【持続可能な恋ですか? 第4話 感想】それぞれの『頑張る』の意味 杏花が見つけた答えとは
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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。
2022年4月スタートのテレビドラマ『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
小さい頃は当たり前に言っていたはずの「頑張れ」は、いつしか安易に言えなくなった。今の自分に、そして誰かに向ける「頑張れ」は、本当に必要な言葉なのだろうか。
第4話ではこの『頑張る』という言葉に焦点が当たる。
杏花に訪れた仕事の転機
突然始まった颯(磯村勇斗)との同居生活にも慣れて、杏花(上野樹里)は、社長から「都内のヨガスタジオのマネジメントを任せたい」と言われる。
マネジメントであればプライベートが忙しくなった時も働きやすく、時間を大切にできる…。
杏花には、想い人の晴太(田中圭)とのことを考えていきたいという気持ちが芽生えていた。
しかし、杏花の夢は独立し、自分のスタジオを作ること。セミナーで『私の大事なもの』をテーマととしてジャーナリングを行ったときも、すぐ浮かぶ言葉は『ヨガ』『独立』『自分のスタジオ』。
だがその視線は、隣にいる晴太に向いていた。
独立が一番だから、結婚もせずプライベートはセーブをするという生き方で進み続けてきた杏花に迷いが生まれていた。
夢か恋か、この中で一番大切なものを選ぶという難題が杏花に立ちはだかる。
杏花を優しく肯定する颯 対する晴太は…?
颯と過ごす時間が増えた杏花はその悩みを打ち明ける。
「だめだね、頑張んないと…」と、思わず弱音をはく杏花を颯は、優しく肯定する。
「別に頑張らなくても良いんじゃない?もう頑張ってんじゃん毎日」
杏花は「頑張る」という言葉がずっと引っかかっていた。
「頑張れ」という言葉は、もう頑張ってる人にはキツいのだ。だからこそ、「頑張らなくても良い」と自分を肯定してくれる颯の言葉が新鮮に聞こえただろう。
そんな中、杏花は晴太の誘いでパーソナルジムを営む女性起業家・足立(MEGUMI)のジムを訪ねる。
カップルの利用に特化した『カップルジム』のコンセプトのもと、実際に楽しく体験し、距離は縮まったように見えた。
しかし、独立するか迷っていると聞いた晴太は、本当に自分のスタジオ諦めて良いのかと杏花を問い詰める。
「ヨガも大事だけど、晴太さん…」
「マネジメントにまわれば、プライベートな時間が増えるし、そしたら…」
杏花は、迷っているのは晴太との将来を考えたいからだと晴太に何度も伝えようとしていた。
でも、そう言いかける杏花に、晴太は食い気味に自分の思いを押し付けてしまう。
「頑張ってください。頑張らなきゃダメです!」
晴太は、独立したいから結婚してる場合じゃないと前を向く杏花に、夢を叶えることを期待していたのだ。
頑張ったら、一番欲しいものが手に入るところにいる杏花は、晴太にとって今まで一番欲しいものが叶わなかった自分が、なりたかった自分なのだと思う。
晴太は自分の望みを、杏花に重ねているみたいだ。
純粋に応援する気持ちが晴太にはあるはずだが、「頑張れ」を押しつけているように思えてきてしまう。
二人は、これを境にすれ違ってしまう。
改めて考える「頑張れ」の意味
一方、颯のもとに母親からの度々着信が入っていた。
面倒くさい親との関係は、たまに近況報告するぐらいのちょうどいい距離感でいいと、颯はずっと見て見ぬ振りしてきたのだ。
颯が優しい性格になったのも、喧嘩ばかりする両親に自分の感情を抑えてきた結果のものだった。そんな颯に、杏花は言葉をかける。
「颯、面倒でも、一度がんば…」
そういいかけて、杏花はハッとする。「頑張って」という言葉が自分の頭の中に跳ね返ってくる。
自分が颯に向けた、背中を押すための「頑張って」。じゃあ、あの時、晴太が迷う自分に伝えてくれた「頑張れ」の意味は…?
杏花が見つけた「頑張れ」の意味
ヨガレッスンで杏花はヨガではあまり使わないとされる『頑張る』を生徒に語る。
「自分の本当の気持ちを教えてくれるのは、時に他人の存在だったりします」
心が温かくなったり、悲しくなる瞬間。そこに思い浮かべるのは晴太の存在だった。
杏花は生徒に話しながら、ヨガで自分の心の中を整理してきたのだ。
ヨガは生徒にとっても、自分にとっても頑張ったことを、そしてありのままを認めてくれる場所なのだ。
「力を抜くために頑張らない。それでも言いたいです。『頑張って』も優しさだから」
レッスンに訪れていた颯の目を鏡越しに見つめながら、杏花は「頑張って」と伝える。そして自分に向けても、「頑張って」の応援を。
颯の「もう頑張らなくていい」と晴太の「もっと頑張れ」。
これまで頑張ってきた自分を認めてほしいと一番に願う人ならば、颯の言葉が沁みるはずである。
でも、その中で杏花が欲しかった言葉は「頑張れ」だったのだ。
「自分が頑張りたい人なんだって気づけました」
晴太に応援され、独立することを決めた杏花。誰だって一歩踏み出すことは怖い。
でも「頑張れ」という言葉は、背中を押してくれる最高のスパイスになるのだ。
誰もが無意識に頑張ってる今、「頑張れ」は軽く口にできない言葉となっている。
しかし杏花が言う通り、誰にどういう気持ちを持って言うかが重要なのだ。
大切な人のためを一番に思った、「頑張れ」を伝えよう、そう教えてくれた。
進展がありそうでなさそうな林太郎
そして気になる父・林太郎(松重豊)と明里(井川遥)の恋路も描かれた。
林太郎は明里とウォーキング仲間として治療後も会うことになるが、明里の婚活話を延々聞かされるばかり。
関係性は進んでいるようで、どこか留まっている二人だが、林太郎は明里の不意の笑顔に心臓発作レベルの「キュンです!」を味わう。
語句でしか知らない胸キュンを実体験する林太郎はまるで少年のようだ。だが、辞書編さん者が、言葉以上の意味を知っていくという点で、この物語上で『言葉』が大切に扱われていることがわかるだろう。
そして杏花と晴太は最後のセミナーの日を迎えていた。
この帰り道が終わって欲しくないと、雨が上がっても傘を閉じないままの二人。
別れ難くなり、好きが溢れた晴太は杏花を抱きしめる。『火曜10時枠』名物のハグ!そして、それを見てしまう颯…!
吹き荒れる三角関係の嵐は、もうすぐそこまで来ている。
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持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜/TBS系で毎週火曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]