タオルの共有で食中毒に感染!? 原因に「納得した」「家族でも使い分けます」【医師監修】
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毎日の生活の必需品であるタオル。
物によって生地が厚く、乾きにくいことから、家族間で1枚のタオルを共有している家庭も多いでしょう。
その場合、1人でも病気にかかっていると、タオルを原因とした家庭内クラスターが発生するかもしれません。
タオルの共有で二次感染が起こる理由とは?
なぜタオルによって二次感染が起こるのでしょうか。
理由と対策を、福岡県宗像市にある林外科・内科クリニックで理事長を務める、林裕章医師にうかがいました。
タオル、実は微生物やウイルスが増えやすい!
タオルは、微生物やウイルスが増加しやすい環境がそろっていることから、二次感染の原因になる恐れがあるそうです。
ポイントは『高い湿度・人の体温・皮脂や角質の付着』。
使用したタオルには、この3点がそろっているため、菌によっては倍々で急速に増殖していきます。
そんなタオルを、病原体が付着した状態で使い回すと、さらなる感染源を増やす恐れも。
「タオルは最も身近な感染経路」と述べる林医師は、次のように注意喚起をしています。
病原体がついたタオルをほかの人も使うと、『接触感染ループ』が家庭内で成立します。
感染にはさまざまな要因がありますが、『メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)』の家庭内伝播では、バスタオルの共有が高リスクでした。
タオルの共有が原因で、自宅内のほかの場所にも病原菌が付着。
たとえ体調不良の家族が自室で隔離生活を送っていても、家庭内で菌が蔓延してしまいます。
二次感染までの具体的な流れを見ると、タオルから別の場所へ、知らずに菌を広げてしまう可能性にヒヤリとするでしょう。
1.病気にかかっている人がタオルで手を拭く。
2.健康な人が同じタオルで手を拭く。
3.タオルの病原菌が健康な人の手指に付着する。
4.健康な人が部屋のドアノブや食品に触る。
5.タオル以外にも菌が付着し、家庭内で二次感染が起こりやすくなる。
病原菌の中でも特に注意したいのが、食中毒菌の1種であるノロウイルスです。
林医師によると「ノロウイルスは、乾燥したタオル上でも数日~1週間以上の感染力を保ち、極少量で二次感染が成立します」とのこと。
タオルに菌が付着したままの放置は危険のため、何らかの対処をしたいですよね。
タオルによる食中毒感染を防ぐポイント
予防法を実施すれば、家庭内での食中毒の蔓延を抑えることができます。
以下の対策を参考に、家庭内クラスターを予防しましょう。
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1人1枚のタオルを使うようにする
家族に病人がいる時だけでなく、普段から極力1人1枚のタオルを使うよう心がけることが大切です。
食中毒の潜伏期間では、症状が出ないことも。
潜伏期間中にタオルを原因とした二次感染が起こり、時間をおいて全員が発症する可能性もあるため、できるだけタオルの共有は避けましょう。
なおノロウイルスなどは、症状が消失した後もウイルスの排出が続くため、症状が終息しても、72時間後まで油断ができません。
症状が落ち着いても、しばらくは自分専用のタオルを使うとともに、家族と離れた部屋で過ごすとよいでしょう。
高温洗濯&完全乾燥、または塩素消毒を行う
通常の洗濯では、食中毒菌の除菌が不十分かもしれません。
高温洗濯と完全乾燥、または塩素消毒を行い、タオルに付着した病原菌を消毒することが推奨されています。
自宅にある洗濯機が、高温に対応していない場合は、耐熱性の洗面器などにタオルと熱湯を入れて洗いましょう。
また、柔軟剤は繊維をコーティングして吸水性を落とし、乾燥を遅らせる側面があるため、家族が感染している期間は控えてもいいかもしれません。
ハンドペーパーを用意
食中毒や感染症にかかっている家族がいる時は、使い捨てのペーパータオルという選択肢もあります。
タオルのように洗う手間がなく、万が一の二次感染を減らせる利点が魅力的。
家族が体調不良の間、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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タオルは身近な日用品ですが、実は要注意だということが分かりました。
食中毒対策を完璧に実行するのは、家庭によって難しいかもしれないため、取り入れられる方法から試してみてくださいね。
監修・取材協力 林裕章
林外科・内科クリニックの理事長。
国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち、2007年に父親の経営する有床診療所を継ぐ。外科医の父親と放射線科医の妻と、「人」を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営し、医療・介護の両面から地域を支えている。
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[文・構成/grape編集部]