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エスカレーターに乗っていたら怒鳴られた…ルールを守っているのに、なぜ?

By - grape編集部  公開:  更新:

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駅やデパートといった、あらゆる場所で利用しているエスカレーター。多くの人は、この『マナー』を守っていることでしょう。

右側(もしくは左側)を空ける

こういった風潮が昔からあるせいか、どこのエスカレーターも左右どちらかに片寄って利用するのが当たり前のようになっています。

確かに、それは『マナー』かもしれません。しかし、『ルール』ではないのです。なにしろ、間違った乗り方なのですから。

エスカレーターは本来、片側を空けてはいけない

標識などを製作している株式会社石井マークのTwitterアカウントは、このように呼びかけました。

『そもそも転倒事故防止のため“エスカレータは歩かない”、”手すりを持つ”が昨今の安全ルール。
怪我などの理由で、左右どちらかの手すりしか使えない方もいるため』

本来のエスカレーターの使い方は、『歩かずに、手すりをもって乗る』といったもの。そのため、『歩く人のために片側を空ける』のは間違いなのです。

昇降機の安全確保を呼びかける『日本エレベーター協会』ウェブサイトにも、以下のように記載されています。

エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています

慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。
多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。

一般社団法人 日本エレベーター協会 ーより引用

何度も呼びかけ運動は実施されていた

2015年7月、全国の鉄道会社や空港は『みんなで手すりにつかまろう!キャンペーン』を実施。危険性を説明したポスターを、各所に設置していました。

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出典:JR西日本

昨今駅等においては、お客さまがエスカレーターをご利用になる際に、ご自身でバランスを崩して転倒されたり、駆け上がったり駆け下りたりした際に他のお客さまと衝突し転倒させるなどの事象が発生しています。

また、エスカレーターで歩行用に片側をあける習慣は、片側をあけて乗ることのできないお客さまにとって危険な事故につながる場合もあります。

JR西日本 ーより引用

『事故の原因になる可能性がある』という理由以外にも、『片側に体重をかけるため、エスカレーターに負担がかかる』ということもあります。

現在もエスカレーター付近の壁には、正しい乗り方を呼びかけるポスターが設置されている光景をよく目にします。しかし、エスカレーターを利用する人はほとんどが片側を空けていますよね。

なぜ、こういった呼びかけは効果がないのでしょうか。

『正しい乗り方をすると嫌な顔をされる』問題

『エスカレーターの正しい乗り方』を知っている方は、この記事を読んでこう思ったことでしょう。

「だって、正しい乗り方をしたら周りに嫌な顔をされるじゃん」

頭ではわかっていても、正しい行為をするとなぜか迷惑がかかってしまう…。この現状こそ、エスカレーターの正しい乗り方が浸透しない一番の原因だと思います。

現にネット上では、「後ろから怒鳴られた」「早くしろ、と急かされた」などといった声があがっていました。また、「子どもと一緒に横並びで乗っていたら、後ろから無理やり追い抜かされた」といったものも…。

そもそも、なぜエスカレーターで歩くのか

いつ頃から『エスカレーターは片側を空ける』という風潮が広まったのかは不明ですが、エスカレーターを歩くようになった理由は今も変わらないと思います。

思いつくものや、よく耳にするものをあげてみました。

  • エスカレーターの動きが遅いから
  • 付近に階段がないから
  • エスカレーターを歩くと、階段より早く登れるから
  • なんとなく、みんなやってるから

エスカレーターの周囲に階段がない場合は、特に歩いている人が多い気がします。時間に追われている人もいると思うので、確かに歩きたくなる気持ちもわかりますが…。

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『片側を空けるマナー』が浸透しているのは、日本だけではありません。アメリカやイギリス、中国をはじめとした多くの国で行われています。

しかし、このマナーによって起こる事故は絶えません。中国の北京市では2011年、転倒事故による死傷者も出ました。

「ラッシュ時の混雑した状況では、エスカレーターで歩かないと余計に混雑するじゃないか!」

首都圏の通勤ラッシュの凄まじさを知っているので、こういった気持ちもよくわかります。正しい使い方をするべきか、人の迷惑にならないようにするべきか…本当に難しいところですよね。

例えば、人が賑わっている時間帯は難しくても、人が少ない時間帯や場所から『マナー』を変えていく。それも『ルール』浸透への一つのアイディアかもしれません。

出典
一般社団法人 日本エレベーター協会JR西日本@ishiimark_sign

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