猫の交通事故死は、殺処分よりも多い 路上で遺体を見つけたら
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その日、駅へと急いでいた女性。路上で『あるもの』を見つけ、心臓を「きゅっ」とつかまれたかのような心の痛みを覚えました。
そこにあったのは、猫のなきがらでした。
おそらく車にひかれてしまったのでしょう。なきがらの状態を見て、息絶えてから、かなりの時間が経っているのが分かりました。
駅へ向かう道は、多くの人が行き交う場所です。猫の姿に気付く人がいないとは思えません。
長い時間、猫はその場で見て見ぬフリをされ続けていたのです。
同じ日、たまたま優しい人が
女性は、その地域の清掃局に電話。すぐに担当者が引き取りに来ることになりました。
そもそも女性は、急いで駅へ向かっていたところです。猫のなきがらに手を合わせると、その場を立ち去りました。
しばらく経って、清掃局から女性に電話が入りました。猫のなきがらは、段ボール箱に入れられ、布をかけられていたのだそうです。
ちょうど女性と同じ日、猫の存在に気付いて「せめて、人目に触れないように」と箱に入れてくれた人がいたのです。
女性はその人物に、心の中でお礼をいったそうです。
野良猫はいつも、命の危険にさらされている
街中でのんびり昼寝をしている野良猫がいる風景は、優しく平和に見えます。
ですが、外で生きる猫たちは、過酷な毎日を送っているのです。
年々、都市部は空き地が減っていき、猫たちが安心して休める場所がなくなっています。また、道路は舗装されて、自動車の通行量が増えました。
自動車を日常的に運転している人であれば、「車の前に猫が飛び出してきても、避けてはいけない」という認識があるのではないでしょうか。猫を避けようとして、人命に関わる大事故につながる可能性があるからです。
鳥や虫を追いかけたり、何かの物音にびっくりしたり。ふいに、道路に飛び出してしまうことは野良猫にとって多々あるシーンです。
そこに、自動車が走って来たとしたら…小さな身体は、ひとたまりもありません。
2014年に発表された『大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン』によると、交通事故などによる猫の死体の回収頭数は、2631頭(2013年度)。殺処分数が725頭です。過去の記録を見ても、交通事故死は殺処分数より多いことが分かります。
「猫の殺処分をなくして」との声はよく聞かれますが、実は、交通事故死も無視できないのが現状です。
自治体とボランティアが協力して、多くの地域で野良猫を減らす取り組みがされています。
しかし、野良猫をゼロにするのは、すぐに実現できることではありません。
せめて、旅立ってしまった命を見つけたら、優しい心で弔ってあげてください。
猫のなきがらを見つけたら?
とはいえ、路上で傷ついた猫を発見しても、どうしたらよいか分からないという人が多いでしょう。
もしすでに息絶えているようであれば、その地域の清掃局が担当。まだ息がある、もしくは生死が分からない場合は、動物愛護センターが担当であるケースが多いようです。
地域によって担当部署の呼び名が異なりますが、問い合わせれば教えてもらえます。また、動物のなきがらがある場所により、管轄が違う場合もあります。
地域のウェブサイトに記載があるので、もし路上で不幸な猫に遭遇した際には、その場で検索して対処できるはずです。
猫たちのために私たちができる、小さな、そして大切な1つのことです。
例)東京都杉並区
例) 横浜市
※記事中の写真は全てイメージ
[文・構成/grape編集部]