に同賞を受賞した滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来、10年ぶりの快挙です。

同作は、未就学児童の問題や年金の不正受給など、登場人物は現代社会が抱える問題の当事者として描かれています。

そのため、公開当初から「犯罪を助長する」「日本のイメージを下げる」といった批判の声が上がっていました。

アカデミー賞にノミネートにされたことで、祝福や受賞を期待する声が上がる一方、そうした批判が再燃してしまっているのも事実。

そんな中、群馬県伊勢崎市議会の伊藤純子議員のツイートが、賛否両論を呼んでいます。

問題となっている伊藤議員のツイート

『万引き家族』のアカデミー賞候補入りを報じるツイートに対して「諸外国に、日本の誤ったメッセージを発信しかねない」「学校に通えない児童はいない」と、応じた伊藤議員。

しかし、伊藤議員の意見に対して矛盾を指摘する声が相次いでいます。

日本において、学校に通えない子どもはいるのか

2017年8月に文部科学省が発表した調査によると、無戸籍の子どもで就学していない割合は0%。

しかし、学校に通えない子どもたちに焦点を当てた番組や書籍も多く、『教育格差』が問題視されることは珍しくありません。

実際、同調査によると、就学しているものの不登校状態になっている割合は1.5%で、未就学期間がある子どもの割合は2%との報告があり、「小学校に通えない児童などいない」とする伊藤議員の意見には、疑問を抱かずにいられません。

そもそも『万引き家族』において『貧困』はテーマの1つにすぎず、同作で是枝監督が伝えたかったことのすべてではないはずです。

伊藤議員の意見に反論する人の中には、「映画を見た上での意見だとしたら、理解力がない」と指摘する人も。

そうした声に対して、伊藤議員は「観たくもありません」とし、その理由をこう説明しています。

『万引き家族』に対する意見はさまざまあるでしょう。

しかし、ただ批判して終わるのではなく、日本社会が抱える問題について考え直すきっかけになってほしいものです。


[文・構成/grape編集部]

出典
@110junkoito文部科学省『無戸籍の学齢児童生徒の就学状況に関する調査の結果について』

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