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世界のあちらこちらで波立っているような今、自分の小さな両手でできること

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

この波立つ時代を生きるために

この地球に住む79億人(2022年)の人間が同じ方向を目指して歩んでいたら……。

世界のあちらこちらで波立っているような今、79億人の人間が共通して持っているものがあるとしたら、それは命と愛ではないでしょうか。

そんな理想主義者のような、夢を見るようなことを思ってしまうのは、この混沌とした時代に少し草臥れているからなのかもしれません。

30年ほど前、1曲のクリスマスソングに出会いました。友人が是非観てほしいとプレゼントしてくれたデヴィット・フォスターの長編ミュージックビデオの中で、ナタリー・コールが歌った『クリスマス・リスト』です。

デヴィット・フォスターのピアノでナタリー・コールが語りかけるように歌っている場面を、今でもよく覚えています。

大人になったけれど叶えたい願いがあるの。

必要としている人のために。

戦争が起きないように。

奪い合わないように。

みんなに友達がいて、正義が勝つこと。

いつも愛があること。

これが私のクリスマスの願い。

『クリスマス・リスト』がリリースされた1990年、イラクがクウェートに侵攻し湾岸戦争が起こりました。砲撃が開始された時のニュース映像を今でもよく覚えています。

科学は進歩しても、人間の精神は進化しないのだと落胆しました。そんな時期にこの歌を聴き、今、私たちに必要なのはこういうことなのだと強く思ったのです。

『クリスマス・リスト』は、エイミー・グラント、バーブラ・ストライサンドなど多くのアーティストによってカバーされました。

16年後、この歌を平原綾香さんに歌ってほしいとプロデューサーにプレゼンをし、日本語詞による『CHRISTMAS LIST』を発表することができたのです。

自分に何ができるのだろうか。大きなことでなく、自分の小さな両手でできること。79億人の人間が問い続けていけば、波立つ世界に穏やかな風が吹き渡るのではないか。

今ならまだ間に合うのではないか。悲しいニュースに触れるたびに、こんなことを考えます。考えなくては、と思います。

誰もが持っているものを、大切にすればいいだけのこと。シンプルに、原点に立てばいい。大切なものを、大切にするだけ。

命を大切にすることは、愛することを学ぶことなのかもしれません。

※記事中の写真はすべてイメージ


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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