日常の中にすっかり馴染んだ定番品は、もはや家族のような存在
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
定番品はもはや家族
何が何でもこれでなくちゃ!という定番品。日常の中にすっかり馴染んだ使い慣れたもの、惚れ込んだものは、もはや家族のような存在です。
物書きらしく「モンブランの万年筆は手放せません」と言えたらいいのですが、昔買った千円のシェーファーのカリグラフィー用の万年筆、10ミリのフリクションボールペン、ゲルインクのペン。
色はどれもブルーブラック。手に馴染み、紙に馴染み、考えるよりも先に言葉がこぼれる。そして、言葉と紙が出会うように文字が少し滲むような感じがして、とても気に入っています。
筆記用具でもう一つ。2B、3Bの三菱ユニ鉛筆か、ステッドラーの鉛筆。原稿を書く時にはパソコンを使いますが、歌詞を考える時には鉛筆を使います。
濃い鉛筆は柔らかく、書き心地がいい。芯が紙に引っかかることなく書けるのが気持ちいい。
すらすらと歌詞が出てきたらいいのですが、試行錯誤、何度も書いては横線で消して…という作業の繰り返し。芯の柔らかさは、思考の柔らかさに通じる……気がします。
なぜ三菱ユニ鉛筆かというと、高級感のあるシンプルなデザインがとても『真面目』な感じがして、仕事に向き合う自分を支えてくれているような。
ステッドラーの青い鉛筆はかっこいい。作詞家修行時代から愛用しているこの鉛筆は、物書きとしての原点を思い出させてもくれるのです。
日常生活に欠かせない定番品も多々あります。
小さい頃、お使いでスポンジたわしを母から頼まれたことがありました。子どもですから、いつも使っているのではなく色のきれいさで選んだスポンジを買って帰りました。
すると母が袋を開けてひとこと、
「これじゃないのよ。これはだめだわー」
スポンジを何度も握りながら、母はダメ出しは続きます。
「あのね、スポンジは『キクロン』って決まっているのよ」
今でもスポンジたわしを買うとき、50年前の母の定番品『キクロン』が頭の中を横切っていくのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」