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全身が皮膚病、命の危険 道端で倒れていた猫に差し伸べられた手

By - grape編集部  公開:  更新:

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2017年7月23日、新たな家族を探す猫と、猫を飼いたい人をつなぐイベントが横浜市鶴見区で開催されました。

猫の保護活動を行っている団体『つるみ・猫のカギしっぽ』主催による、猫の譲渡会です。

温かな雰囲気の会場で触れ合う、猫と参加者

譲渡会の会場は、スタッフが運営する愛犬のしつけ教室である『愛犬クラブバウニャウ教室』が利用されました。参加者は靴を脱いで会場に入り、猫と同じ目線になって接することができます。

猫たちもリラックスしやすく、実際に自宅で猫を飼う時のイメージがしやすい環境です。

この日は成猫のほか、生後2~3か月の小さく可愛らしい子猫たちが多数参加しました。

春に野良猫である母猫が出産し、外で生きていくには難しいとの判断で保護された子猫たち。ボランティアの元ですくすくと育ち、ちょうど6月から7月ごろが里親探しを始める時期です。

やんちゃに遊ぶ子猫。

少し怯え気味の子猫。

「いますぐ連れて帰りたい…!」

そう思わされるほどの愛らしさです。

譲渡会で生まれた、心温まるエピソード

会場内は、猫の保護主と来場者が穏やかに談笑する姿が多く見られました。里親の申し出の件数はどうだったのでしょうか。

「今日は、お話が進んだのが6匹です。夏休み前ということもあって、来場者が比較的少ない日だったのですが、その割に、件数は多いほうでした」

そう話してくれたのは、自らが保護している猫を連れて譲渡会に参加した、ボランティアの1人。

里親と保護猫をつなぐことができないと、保護できる猫の数にゆとりが生まれず、ほかの猫を救うチャンスが生まれないのです。

この日、胸が温かくなる、1つのエピソードがありました。

猫エイズをもっていても「この子を家族に」

里親の申し出があった1匹の猫、さちちゃんは『猫エイズ』を持っていました。

さちちゃん 提供:つるみ・猫のカギしっぽ

『猫エイズ』は正式名称を猫後天性免疫不全症候群とよびます。FIV(ネコ免疫不全ウイルス)によって、猫に引き起こされる諸症状のことを差します。

感染ルートは、母子感染や、猫同士のケンカによる傷からの体液の接触などが挙げられます。

ただ『エイズ』という呼び名が誤解を生んでいて、「この子を飼いたいと思っていたけれど、猫エイズがあるならやめよう」と里親になることをためらう人は少なくありません。

ですが、『猫エイズ』の症状を発症せずに寿命を迎える猫は、多くいます。

特に、猫にとってのストレスが少ない室内飼いの場合は、外で暮らす猫と比べて格段に発症の確率が低いといわれています。

たとえ症状が出たとしても、それが『猫エイズ』によるものなのか、加齢などに原因があるのか、分からないこともほとんどなのです。

さちちゃんは、『猫エイズ』を持っているだけでなく3、4歳と思われる成猫でした。子猫に比べると、残念ながら成猫の引き取り手を見付けるのは、難しいのが現実です。

提供:つるみ・猫のカギしっぽ

ブログでさちちゃんのことを知り、譲渡会を訪れた里親希望者は「それでも、この子がいい」という強い意志を持って引き取ることに決めたそうです。

この後トライアル(お試し飼育)に入り、相性に問題なければ、正式に里親と猫は家族になります。

保護された時のむごい姿から、いまは…

性格が穏やかで人懐こく、ふわふわの毛並みが愛らしい女の子、さちちゃん。

提供:つるみ・猫のカギしっぽ

住宅街の真ん中で倒れているところを、善意ある人々によって保護されました。全身がひどい皮膚病にかかっていて、やせ細って目も開けられない状態。

保護された当時のさちちゃん 提供:つるみ・猫のカギしっぽ

命が危ぶまれる状況から奇跡的に回復しました。

保護されるまで、どんな暮らしをしていたのでしょうか。これからは、つらかった日々をすべて忘れてしまえるくらい、温かな家で幸せに過ごせるはずです。

譲渡会に来られる猫はまだ幸せ

「もし今日、里親さんとのご縁がつながらなかったとしても、譲渡会に来ることができた猫たちはまだ幸せなんです」

外で暮らす猫はいつも危険と隣り合わせ。病気、交通事故、カラスなどの外敵、そして心ない人間のいたずら…。

人知れず、傷を負って命を落としている猫は数多くいます。

「家に猫がフンをしに来て困る!」新しい家が建ったその場所はかつて、猫たちが住み処にしていた土地だったのかもしれません。

都会は人が増えるのに合わせて、車の交通量も増えました。

「野良猫がいる風景は、日本の風物詩。なくしてしまうのは、惜しいのではないか」

そんな声も聞かれます。

ですが現代は、都心部に野良猫たちが平和に暮らせる環境などありません。

ボランティアは、猫の里親探しと合わせて、野良猫への避妊去勢手術を進めています。守り切れないのであれば、新たな命を生ませてはならないのです。

これ以上不幸な猫が増えないように。

いつか、不幸な猫がいなくなるように。

すべての猫が、温かな家庭で暮らすことができるように。

いまも力を尽くしている人たちがいます。

つるみ・猫のカギしっぽ主催『ねこの譲渡会』
2017年8月27日(日)
9月24日(日)
10月22日(日)
午前11時~午後3時
場所:神奈川県横浜市鶴見区豊岡町31-23
愛犬クラブバウニャウ教室内

※つるみ・猫のカギしっぽは地域TNR活動と譲渡会運営を中心とした団体です。保護依頼は受けていません。


[文・構成/grape編集部]

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取材協力
つるみ・猫のカギしっぽ

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