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「海外旅行に行きたい、でも行けない…」日本に居ながら中世ヨーロッパにタイムスリップできる?

By - grape編集部  公開:  更新:

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まずはこの動画をご覧ください。

まるで中世ヨーロッパの空を飛んでいるかのようですよね。

この宮殿と庭園があるのは福岡市中心部から車で約1時間半、有田焼で有名な佐賀県西松浦郡有田町の『有田ポーセリンパーク』。

以前から映画やドラマのロケ地としても知られ、コスプレの聖地としても有名な『有田ポーセリンパーク』が、コロナ禍で窮屈な思いをしている人たちにとって救いとなるかもしれません。

『有田ポーセリンパーク』と『ツヴィンガー宮殿』

『有田ポーセリンパーク』の「ポーセリン」とは英語で「磁器」のこと。文字通り「有田焼」のテーマパークとして1993年にオープンしました。

そしてパークのシンボルとして建てられているのが『ツヴィンガー宮殿』なのです。

この宮殿のモデルとなったのは、18世紀に現在のドイツ・ドレスデンに建てられた『ツヴィンガー宮殿』。

なぜそれが佐賀県にあるのでしょう。それは「有田焼」の歴史と深く関わりがあります。

あの「マイセン」に多大な影響を与えた「有田焼」

「有田焼」とは佐賀県有田町とその周辺で製造される磁器のことです。17世紀初頭に日本で初めて誕生した磁器で、当時は伊万里港から積み出されていたために「伊万里焼」とも呼ばれました。

初期の有田焼は素地が厚く、藍色の染付のみの素朴なものが多かったのですが、1640年代に初代酒井田柿右衛門が絵の具で釉薬の上に彩色を施す技法を成功させ、多彩色の有田焼が焼かれるように。

中でも、乳白色の素地に余白を十分に残した絵画的な構図で色絵を施す「柿右衛門様式」は数多くヨーロッパに輸出され、王侯貴族の間で絶大な人気を博しました。そしてヨーロッパを代表する磁器「マイセン」にも大きな影響を与えたのです。

写真:有田焼 柿右衛門様式

ドイツ・ドレスデンに『ツヴィンガー宮殿』を建てた、ドイツ・ザクセン選帝侯でありポーランド王でもあったアウグスト王も「有田焼」に魅せられた1人。

「有田焼」などの東洋陶磁のコレクターとして知られ、『ツヴィンガー宮殿』にはその作品がそれはたくさん保管されていたのだそうです。そのことを知った有田町の人たちが、当時の「有田焼」や交流の歴史を知るためにドイツを訪問。

これを機に有田町とドイツの交流が始まり、マイセン市と姉妹都市に。その交流の象徴として建設されたのが『有田ポーセリンパーク』というわけです。

本物を忠実に再現!『ツヴィンガー宮殿』

約41万平米、福岡ドーム約6個分の広さがある『有田ポーセリンパーク』。その中心に建てられた『ツヴィンガー宮殿』は、ドイツにある本物の『ツヴィンガー宮殿』をモデルに細部までこだわって建てられました。忠実に再現された豪華な装飾や彫刻は本物の宮殿と見比べてもそん色ないほど。

そして宮殿の正面入り口をくぐるとバロック庭園が広がります。噴水を中心に左右対称の幾何学模様がデザインされた庭園から宮殿を望む景色はまさに中世ヨーロッパです。

実際に出かけた人に「ここが佐賀だなんて…」といわせるほど本物とそっくりの重厚な宮殿と広大な庭園。

海外旅行に行きたいけれどいけないと我慢している人たちの、特にヨーロッパの景色を見たいという欲求に応えてくれること請け合いです。

『ツヴィンガー宮殿』の内部

こんな本物そっくりの『ツヴィンガー宮殿』の右半分「右ウィング」には、アウグスト王のコレクションがたくさん保管されていた本物の『ツヴィンガー宮殿』と同様、初期の有田焼や古伊万里、柿右衛門様式から明治時代までの有田焼が数多く展示されています。

一番の見どころは展示室の一番奥に鎮座している「大花瓶」。1873年のウィーン万博に実際に出展された大花瓶です。高さ182㎝という大きさもさることながら、その繊細な絵付けと極彩色の素晴らしさは一見の価値ありです。

コロナ禍で宮殿内の入場を休止しているため、2021年12月現在は直接見ることはかないませんが、感染状況が落ち着いて入場ができるようになったらぜひ見に行ってみてください。

『ツヴィンガー宮殿』で法事?

宮殿の左半分「左ウィング」は、レンタルサロンとしてパーティなどを行う事が出来ます。こちらも2021年12月現在は利用が休止されていますが、最近はパーティだけでなく地元の方の法事に貸し出されたりもしていたのだとか。

中世ヨーロッパの宮殿で法事…なんともミスマッチな組み合わせに見えますが、豪華な宮殿での法事は、参加された方にとって忘れられない思い出になったことでしょうね。

こちらのレンタルサロンも、利用可能になった際には要チェックです。

コロナ禍の救世主となるかも?!現在の『有田ポーセリンパーク』

1993年、有田焼のテーマパークとしてオープンした「有田ポーセリンパーク」。以来30年近く経つ間に、バブル期に乱立したテーマパークが経営不振などの理由で営業形態を変えたり、閉園したりとさまざまな道を歩んでいます。

もちろん『有田ポーセリンパーク』も例外ではなく、閉園の危機もあったのだそう。

しかしそれを乗り越え、2003年からは地元の酒造メーカー『宗政酒造』が引き継いで運営。もともとあった「有田焼体験工房」のほかに、レストランやお土産店、酒蔵見学できる施設などが新たに併設されています。

つまり、宮殿と庭園を散歩して中世ヨーロッパを旅した後、すぐに日本へタイムスリップして有田焼の体験や酒蔵見学をすることができる…「世界をまたにかけた旅行が可能」ともいえるかもしれません。

さらに魅力的なのが入場無料ということ。だから、地元の人たちのちょっとしたお散歩コースにもなっているそうです。

また、入場が無料になったことで予算がとれず、宮殿の補修がなかなかできずにいるそうですが、逆にその自然な経年劣化がより本物の宮殿らしい重厚感を醸し出しているとのこと。

晴れた青空をバックにした宮殿の美しさはもちろん、曇り空の下ではその厳かな雰囲気がさらに増して中世ヨーロッパの空気感を味わえます。

なんとも素敵な怪我の功名ですね。

近年は映画やドラマのロケ地としても多数使用され、コスプレイヤーの撮影地としても人気の『有田ポーセリンパーク』。平日休日問わず、さまざまなコスプレをした人たちが撮影に訪れているそうです。

ただし入場は無料ですが、コスプレをしての撮影会は個人でも団体でも有料となります。撮影の際は必ず電話かメールで詳細をお問い合わせください。

また、ドローンでの空撮は原則禁止となっています。ルールを守って撮影してくださいね。

コロナ禍で旅行そのものを我慢したり、自粛せざるを得ないこのご時世。緊急事態宣言が解除され密にならないように気を付けながらの旅行が少しずつできるようになってきました。

海外旅行はまだハードルが高いですが、『有田ポーセリンパーク』の宮殿と庭園ゾーンにひとたび足を踏み入れれば、そこはまさに中世ヨーロッパ。どこから撮影しても絵になるスポットばかりです。

コスプレしてもしなくても、そこに立つだけで中世の貴族気分を味わえることは間違いありません。

「海外旅行へ行きたいけど今は国内かな」という方は、ぜひ佐賀県有田町の『有田ポーセリンパーク』を候補地の一つに入れてみてはいかがでしょうか。


[文/ハラアキコ・構成/grape編集部]

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