『事件の子』はなぜ月を見た? 『クジャクのダンス、誰が見た?』第2話考察 By - かな 公開:2025-02-03 更新:2025-02-03 かなクジャクのダンス、誰が見た?ドラマドラマコラム広瀬すず松山ケンイチ磯村勇斗 Share Post LINE はてな コメント SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。 2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。 かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。 月の光は希望を運んでくる。 ヒロインが、そしてヒロインの父を殺したとされる被疑者が、彼らのかつての家族が、輝く月を見上げる場面は、実はドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)で追加されたオリジナルのエピソードだ。 画像を見る(全12枚) 「なぜ太陽じゃないんだろう」とふと考え、太陽を見つめることは眩しすぎて難しい、そして月は絶望の闇に浮かぶ光だからではないかと思った。 人によって見える月の色は違うだろうが、空にある月は同じもの。 それは真実にも相通じていて、ヒロインの山下心麦(広瀬すず)が月を見上げるとき、弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)が寄り添って空を見上げる場面に、胸が熱くなった。 定年退職した元警察官の父・春生(リリー・フランキー)と、大学生の娘・心麦の穏やかな日々は、春生が殺害されたことで突然に終わりを告げる。 春生を怨恨から殺害し、更に放火した容疑で逮捕されたのは、春生が過去に逮捕した死刑囚の息子・遠藤友哉(成田凌)。 だが殺される直前、春生はもし自分の死で友哉が逮捕されたら冤罪であり、それを晴らすために弁護士を雇ってほしいと心麦に手紙を書き残していた。 父の手紙を信じ弁護士の松風を訪ねた心麦は、父の事件だけでなく、過去の一家殺人事件から続く冤罪の疑惑に翻弄されることになる。 初回放送から、早くも犯人捜しの考察が盛り上がっている『クジャクのダンス、誰が見た?』。 2話目は心麦と友哉、2人の『事件の子』の過去をめぐる話である。 父の手紙を強く信じて松風と奔走する心麦と、父・力郎(酒向芳)の無罪を信じられずに後になって後悔を噛みしめる友哉。 一見信用ならないが、真実を追い求める週刊誌の記者・神井(磯村勇斗)に出会う心麦と、家族を失った子供の寂しさにつけ込んで、卑怯な方法で記事を書く記者に出会って深く傷つく友哉。 2人の子の対比はどこまでも残酷だ。 身を守る術を持たない遠藤親子が、2人ともに冤罪という名の蟻地獄に滑り落ちていくさまは、恐ろしさと哀しさで心がヒリヒリと痛む。 過去、現在、どちらの事件も被疑者が冤罪だとすれば、では真犯人は誰なのか。 ここまでのエピソードを見る限り、刑事の赤沢守(藤本隆宏)と、妻の京子(西田尚美)は何かを知っている。 ただ、正義や市民生活の治安を何よりも重んじているであろう赤沢が、一家殺人事件の犯人であることは考えづらく、その時の捜査手続きの不備の隠蔽で春生の死に関わっているというところだろう。 心麦が赤沢家を訪ねて手紙のことを打ち明けるシーン、赤沢と京子の間で心麦に対する思惑が違うように見えることも少し気にかかる。 そして今回のラストで、心麦と山下家の伯母が血縁ではないという事実が明かされた。 同時に、心麦が一家殺人事件の唯一の生き残りの赤子であるということも示唆されている。 それが事実であれば、なぜ被害者の子を我が子として手元で育てたのか、そこまで春生に決意させるだけの何が捜査の上で起きていたのか。 一つ真実が明かされれば、その分だけ分からない『理由』が増える。 1話、2話ともに見ている時間の体感はあっという間だ。 クライムサスペンスと同時にヒューマンドラマとしても秀逸な原作に対し、誠実にその良さを描いている今作だが、映像の冴えた美しさと時折挟まる森のイメージの不気味さは、さすがに文芸の香り漂うTBS系金曜22時の系譜だと思う。 時に見て辛くなるほどのシビアな展開の中で、松風の飄々とした言動と、心麦が松風に言ういたずらっぽい言葉、そして森崎ウィン演じる波佐見、3人の軽妙な掛け合いは貴重な風通しだ。 今週も事務所のシーンでひっそりと松風はプリンを食べていた。やっぱり甘党だと思う。 まだ配役が発表されてはいても、登場していない人物もいる。 これから心麦も視聴者の私たちも、過去に踊ったクジャク、そして現代に踊るクジャクの痕跡を探しに森を彷徨うことになる。 次は何が明かされるだろうか。 『クジャクのダンス、誰が見た?』第3話あらすじ 神井に『伯母の夏美と血が繋がっていない』とDNA鑑定書を突きつけられた心麦。そこには、神井に協力した裏切り者の存在が。 松風は友哉のノートにあった『あの資料』を神井から手に入れる。その音声データには友哉の声と驚くべき人物の声が記録されていた。 一方、赤沢たち警察は前科のあるラーメン屋台店主・染田(酒井敏也)をマークし始め…。 3話の放送を前に、相関図も更新されました。本編を見る前に、チェックしてみてくださいね。 クリックすると画像を拡大します 『クジャクのダンス、誰が見た?』は、TVerで最新話を無料配信中。動画配信サービス『U-NEXT』『Netflix』では、最新話まで全話配信中です。 この記事の画像(全12枚) [文・構成/grape編集部] かな SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。 ⇒ かなさんのコラムはこちら 三谷幸喜は打ち上げに行かない、なぜなら… 「理由を聞いて納得」「感心した」打ち上げが嫌いですぐに帰る三谷幸喜さん。その理由に納得の声が上がりました。 これはリピ確定! ギャル曽根が教えるトーストアレンジが簡単なのに超おいしいギャル曽根さんがトーストのアレンジを紹介!これでマンネリ化している人も卒業できますよ。 Share Post LINE はてな コメント
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
月の光は希望を運んでくる。
ヒロインが、そしてヒロインの父を殺したとされる被疑者が、彼らのかつての家族が、輝く月を見上げる場面は、実はドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)で追加されたオリジナルのエピソードだ。
「なぜ太陽じゃないんだろう」とふと考え、太陽を見つめることは眩しすぎて難しい、そして月は絶望の闇に浮かぶ光だからではないかと思った。
人によって見える月の色は違うだろうが、空にある月は同じもの。
それは真実にも相通じていて、ヒロインの山下心麦(広瀬すず)が月を見上げるとき、弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)が寄り添って空を見上げる場面に、胸が熱くなった。
定年退職した元警察官の父・春生(リリー・フランキー)と、大学生の娘・心麦の穏やかな日々は、春生が殺害されたことで突然に終わりを告げる。
春生を怨恨から殺害し、更に放火した容疑で逮捕されたのは、春生が過去に逮捕した死刑囚の息子・遠藤友哉(成田凌)。
だが殺される直前、春生はもし自分の死で友哉が逮捕されたら冤罪であり、それを晴らすために弁護士を雇ってほしいと心麦に手紙を書き残していた。
父の手紙を信じ弁護士の松風を訪ねた心麦は、父の事件だけでなく、過去の一家殺人事件から続く冤罪の疑惑に翻弄されることになる。
初回放送から、早くも犯人捜しの考察が盛り上がっている『クジャクのダンス、誰が見た?』。
2話目は心麦と友哉、2人の『事件の子』の過去をめぐる話である。
父の手紙を強く信じて松風と奔走する心麦と、父・力郎(酒向芳)の無罪を信じられずに後になって後悔を噛みしめる友哉。
一見信用ならないが、真実を追い求める週刊誌の記者・神井(磯村勇斗)に出会う心麦と、家族を失った子供の寂しさにつけ込んで、卑怯な方法で記事を書く記者に出会って深く傷つく友哉。
2人の子の対比はどこまでも残酷だ。
身を守る術を持たない遠藤親子が、2人ともに冤罪という名の蟻地獄に滑り落ちていくさまは、恐ろしさと哀しさで心がヒリヒリと痛む。
過去、現在、どちらの事件も被疑者が冤罪だとすれば、では真犯人は誰なのか。
ここまでのエピソードを見る限り、刑事の赤沢守(藤本隆宏)と、妻の京子(西田尚美)は何かを知っている。
ただ、正義や市民生活の治安を何よりも重んじているであろう赤沢が、一家殺人事件の犯人であることは考えづらく、その時の捜査手続きの不備の隠蔽で春生の死に関わっているというところだろう。
心麦が赤沢家を訪ねて手紙のことを打ち明けるシーン、赤沢と京子の間で心麦に対する思惑が違うように見えることも少し気にかかる。
そして今回のラストで、心麦と山下家の伯母が血縁ではないという事実が明かされた。
同時に、心麦が一家殺人事件の唯一の生き残りの赤子であるということも示唆されている。
それが事実であれば、なぜ被害者の子を我が子として手元で育てたのか、そこまで春生に決意させるだけの何が捜査の上で起きていたのか。
一つ真実が明かされれば、その分だけ分からない『理由』が増える。
1話、2話ともに見ている時間の体感はあっという間だ。
クライムサスペンスと同時にヒューマンドラマとしても秀逸な原作に対し、誠実にその良さを描いている今作だが、映像の冴えた美しさと時折挟まる森のイメージの不気味さは、さすがに文芸の香り漂うTBS系金曜22時の系譜だと思う。
時に見て辛くなるほどのシビアな展開の中で、松風の飄々とした言動と、心麦が松風に言ういたずらっぽい言葉、そして森崎ウィン演じる波佐見、3人の軽妙な掛け合いは貴重な風通しだ。
今週も事務所のシーンでひっそりと松風はプリンを食べていた。やっぱり甘党だと思う。
まだ配役が発表されてはいても、登場していない人物もいる。
これから心麦も視聴者の私たちも、過去に踊ったクジャク、そして現代に踊るクジャクの痕跡を探しに森を彷徨うことになる。
次は何が明かされるだろうか。
『クジャクのダンス、誰が見た?』第3話あらすじ
神井に『伯母の夏美と血が繋がっていない』とDNA鑑定書を突きつけられた心麦。そこには、神井に協力した裏切り者の存在が。
松風は友哉のノートにあった『あの資料』を神井から手に入れる。その音声データには友哉の声と驚くべき人物の声が記録されていた。
一方、赤沢たち警察は前科のあるラーメン屋台店主・染田(酒井敏也)をマークし始め…。
3話の放送を前に、相関図も更新されました。本編を見る前に、チェックしてみてくださいね。
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『クジャクのダンス、誰が見た?』は、TVerで最新話を無料配信中。動画配信サービス『U-NEXT』『Netflix』では、最新話まで全話配信中です。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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