「そんなこと言う!?」電車で疲れ顔のサラリーマンが、足の悪い女性にいったこと
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※写真はイメージ

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とある男性が見かけたという、電車内で起きた出来事をご紹介します。
帰宅ラッシュの電車に乗っていたというその男性は、50代と見られるサラリーマンの言動に驚かされたというのですが…。
そんなこと、とっさにいえる?
帰宅ラッシュの時間帯で座席はぎっしり。「みんな顔が疲れてるなぁ。自分もだけど」なんて思いながら、電車に揺られていました。
吊革を掴んで立つ僕の前の座席に座っていたのは、50代くらいのサラリーマンらしき男性。リュックサックを両手で抱え、疲れた顔で目を閉じていました。
やがて電車がホームに入り、数人の年配女性が電車に乗ってきました。その内の1人は杖をついています。どうやら足が悪いようです。
「誰か席を譲ってあげる人はいないのかなぁ」
そんなことを思った時、さきほどのサラリーマンらしき男性がスッと立ち上がり、席を譲ったのです。
あんな疲れた顔していたのに、席譲るんだ…失礼ながらそんなことを思ってしまいました。
すると、足の不自由な女性が男性に「大丈夫ですよ。座っていてください」と声をかけました。
しかし男性は、さっきの疲れた顔とは全然違う、朗らかな笑顔で「いやいや、ぜひ座ってください」といったのです。
そして、こう続けました。
「こういうことは、お互い様ですから」
その言葉を受けて、ようやく座った足の不自由な女性。「悪いわね、お勤めで疲れているところ」と顔をほころばせました。
「お互い様ですから」なんて言葉、自分はとっさに出てこないだろうな。
殺伐としていた帰宅ラッシュの電車が、一気に和やかな空気になった気がしました。
「人に親切にしよう」と思ってはいても、とっさの時には優しい行動や言葉が出ないものです。疲れている時はなおさら。
仕事帰りで疲れていても、スマートに席を譲った男性。そして、足が不自由でも「私は大変なのよ」といった姿勢をとらず、男性を労った年配女性。
電車内のちょっとしたことでトラブルになったという話が聞かれる現在、こういった心温まる場面が、もっと多くの場所で見られるようになったら嬉しいですね。
[文・構成/grape編集部]