お菓子などに入っている『乾燥剤』 よく見ると…「吹き出した」「初めて知った」
公開: 更新:
エアコンをつけてるのに寒い… 企業が教える対策に「そうだったのか」冬に暖房を入れる際は、できるだけ効果的・効率的に部屋を暖めたいところですよね。とはいえ、暖房効果をアップさせるには具体的にどうすればいいのか、知らない人もいるでしょう。 本記事では、アイリスオーヤマ株式会社(以下、アイリ...
「シャトレーゼはやっぱ天才」 店頭にならんだクリスマスケーキに「分かってる」「さすがです」2024年12月22日、浦和たまこ(@saitama_tamako)さんは、菓子専門店『シャトレーゼ』の店頭で見かけた1枚を投稿。なんと21万もの『いいね』が寄せられました。
- 取材協力
- 有限会社坂本石灰工業所
お菓子や海苔などの食品パッケージには、湿気るのを防ぐために乾燥剤が入っています。あなたは、乾燥剤をまじまじと見たことがあるでしょうか。
袋をよく見ると『ドライ占い』や『ドライ体操』という文字が書かれているものがあります。これは有限会社坂本石灰工業所(以下、坂本石灰工業所)の『I・C乾燥剤』という製品です。
SNSでは「吹き出した」「初めて知った」などの声が上がり、話題になりました。
なぜこのようなユニークで楽しい乾燥剤ができたのでしょうか。同社の坂本達宣代表取締役社長に取材しました。
画像提供:有限会社坂本石灰工業所
『I・C乾燥剤』は唯一無二の乾燥剤
坂本社長によると、このようなパッケージになったのは『I・C乾燥剤』の誕生に関わっているとのこと。
もともとは生石灰を用いた乾燥剤が主流だったのですが、残念なことに生石灰には水と反応して高熱を出す性質があります。
坂本社長によると「280℃という高温になることもある」そうです。
子供が間違って食べたり、ゴミ箱に捨てて水に触れたりすると、やけどを負ったり、火事を起こしたりする可能性があります。
そのため、坂本石灰工業所では、高熱を発しない新しい乾燥剤を熊本大学と共同研究を行って開発。製品化に成功したのが『I・C乾燥剤』です。
坂本社長は当時、このような想いがあったといいます。
子供たちにやけどを負わせるような製品は困りますし、それは日本国内だけのことではありません。
日本の食品がグローバルに輸出されている中、もし乾燥剤のせいで火事になったり、やけどを負ったりするようなことがあれば、日本のせいにされるかもしれない。それはダメだという思いがありました。
20年近くの開発期間を経て、2006年に完成した『I・C乾燥剤』は、世界初、唯一無二のものになりました。
『I・C乾燥剤』は以下のような優れた特性を持っています。
・低湿度環境下でも安定した乾燥効力を発揮。
・一度吸湿した水分は放出しない。
・空輸が可能(従来の石灰乾燥剤は強アルカリのため、飛行機へ載せられなかった)。
坂本社長によると、現在『I・C乾燥剤』は、例えば海苔の除湿・品質保全には欠かせないものになっており、日本の海苔の輸出にも大きな貢献をしているとのこと。
完成から2年後の2008年には、経済産業省の主管する第1回『キッズデザイン賞』において、子供の安全を考えた優れた製品ということで金賞を受賞しました。
『ドライ占い』が誕生したワケ
画期的な『ドライ占い』ですが、なぜパッケージに占いが書かれるようになったのでしょうか。
坂本社長によると「それは、スペースが開いたから」だそうです。
これまでの乾燥剤には『食べられません』のほか、『濡らさない』『開けない』など、経済産業省が決めた消費者向けの注意事項などの文言を全部記載しなければならず、文字がやたらに多いパッケージでした。
石灰乾燥剤『キングドライ』のパッケージ(画像提供:有限会社坂本石灰工業所)
ところが、『I・C乾燥剤』になると、その優れた製品性から『食べられません』で済むようになったのです。その結果、パッケージの表記はすっかりシンプルなものに。
『I・C乾燥剤』の最初のパッケージ(画像提供:有限会社坂本石灰工業所)
その後、2018年にパッケージのデザインを一新することになり、坂本社長は「もっと遊び心を出したものにしたい」と、あいたスペースに『ドライ占い』を入れることを思いついたそうです。
つまり、『I・C乾燥剤』の画期的な特性が『ドライ占い』を誕生させたことになります。
『ドライ占い』は全部で約140種ある!
「占いの文言はすべて自分で考えました。だじゃれだけどね」という坂本社長。
「保湿を忘れないで」という『ドライ健康占い』や、「枕の下に入れて寝ると、デートに誘われるかも」といった『ドライ恋愛占い』のほか、袋の中央には『ドライ体操』なるものも!
「濡れたタオルを持って~腕を大きく回して~しぼって広げて乾かして~」というユーモアあふれる文言に、クスッとしますね。
現在の『I・C乾燥剤』のパッケージ(画像提供:有限会社坂本石灰工業所)
ちなみに、このパッケージ用のフィルムの印刷は縦約1m、横約1m四方の大きさで、『I・C乾燥剤』約140個ぶんになるそうです。
この大きさの元フィルムから約140個ぶんのフィルムを切り出して使っています。つまり、『ドライ占い』も約140種あるわけです。
『I・C乾燥剤』の『ドライ占い』をコンプリートしたければ、こまめにパッケージを確認してそろえてみてください。
坂本社長によれば、次のデザイン一新のタイミングは2028年ぐらいになるそうです。
「まだどうするかは考えていない」とのことですが、『ドライ占い』の文言もそこで新しくなるかもしれませんね!
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]