世界中の人たちが傷ついた3年間 それを癒していくのは、優しさしかない
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
優しさという想像力を
コロナ禍の3年間、奇妙な時間を過ごしました。
日常の買い物と病院以外は家にいるという日々を過ごし、少しずつ外出するようになり、まだまだ世間の『圧』を感じながらも自由に行動できるようになったこの1年。
さまざまな規制が解除されるとは言え、もうこの奇妙な時間の前に戻ることはできないでしょう。ばら撒かれた『怖れ』は、無意識の中へと浸透してしまっている気がします。
それは例えば、どんなに気が若くても、無邪気だった10代の頃のような感受性を取り戻すことができないことに似ています。
世界中の人たちが傷つきました。この3年という時間を受け入れ、それを礎にして知恵を出しながら生きること。それは、この時代を経験した私たちにできる最善の道なのではないかと思います。
そしてその傷を癒していくのは、優しさしかないと思うのです。心を荒ぶらせるよりも優しくしたほうが『楽』であることを、いま一度考える時期なのではないか。
時代の流れを止めることはできない。でも、人々の意識によって流れを変えることはできるはずです。
杏里に書いた『St.Imagination』という歌があります。この歌の中で伝えたかったのは、「優しさはImagination」であるということ。
想像力、思いやり、慮ること。想像力を働かせれば、解決すること、物事の流れが良くなることがたくさんあります。
こうしてほしいのかな。いま、この人はこんな気持ちなのかな。必要としている人のために何をしたらいいのか。自分にどんなことができるのか。
日常の中の小さな想像力が、優しい社会を作っていく。電車で席を譲る、手助けを求めている人に手を貸す。何でもないことを行動してみる。
その何でもないことに気づくこと、これが想像力なのです。
優しくされたらうれしい。優しくして喜んでもらえたらうれしい。与える側と、与えられる側の気持ちの循環をはかっていけば、世の中は優しくなるのではないか。
優しさの種を蒔いていけば、いつか実るときが来る。理想論のようですが、実は世界はそのような因果の法則で成り立っているのです。
人を喜ばせることが大好きな友人がいます。その人のまわりには、同じように思いやりのある人たちが集まっています。
そして、その場所は楽しく、心地いいので、さらに人が集まり、優しい輪が広がっていく。
優しさという想像力は、優しい世界への創造力なのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」