entertainment

「もう会えない」という現実についていけない…トイプードルと花の思い出

By - 吉元 由美  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

藤の花とトイプードルの写真

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

ペットロスにもほどがある…

桜が咲き、次々とバトンを渡すように次々と花が咲く。

ソメイヨシノ、八重桜、藤、ツツジ、紫陽花。

我が家の近くの緑道は、今は八重桜が満開になりつつあるところです。

わんこたちのいいお散歩コース。

3年前に亡くなった我が家のトイプードルのラニも、ルンルンと尻尾を振りながら楽しそうに歩いていたものでした。

ところどころでクンクンと匂いをチェックして、行き交うわんこに吠えながら挨拶したり。

そんな光景が今でも浮かびます。

八重桜とトイプードルの写真

13歳になった頃から腎臓の数値が怪しくなり、15歳になると食欲にムラが出てきました。

ごはんにまったく見向きもしなくなることが多くなり、ごはんの匂いを嗅いでから背中を向けることもありました。

腎臓が悪くなってくると、うっすらと吐き気をもよおすらしく、食べなくなったのもそのせいなのだと思います。

でも、なんとかして食べてほしい。

鳥のササミを柔らかくペーストにして、離乳食用のスプーンで食べさせたり、指で食べさせたり。

食べなければ死んじゃうと思い、泣きたい気持ちで食べさせたものでした。

ツツジとトイプードルの写真

3年前の春、日光浴をさせようとカートに乗せて毎日散歩しました。

桜が咲いたよ、きれいだね。

ボンボンのような八重桜、かわいいね。

ツツジを前に「地球はこんなに美しいよ」と話しかけて。

藤の花を一つ摘んで、いい香りがするね、と鼻先に近づけてみる。

ラニの記憶に刻みつけるよう、この美しい春の日をずっと覚えていてほしかったのです。

亡くなる3日前にはカートの上にお座りができなくなり、淵にもたれかかるように紫陽花を見ていました。

アジサイとトイプードルの写真

作家の伊集院静さんが愛犬との別れを書いた『君のいた時間 大人の流儀Special』の中で『不在を問わない。不在を口にしない』と言う言葉がありました。

これまで友人、仕事仲間、母が旅立ったとき、「もういない」「もう会えない」という現実は、今でも不思議に思います。

いつか自分もそういう時を迎えることはわかっていても、その不思議さに心はついていけません。

『不在』は悲しい。でももっと悲しいのは、『不在』に慣れていくこと。

でも、時の流れと共に慣れていくのです。

どうにも埋めることのできない心の空洞を何度も通りながら、やがて手のひらにのせて眺められるようになる。

それは人間に備わった癒しの力なのかもしれません。

ママ、思い出すときには笑顔で。

写真の中のラニはそう言っているような…そんな妄想も、ペットロスを癒してくれるのでした。

いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で

いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で

吉元 由美
1,584円(04/20 09:00時点)
Amazonの情報を掲載しています

※記事中の写真はすべてイメージ


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
単行本「大人の結婚」

ポテトサラダ

ギャル曽根流のポテサラに「今日の夕飯決まった」「その発想はなかった」ギャル曽根さん親子が教える、ポテトサラダレシピに「奥が深い」「その発想はなかった!」の声が上がりました。

チャーハン

材料3つ、調味料3つ! ロバート馬場流の炒飯に「今晩はこれに決めた」「感激した」塩と油は使いません!『ロバート』の馬場裕之さんが教える『黒炒飯』がやみつきになりそうです!

Share Post LINE はてな コメント

page
top