出産後、昏睡状態になった母親 救ったのは、生まれたばかりのわが子だった
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アメリカのノースカロライナ州に住む、シェリー・カウレーさん23歳。ジェレミーさんという男性と結婚した彼女は、出産を控えていました。
生まれてくるわが子に思いを募らせ、膨らんでいるお腹を優しく撫でる毎日…。2人の生活は、幸せの絶頂期と言って過言ではありませんでした。
しかし、待ちに待った出産当日…彼女を強烈な痛みが襲いました。陣痛が始まった途端シェリーさんの容態は一変し、急きょ帝王切開で出産が行われることになります。
担架の上で横になったシェリーさんは、あまりの痛みに不安を抱きました。「出産が終わった後、私は目覚めないかもしれない…」と、死の恐怖さえ感じるほどに…。
医者の尽力の甲斐もあり、なんとかシェリーさんは元気な赤ちゃんを出産。しかし、彼女の体はとても危険な状態になっていました。シェリーさんは動脈にできた血栓のせいで、昏睡状態に陥ってしまったのです。
数時間どんなに手を尽くしても、まったく目を覚まさないシェリーさん。彼女の状態が絶望的なのは誰が見ても明らかでした。
「あの時医師は、できる限りのことをしてくれた。でも、彼女がもう助かる確率は限りなくゼロに近かった。
その状況で僕は、赤ちゃんが生まれた喜びと、妻と別れる恐怖で混乱してしまっていた…」
夫のジェレミーさんは、その時のことを振り返ってこうコメントしました。新たな家族と出会えた喜びや、愛する家族と別れる悲しみが同時に来るだなんて、言葉にならない感情を抱いたことでしょう。
そんな中、看護師の女性がとある提案を持ちかけました。
「生まれた赤ちゃんを、シェリーさんの胸元に寄せてあげましょう!もしかしたら、なにか伝わるかもしれない…!」
きっと、藁にもすがる思いだったのでしょう。医師たちは先ほど生まれた赤ちゃんを、シェリーさんの胸元に寄せることにしました。
10分後、赤ちゃんが泣き声をあげ始めた瞬間…奇跡は起こりました。なんと、シェリーさんの心拍が再び回復し始めたのです!
なんとか山を乗り越えたシェリーさんは、1週間後に意識を回復。愛する夫と喜び合い、わが子の顔を見ることができました。
赤ちゃんをシェリーさんの胸元に寄せた看護師は、『カンガルー・ケア』という方法を参考にしたと話します。
この方法は、新生児に母親が触れると、心拍数が調整され、血圧が安定されるというもの。あの時看護師は、逆に母親にも効果があるのではないか…と思ったそうです。
奇跡的に鼓動を再開したシェリーさんの心臓に、親子の絆が彼女を救ったと思わずにはいられません。
赤ちゃんはリリアンちゃんと名付けられました。両親とお兄ちゃんの大きな愛を受け、すくすくと成長しています。
当時を振り返り、シェリーさんはこうコメントします。
「意識が戻った時、リリアンの顔を見てとても強い絆を感じたのを覚えているわ。
いつか、この子に教えてあげるの。あなたはお母さんの命を救ったのよ…って」
シェリーさんの奇跡は、多くの医師を驚かせました。そして医師たちは、口をそろえてこう言うのです。
母親と子どもの間には、科学や医療では解明できない『なにか』がある。その『なにか』とは、母と子を結ぶ強い絆なのだろう…と。