『よくあること』を、本当の『よくないこと』にしないためには
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『よくあること』という危うさ
15歳になる我が家のトイプードル、1ヶ月ほど前に血便が出ました。かかりつけの病院で診察してもらったところ、血便が続くことがなければ、『老犬ではよくあること』だという診断でした。
その場で結果が出る血液検査では、もともと数値が高くなっていた腎臓の機能をチェックし、その時の診察は終わりました。
それから少しずつ元気がなくなって、何かいつもとは違う感じに。このままだと危ないのではないか。妙な直感が働き、少し遠方なのですが自然療法なども取り入れた治療をする友人のドクターに診てもらうことにしました。
詳しい血液検査をし、レントゲン、エコー検査で、いくつもの病気を抱えていたことがわかったのです。中でも膵炎の数値が異常に高く、1週間遅かったら危なかったと言われました。
なぜ膵炎になったのか。遡って考えてみると、1ヶ月の血便が原因となった可能性があったのです。
『老犬ではよくあること』という言葉が、何度となく頭に浮かびます。よくあるからそのままにしていていいのか。よくあることだから、気にしなくてもいいということなのか。
『よくあること』が逆転すれば、『よくないこと』になる。もしかしたら今回のように、日常的に意識することなく受け流している言葉が多いのではないか。
例えば「このくらいなら……」という言い方があります。「このくらい」にはどのくらいの許容範囲があるのでしょうか。「このくらい」を超えるのは「どのくらい」なのか。
曖昧な表現でも通じ合えるのは、日本語、日本人の感性の特徴です。曖昧だからこそ味わいがある。はっきりしなくても通じ合うものです。
あうんの呼吸、言わずもがなという言葉と心の文化を廃らせたくはありません。
『よくあること』を、本当の『よくないこと』にしないためには、意識のフォーカスを定めることが大切です。やり過ごしていいのか、はっきりさせた方がいいのか。
野性の勘を発揮すること!『よくあること』をぼんやりとやり過ごしたために、我が家のトイプードルは命の危険を招いてしまいました。
直感は、野性の勘。ドクターを変えなくては!という野性の勘で『よくないこと』を避けることができたのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」