一人ひとりが幸せの価値を見出していく時代 ささやかでも楽しいことを選択し自分らしくあること
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
大好きなことを選ぶということ
私は、何が好きなのだろう。これまでの人生に彩りを与えてくれたもの、こと。そしてこれからの人生に楽しみを与えてくれるもの、こと。
好きなものは生活の中に溶け込んでいます。気づかないほど自然に。
改めて思いをめぐらせてみると、「花と料理と歌と詩と」という言葉が浮かびました。花と料理と歌と詩と。
大好きなものであるとともに、それらは生活に溶け込んだ、人生の創造物でもありました。
26歳、都心の小さな部屋で一人暮らしを始めたとき、一輪でも、いつも花を飾ろうと決めました。黒のお膳の上に花器を置き、花を飾るコーナーを作りました。
カサブランカ、カラー、バラ、チューリップ、芍薬……そんな花たちをワッと投げ入れに。花を飾っただけで、小さな部屋は特別な空間になりました。
この10年近く、花の教室に通いながら花と対話することを学びました。仕上がりのイメージをしながら、花と対話する。
どんなふうに生けてほしい? 一輪一輪の花の個性と向き合っていると、(こっちを向けて)、(この向きはどう?)と、そんな花たちの声が聞こえるようです。
花と対話。落ち込んでいるときには、花たちが寄り添ってくれているような……。妄想かもしれませんが、花と向き合っているときは、心の中の静けさに身を投じることができるのです。
食は、命を支える柱です。凝ったものは作れませんが、料理をするのは十代の頃から好きでした。
一人暮らしをしているときも、自分のためにせっせと作り、ときどき友人たちを招いては食事会をしたものです。
コロナ禍となり、自己免疫力を高めることがより大切になりました。家から出ることも少なくなり、毎日、食事を作っているうちに、器、しつらえに凝りはじめ、料理は日々のクリエイションになっていきました。
この一年で購入した器は20枚近く。ものを減らす流れに逆行です。野菜を刻みながら、煮込みながら、盛り付けをしながら、『よりよくすること』に集中して。
また、それは瞑想をしているような時間でもあるのです。
歌を書くこと。これは私にとって人生の柱です。歌を書くことは、その歌の主人公たちの人生に出会うことでもありました。
そして詩を書くこと。自分は最終的にどうありたいか。こんなことを考えたとき、なぜかふっと、詩を書こうと思いました。湧き上がる思いを言葉にしていこうと。
花と料理と歌と詩と。一人ひとりが幸せの価値を見出していく時代。
それぞれが大好きなこと、ささやかでも楽しいことを選択し自分らしくあることが、新しい時代を楽しくすることだと思うのです。
厳しいときだからこそ、ささやかでも。何よりも、自分が心地よくあるために。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」