『重複』の正しい読み方はどっち? 意味や適切な使い方を紹介 By - COLLY 公開:2024-05-31 更新:2024-05-31 雑学 Share Post LINE はてな コメント ※写真はイメージ 重複は『ちょうふく』と『じゅうふく』の2つの読み方が知られています。どちらが正しいのか、意味や適切な使用法は決められているのか、気になりますよね。本記事では、重複の読みや意味などについてくわしく紹介します。 重複の読み方は2つある ※写真はイメージ 重複の読みは、『ちょうふく』『じゅうふく』があります。2004年、文化庁は『言葉の発音』についての調査を行い、普段どちらを使う人が多いのかをリサーチした結果をウェブサイトに公開しています。 (『どちらも同じくらいの割合でいう』『分からない』の割合は省略) じゅうふく:76.1% ちょうふく:20.0% 文化庁 ーより引用 『じゅうふく』と読む人は、2004年時点で7割を超えており、昨今一般的になりつつあるようです。ただし、『ちょうふく』も『じゅうふく』も辞書に掲載されているため、どちらも間違ってはいません。それぞれの読みをくわしく見てみましょう。 読み方:ちょうふく 『ちょうふく』は重複本来の読みです。『重』を『チョウ』と発音するのは、漢字の音読みの中で、漢音と呼ばれるもの。漢音は平安時代の初期に、遣唐使や唐への留学生によってもたらされた漢字の音で、唐の首都である長安で読まれていた音に由来するそうです。もともとの読みを正式なものと考えるなら、『ちょうふく』がふさわしいですね。 国で決められた制度や公的な場に関する場合などは、『ちょうふく』と読むことがほとんどです。以下のような言葉が該当します。 『重複立候補(ちょうふくりっこうほ)』:小選挙区と比例区と複数にわたってに立候補する 『重複上場(ちょうふくじょうじょう)』:企業が2箇所の証券取引所で上場すること 読み方(慣用読み):じゅうふく では、『じゅうふく』はどのような読みでしょうか。慣用読みといわれていて、『ジュウ』は慣用音で発音していることになります。慣用音は、漢字が生まれた中国から入ってきた音ではなく、日本で広がった漢字の音読みです。 言葉は時代が下るにつれて、変わっていく場合があります。どのような原因があるのかは分かりませんが、読みやすかったり、誤読したりして『じゅうふく』という読みが国内に拡大していったのかもしれませんね。昨今の国語辞典には2つの読みが併記されています。日常生活では読みやすいほうを使っても差し支えないでしょう。 重複の意味 ※写真はイメージ 『ちょうふく』も『じゅうふく』も漢字の音読みが異なるだけで、意味に違いはありません。辞書によっては『ちょうふく』の欄に意味が記載されていて、『じゅうふく』の欄に『ちょうふくと同じ』といった書き方をしているものもあります。 重複の意味は下記の通りです。 同じものや、ことがらがかさなること。 何回もかさなり合うこと。 日常生活では、上記のような意味で使われることがほとんどです。 また、似たような意味を持つ類語を紹介します。 二重(にじゅう):同じものやことが2つかさなる状態。 例:敬意を示そうとするあまり、二重敬語を使うのはよくない。 重畳(ちょうじょう):いくつも積みかさなっていること。 例:多くの石が重畳して、石垣になり城を支えているように見える。 ダブる:同じものが2つかさなる。 例:前に購入した商品を、ついうっかりまた買ったせいで、ダブってしまった。 重出(じゅうしゅつ):主に文章などで同じことが何回も出てくること。 例:彼が書いたコラムの文章が重出している。 十重二十重(とえはたえ):同じものがいくつもかさなっているさま。 例:観光地に突然現れた人気アイドルを、見物客が十重二十重に取り囲んで大騒ぎになった。 重複を使った例文 重複を使用した例文は下記の通りです。 表計算ソフトに入力した顧客情報に、重複したデータがあったようで削除を依頼された。 彼女も私も友人が欲しいものを贈ろうとして、誕生日プレゼントが重複したようだ。 内容が重複しているので、該当箇所を書き直してほしい。 「腰痛がかなり痛い」というのは、意味が重複していてくどい。 動画の内容が昨日のものと重複している。 重複の使い方 ※写真はイメージ 日常生活の上では、『ちょうふく』も『じゅうふく』もどちらの読みも認められているようです。ただ、改まった場所では、どちらを使ったらよいか迷うこともあるかもしれませんね。こちらの項目では、シーンごとの使い分けを見てみましょう。 ビジネスシーン 職場では、品物やメール、予定などが「重複して申し訳ない」という気持ちを込めて謝罪する時に使うこともあります。 上司に口頭で伝える場合や、客先に電話などで謝る場合は、本来の読みである『ちょうふく』を使うことをおすすめします。目上の相手に丁寧な印象を持たれるでしょう。同僚や後輩であれば、慣用読みで『じゅうふく』といってもあまり気にしないかもしれません。 ニュース 新聞や雑誌の記事では重複と漢字で書かれますね。ただ、ニュースは口頭で伝えなくてはいけません。報道で読む場合は『ちょうふく』を使うのが一般的です。 前項で紹介した通り、文化庁の調査では、2000年代に入って、慣用読みの『じゅうふく』を使う人が多くなりました。ニュースの読みも、広く使われている『じゅうふく』のほうが伝わりやすいと感じる人もいるでしょう。しかし、公的な場で伝えるには、漢字本来の読みが優先されるようです。 医療 医療は健康に関わる分野で、漢字のもともとの読みにあたる『ちょうふく』を使っているのでは、という印象があるかもしれません。意外なことに、近年では『じゅうふく』と読む動きが出ているようです。 『日本医学会医学用語辞典』のサイトでは、『使い方・凡例・編集方針』の日本語に関する読みについて、「『重複』の読みを『じゅうふく』に統一した」と表記があります。 ただ、官公庁では『ちょうふく』と読んでいる場合もあるようです。例えば、厚生労働省のサイトに記載されている『重複投薬』は、『ちょうふくとうやく』とふりがなが併記されています。 重複投薬とは、同じ効果を持つ薬を、複数の病院で出されて飲んでしまうこと。お薬手帳などで、処方薬を管理する必要がありそうですね。 重複の読み方を知って適切に使おう 重複の読みは『ちょうふく』と『じゅうふく』があります。日常的な使用では、広く知られた『じゅうふく』でも問題ありません。ただし、公的な場では漢字本来の音読みの『ちょうふく』のほうがふさわしいとのこと。使う場面に合わせて、適切に使えると場をわきまえた人と印象がよく見られますよ。 [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな コメント
重複は『ちょうふく』と『じゅうふく』の2つの読み方が知られています。どちらが正しいのか、意味や適切な使用法は決められているのか、気になりますよね。本記事では、重複の読みや意味などについてくわしく紹介します。
重複の読み方は2つある
※写真はイメージ
重複の読みは、『ちょうふく』『じゅうふく』があります。2004年、文化庁は『言葉の発音』についての調査を行い、普段どちらを使う人が多いのかをリサーチした結果をウェブサイトに公開しています。
『じゅうふく』と読む人は、2004年時点で7割を超えており、昨今一般的になりつつあるようです。
ただし、『ちょうふく』も『じゅうふく』も辞書に掲載されているため、どちらも間違ってはいません。それぞれの読みをくわしく見てみましょう。
読み方:ちょうふく
『ちょうふく』は重複本来の読みです。『重』を『チョウ』と発音するのは、漢字の音読みの中で、漢音と呼ばれるもの。
漢音は平安時代の初期に、遣唐使や唐への留学生によってもたらされた漢字の音で、唐の首都である長安で読まれていた音に由来するそうです。もともとの読みを正式なものと考えるなら、『ちょうふく』がふさわしいですね。
国で決められた制度や公的な場に関する場合などは、『ちょうふく』と読むことがほとんどです。以下のような言葉が該当します。
読み方(慣用読み):じゅうふく
では、『じゅうふく』はどのような読みでしょうか。慣用読みといわれていて、『ジュウ』は慣用音で発音していることになります。慣用音は、漢字が生まれた中国から入ってきた音ではなく、日本で広がった漢字の音読みです。
言葉は時代が下るにつれて、変わっていく場合があります。どのような原因があるのかは分かりませんが、読みやすかったり、誤読したりして『じゅうふく』という読みが国内に拡大していったのかもしれませんね。
昨今の国語辞典には2つの読みが併記されています。日常生活では読みやすいほうを使っても差し支えないでしょう。
重複の意味
※写真はイメージ
『ちょうふく』も『じゅうふく』も漢字の音読みが異なるだけで、意味に違いはありません。辞書によっては『ちょうふく』の欄に意味が記載されていて、『じゅうふく』の欄に『ちょうふくと同じ』といった書き方をしているものもあります。
重複の意味は下記の通りです。
日常生活では、上記のような意味で使われることがほとんどです。
また、似たような意味を持つ類語を紹介します。
例:敬意を示そうとするあまり、二重敬語を使うのはよくない。
例:多くの石が重畳して、石垣になり城を支えているように見える。
例:前に購入した商品を、ついうっかりまた買ったせいで、ダブってしまった。
例:彼が書いたコラムの文章が重出している。
例:観光地に突然現れた人気アイドルを、見物客が十重二十重に取り囲んで大騒ぎになった。
重複を使った例文
重複を使用した例文は下記の通りです。
重複の使い方
※写真はイメージ
日常生活の上では、『ちょうふく』も『じゅうふく』もどちらの読みも認められているようです。ただ、改まった場所では、どちらを使ったらよいか迷うこともあるかもしれませんね。こちらの項目では、シーンごとの使い分けを見てみましょう。
ビジネスシーン
職場では、品物やメール、予定などが「重複して申し訳ない」という気持ちを込めて謝罪する時に使うこともあります。
上司に口頭で伝える場合や、客先に電話などで謝る場合は、本来の読みである『ちょうふく』を使うことをおすすめします。目上の相手に丁寧な印象を持たれるでしょう。同僚や後輩であれば、慣用読みで『じゅうふく』といってもあまり気にしないかもしれません。
ニュース
新聞や雑誌の記事では重複と漢字で書かれますね。ただ、ニュースは口頭で伝えなくてはいけません。報道で読む場合は『ちょうふく』を使うのが一般的です。
前項で紹介した通り、文化庁の調査では、2000年代に入って、慣用読みの『じゅうふく』を使う人が多くなりました。
ニュースの読みも、広く使われている『じゅうふく』のほうが伝わりやすいと感じる人もいるでしょう。しかし、公的な場で伝えるには、漢字本来の読みが優先されるようです。
医療
医療は健康に関わる分野で、漢字のもともとの読みにあたる『ちょうふく』を使っているのでは、という印象があるかもしれません。意外なことに、近年では『じゅうふく』と読む動きが出ているようです。
『日本医学会医学用語辞典』のサイトでは、『使い方・凡例・編集方針』の日本語に関する読みについて、「『重複』の読みを『じゅうふく』に統一した」と表記があります。
ただ、官公庁では『ちょうふく』と読んでいる場合もあるようです。例えば、厚生労働省のサイトに記載されている『重複投薬』は、『ちょうふくとうやく』とふりがなが併記されています。
重複投薬とは、同じ効果を持つ薬を、複数の病院で出されて飲んでしまうこと。お薬手帳などで、処方薬を管理する必要がありそうですね。
重複の読み方を知って適切に使おう
重複の読みは『ちょうふく』と『じゅうふく』があります。日常的な使用では、広く知られた『じゅうふく』でも問題ありません。
ただし、公的な場では漢字本来の音読みの『ちょうふく』のほうがふさわしいとのこと。使う場面に合わせて、適切に使えると場をわきまえた人と印象がよく見られますよ。
[文・構成/grape編集部]